夫婦で登る日本百名山へ戻る                                    

塩見岳
 (3052m)
2日目
(三伏峠テント場から塩見岳ピストン)
2009年10月10日(雪後曇り)
私達夫婦2名のパーティー (アタックザックの軽装備)

前日の小屋で聞いた天気予報では「晴れ」だったが、なんとザーザーという雪がテントを叩く音で目が覚めた。
外は視界が利かないほど雪が降ってテントの脇には吹き溜まりが出来ている。2007年10月の三連休の涸沢のテント場の様子が頭によぎった。2年前の涸沢では雪の穂高に登ることをあきらめて撤退したが、今回は新雪が降ったばかりで、凍結していない以上、登ることに支障は無いとの判断で塩見岳に登ることにする。
本谷山まで辺りはまでは雪が降り続き、本谷山のハイマツの下でお湯を沸かして朝食を摂る。冷えた体に温かい飲み物がしみわたり温まった。
塩見小屋で泊まった登山者で塩見岳に登って来た人の話を聞こうと思ったが、小屋を出た登山者は北岳を目指す縦走者のみでピストンする登山者はいなかった。
そこで自己責任で山頂を目指すと朝早く出発した縦走者の足跡は雪で消えてなかった。天狗岩の岩場を越えると突然、塩見岳の雪をつけた急な岩場が聳え、本当にここを登るのかと身震いした。上部にいくに従って斜度が増し、雪のついた岩場の高度感も増した。しかし垂直に見える急な岩場は全身で乗り越えるような大きな岩は少なく、比較的小振りの岩場が多く、手がかり足場がシッカリしていて、一歩ずつ慎重且つ確実に登ると、妻が判断したように雪のついた岩は滑ることなく、確実に登ることができた。しかし、下山を考えると身震いがしたが・・。
山頂は展望は得られなかったが、風がほとんどないため寒くはなく、食事を楽しんだ後、下山した。下りはより慎重に下ったが、気温が比較的高いためか、岩についた雪は凍らずに溶け易く、滑るようなことは無く、恐怖心はそれほど無かった。慎重且つ確実に下り、天狗岩の肩でしばらく私達が登りそして下ってきた塩見岳の岩壁の大展望を楽しんだ。
私達が塩見小屋に着くと沢山の登山者が到着しており、初めて下りてきた私達のルート情報を得て安心して登っていった。
【ルートタイム】
(1日目)
5時15分:三伏峠小屋テント場(発)⇒517分:分岐⇒5時26分:三伏山⇒6時15分:本谷山(雪の中で約15分朝食のため休憩)⇒6時30分:本谷山(発)⇒810分:急登の取付きの沢⇒830分:豊口山分岐(稜線:塩見新道分岐)650分:塩見小屋(着)735分:塩見小屋(発)⇒913分:天狗岩の肩⇒10時39分:塩見岳西峰10時43分:塩見岳東峰⇒11時13分:塩見岳東峰(発)⇒11時19分:塩見岳西峰⇒11時42分:天狗岩の肩(着)⇒1156分:天狗岩の肩(発)⇒12時28分:塩見小屋()⇒13時16分:塩見小屋(発)⇒13時28分:塩見新道分岐⇒15時00分:本谷山(5分休憩)⇒16時08分:三伏山⇒16時16分:荒川岳方面分岐⇒16時18分:三伏峠小屋テント場
5時15分 三伏峠小屋テント場
雪の中、塩見岳に向かって出発する。
三伏山
標高:1615m
テント場を出て少し下ると荒川岳方面との分岐でそこからしばらく下り登り返すと三伏山である。
5時28分
6時15分 本谷山
標高:2658m
塩見小屋まで110分と書かれている。
詳細写真(4)
本谷山から先は樹林帯の中のほぼ水平な登山道のアップダウンを繰り返し、權右衛門山の南側をまく様にまくように進む。
2日前の台風18号のため稜線上の大きな木々がなぎ倒されている。
倒れた木を越えたり潜ったりで時間がかかった。
幼木帯と呼ばれる幾分小さな樹林帯に入るともうすぐ最後の登りのゴーロと呼ばれている場所に着く。
7時30分
8時10分 地図にはゴーロと書かれている場所?(?:塩見小屋の山小屋のスタッフはここがゴーロであるとは知らなかった。ゴーロにしては石が小さい)
小さな沢を渉ると稜線の塩見新道分岐まで急な登りが始まる。
塩見新道分岐
塩見小屋までは約20分程である。
8時30分
8時43分 分岐から塩見小屋へハイマツ帯の急なのぼりを越える。
塩見小屋
小屋には今朝、塩見岳に登って来た宿泊者は誰もおらず、塩見岳への登山ルートの情報を得ることはできなかった。
8時52分
9時14分 塩見小屋の裏の小ピークを越えるとしばらくハイマツ帯のなだらかな登山道が続く。
塩見小屋から塩見岳山頂までのルートタイムは約1時間20分。
天狗岩の下の岩場
赤色チャートの岩場辺り。
次第に傾斜が増してくる。
詳細写真(5)
9時43分
9時52分 天狗岩の下の岩場
中央部の岩場の辺りに向かって登る。
天狗岩の肩への最後の登り。 9時55分
9時58分 天狗岩の肩を乗り越えコル(鞍部)に下る。
天狗岩を越えたコル(鞍部)から塩見岳の岩場に取り掛かる。 10時09分
10時14分 見ての通りほぼ垂直に近い岩場が立ちふさがる。しかし足場と手がかりがしっかりしており比較的登りやすい。
詳細写真(6)
大きな岩を乗り越えるときが一番緊張する。 10時20分
10時26分 山頂への最後の登りのルートを探す。
最後の場所でルートがわからなくなったため直登するも、本当のルートは少し左側に登り稜線に出るルートだった。。
岩場を乗り越えると山頂に向かうなだらかな稜線に出る。
詳細写真(7)
10時32分
10時39分 手前が三角点(標高:3047m)のある塩見岳西峰
奥が最高点の東峰標高:3052m
塩見岳東峰山頂
標高:3052m
展望はなかったが風が無いため温かく山頂で食事を作って食べ、山頂を楽しんだ
10時43分
11時20分 下山開始
西峰山頂からしばらくなだらかな稜線を下る。
急な岩場の下山に取りかかる。
この辺りに雪が比較的多く着いていた。
詳細写真(8)
11時29分
11時31分 雪のついた急な岩場を慎重に下る。
眼下に見える天狗岩に向かって下る。 11時34分
11時43分 天狗岩の肩で塩見岳の岩壁を振り返る。
ここから見る塩見岳の迫力は格別である。
この雪の岩場に私たち夫婦だけが取り付いていたことを誇らしく思った。
これだけ登山者の多い有名な山の岩場で私達二人だけしかいない瞬間というのはほとんど経験できることではないであろう。
(三伏小屋のスタッフから「雪がついた塩見の岩場は登るのはまだいいが、下りが大変で、振り返ったらよく下りてきたものだと思ったでしょう。」といわれたが、まさにその通りであった。
天狗岩の南側のとてもきれいな赤色チャート緑色岩の岩場
標高2800mの塩見小屋から上部は中央海嶺や海山を造った海底火山の玄武岩で熱水変質と変成により生じた美しい緑色岩(Greenstone)と鉄分を含んだ粘土が混じった赤色岩(Red Chert)を見ることが出来る。

中世代ジュラ紀〜白亜紀(2億年前〜6500万年前)にアジア大陸に沈み込んだ海洋プレートから剥ぎ取られた岩石(付加体)が露出している。
12時2分
12時28分 塩見小屋
小屋の受付をして、スタッフから説明を受ける登山者。
この小屋はトイレが袋式でありその使い方や処理方法など他の山には無い決め事があり、若い女性スタッフがテキパキと説明をしている。
詳細写真(9)
稜線から塩見岳の方向を望む。
登山道は台風18号のためたくさんの倒木が道をふさいぎ、乗り越えたりくぐったりするために、時間を要した。
14時11分
16時11分 三伏峠小屋テント場
出発したときは2張りだけだったテント場に26張りほど立っていた。
昼に着いてテントを張ったら大雪に降られたとのことで、テントの周りには吹き溜まりができていた。

昨日テント場で一緒だった愛知の夫婦のパーティーと、登山口で一緒になった神奈川から来た夫婦で3組、6名のパーティーは雪の登頂を断念して帰ったようであった。
【水場】
三伏峠から塩見小屋、塩見岳間水場なし。
【小屋】
塩見小屋
トイレは袋式で小屋で袋を200円で買って鍵のかかったトイレを開け、トイレの台に袋をかけて行い、袋を密封してトイレ脇の風呂桶にいれヘリコプターで降ろす。男性用のトイレはトイレ小屋の後ろの丘にある(無料)。
宿泊者には500ccのペットボトルの水とトイレ袋1袋が支給されるようである。それ以上の水は1本100円である。
ここの飲み水はスタッフが20lのポリタンクを2本背負って往復1時間ボッカしている。
宿泊棟は3棟あるが2つは三角兵舎のようなベニヤにトラックのシートをかけたような構造で、この日宿泊した登山者に聞くととても寒く、ペットボトルの水が凍ってしまったという(因みに私達のテントの中の水は凍らなかった)。
1日目 3日目
2009年10月10日撮影 CANONG10

HOMER’S玉手箱 麹町ウぉーカー(麹町遊歩人) 会津見て歩記 甲府勤番風流日誌 伊奈町見聞記 鹿児島県坊津町 Good Journey(よい旅を!)