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鳳凰山
(2840m)

日本百名山79
2005年7月9日から10日 妻と2人のパーティー

79 710

6時30分:広河原ゲート出発
6時45分:白鳳峠登山口
8時27分:壊れかけた木の梯子
8時36分:ロープ場
8時45分:巨岩脇の金属の梯子
9時40分:ゴーロ帯の取り付き
10時27分:白鳳峠到着
11時05分:白鳳峠出発
11時52分:高嶺前の小ピーク
12時20分:高嶺
13時03分:白砂
13時34分:赤抜ヶ沢の頭
13時40分:賽の河原
13時48分:地蔵岳オベリスク下
13時58分:賽の河原から下山開始
14時15分:ガレ地下の樹林帯に入る
14時40分:鳳凰小屋

6時03分:鳳凰小屋発
7時02分:稜線に出る
7時19分:小ピーク
7時33分:観音岳
8時03分:薬師岳
8時17分:薬師下山開始
8時23分:薬師小屋
8時36分:砂払岳
8時50分:ガマ岩
9時26分:南御室小屋着
9時47分:南御室小屋出発
10時28分:苺平
10時57分:富士山が見え始める
11時51分:杖立峠
12時25分:富士山が見える尾根
12時57分:夜叉神峠
13時35分:夜叉神峠登山口

写真をクリックすると詳細写真が見られます。

夜中に夜叉神峠登山口の駐車場に車を止め、仮眠して5時30分発の広河原行きのバスに乗る。6時10分ほどに広河原に着いたが、バスがあまりに揺れてため、多少車酔い気味で気分が悪くすぐに出発できないためしばらく休憩。白鳳峠登山口

広河原から白鳳峠

ゲートをくぐると西側に北岳が聳えているのが見える。広河原山荘を左手に見て、北沢峠に向う舗装された林道を15分も歩くと右側に白鳳峠登山口が見えてくる。初めての南アルプス縦走チャレンジである。

登山口から白鳳峠までの地図上のルートタイムは3時間30分とあり、休憩を含むと4時間弱の急登である。

この登山道は名に知れた急登で、まだ登りのペースもつかめない、取り付きから樹林帯の急坂をひたすら登る。それに木の梯子や岩場など三点支持(確保)を行わなければならない場所が次から次へと現れる。

金属製の梯子登り始めて2時間ほどした頃から比較的危険な場所が現れる。ロープの張られたザレ地を過ぎると、大きな岩に壊れかけの木の階段がかけられた場所があり、すぐに倒れた巨木の下をくぐる。そしてロープが張られている、滑りやすい岩の上を登りきると正面に2、3階建てのビルほどもある、とてつもなく巨大な四角の岩が現れる。

巨岩右側のロープの張られた岩場を登るとそこに茶色の金属製の梯子がかかった場所にでる。ほぼ垂直な梯子を登るとそれから先に3本の梯子が現れる。

最後の階段を上り終えるとすぐに背後に北岳がくっきりと見えてくる。それからは比較的なだらかな樹林帯の登山道になる。北岳が見えてから50分ほどでシラビソの樹林帯が切れて突然大きな岩がゴロゴロと堆積しているいわゆる「ゴーロ」に出る。これから白鳳峠までは樹林を抜けてゴーロ帯に出る約40から50分であるが背後に見える北岳の標高がますます高くなる。ゴーロの岩場をひたすら登る。ハイマツとコメツガが増えてくると正面に白鳳峠が見えてくる。思ったより長く感じる。
とはいえこの白鳳峠への登山道は名に聞く急登として知られているが、それほど大変とは思えずむしろ楽しい登であった。むしろ夜叉神峠から縦走してきて下りにこれを使うほうが、雨の日にはとても危険であり、さらに膝に問題がある人には大変であろう。

樹林の中にある鳳凰峠は左に登るとアサヨ峰、甲斐駒ヶ岳方面、右に登ると高嶺、鳳凰山方面の登山道である。

ここで早めの昼食をとる。たくさんの小鳥がさえずり、ヒガラのツガイが私たちのほんの側まで舞い降りてエサをついばんでいた。

このころからガスが出てきて山の北面は全く視界は利かなくなってきた。

白鳳峠から高嶺、地蔵岳、鳳凰小屋

高嶺(2779m)山頂

それから高嶺に向って登り始める。背の低いシラビソの樹林帯を抜けると正面に高嶺、その右手前に小ピークがみえる。小ピークまでは背の低いハイマツとハクサンシャクナゲの道をだらだらと登る。この間にはコケモモ、ハクサンシャクナゲ、ミネウスユキソウ、イワカガミ、ツマトリソウ等多くの高山植物が多く見られる。小ピークを過ぎると木の生えた岩のやせ尾根をすぎ、すぐに大きな岩場を登る。この岩登りは山頂まで約20から30分ほどある。この苦しい岩登りの岩の間には可憐なイワカガミをたくさん見ることが出来る。

三角点のある高嶺の岩だらけの山頂(2778m)は360度のパノラマが広がるのであろうが残念ながら見ることが出来なかった。高嶺は我が国で68番目に高い山である。

ところが一瞬広河原方面から吹く激しい風により雲が切れ、南東の方面に視界が開け、真っ白な雪を頂いたように見える地蔵岳のオベリスクとその前の真っ白な稜線が眼前に現れた。

山頂を南西に下るとすぐに小さな岩場を登り返すとしばらく岩尾根が続く。そして樹林帯に入り、少しすると突然真っ白な砂の急斜面が現れる。花崗岩が砕けた白砂の稜線は、天を突く槍のような岩やなど奇岩が次から次へと現れ、まるで月世界を歩いているような気持ちになる。晴れていたら北岳や間ノ岳など南アルプスの山々が正面に見えるのであろう。

地藏岳稜線白砂の稜線に入ってから約20分程で地蔵岳と観音岳との分岐点である赤抜沢ノ頭にでる。視界が利かないため標識に従って観音岳方面に下ると5分ほどで「賽の河原」と呼ばれる場所に出る。広い白砂の稜線には沢山の子授け地蔵が祀られている。正面に聳えているのであろう地蔵岳のオベリスクは霞んで全容が見えない。リョックをデポしてオベリスクの基部まで登るがそれでも全容を現してくれなかった。

やむなくデポした場所までくだり、白砂のザレ地を鳳凰小屋に向って下る。とても急な上に広くて長い白砂のザレ場で真っ直ぐ下ることが出来ず、ジグザグに下る。途中に大きな岩があり、真下の緑の木々と白砂のザレ地のコントラストが美しい。ザレ地が切れる辺りから紫色のタカネグンナイフクロウの花を見ることが出来た。下り始めて20分程でザレ地から樹林帯に入り、それから約20分程下ると沢ノ水の音が大きく聞こえてくるとすぐに鳳凰小屋につく。

鳳凰小屋

鳳凰小屋の感想はテント泊の為の申し込みをした時に、スタッフはテーブルのある場所でギターを弾いていながら、顧客は立たせたままで「その辺で書いて。」とテーブルすらないにもかかわらず宿帳の記入するよう言う配慮のなさと、一部のスタッフは山のことをまったく知らない素人であることにおどろいた。

小屋に着いた頃から雨が降り始め、雨が強くなる前にテントを張り、一休みして雨の中牛カルビの焼肉を作り夕食を楽しんで、標高約2500メートルのテント場は土砂降りの雨の中、気温もとても下がったがシュラフの中で繭となって一夜を過ごした。山小屋の前にタカネグンナイフクロウやアツモリソウが植えられていた。

 

鳳凰小屋から観音岳、薬師岳

地蔵岳オベリスク翌朝もまだ雨が降っていたがだいぶ小ぶりになっていたが、少し遅めの6時に出発した。

小屋の前の沢を渡り、初っ端から急なアルミの梯子を上り、しばらく樹林帯を登ると、視界が開けて真上に地蔵岳のオベリスクが現れる。この観音岳への登山道は稜線まで約1時間であるが思ったより登りやすい。登り始めて40分ほどで白砂のザレ地が見え始め、それから20分程で稜線に出る。稜線はとても強い風が吹いており、立っているのもやっとの状態であった。

観音岳山頂(2840m)

鳳凰小屋から出た稜線から観音岳までは白砂の岩場を約30分ほど登る。まず最初に10分間急なのぼりがありそれを登り終えるとあとはなだらかな白砂とハイマツの稜線を歩き最後の岩場を少し登ると、大きな岩が折り重なるように積み重なった観音岳(2840m)にでる。我が国で50番目に高い山である。ちなみに薬師岳は67番目、地蔵岳は75番目である。

それから岩場を下り大きな岩と白砂のなだらかな稜線を30分ほど歩くと広い山頂の薬師岳に至る。山頂はとても広く周りに巨岩が配されたまるでロックガーデンともいうべき趣である。広い山頂の東側にある岩場が標高が高く見えるため、一度下ってから向かいの岩部に登るが特に三角点などはなかった。雨のため視界が利かないのが残念。

薬師岳薬師岳から南に向って下り始めると、5分ほどで薬師小屋に至る。その途中の白砂の斜面がまるで月面のように美しい。薬師小屋から次のルートポイントとなる南御室小屋まで約1時間のルートである。薬師小屋を出て5分ほどで大きな岩が重なった砂払岳である。砂払岳の山頂直下に小さな山小屋ほどの大きな岩の洞穴がある。

砂払岳から振り返ると薬師岳の白い山肌とその下の新緑がとてもしい。

砂払岳を下り巨岩の稜線を歩くとシラビソの樹林の中のルートになり、下り始めて15分ほどで「ガマ岩」とよばれるガマが空に向って口を開けているように見える岩に出る。ガマ岩から深いシラビソの林を進むと急な下り坂になり、それまでの白っぽい花崗岩から黒い岩に変わり始め、雨水などでえぐれた登山を下ると正面に辻山が見えてくるとすぐに、南御室小屋に至る。薬師小屋上

南御室小屋でカップラーメンをお願いして、軽く昼食をとることにした。すると私たちが広河原、鳳凰峠ルートからの登山者だということを受付の女性のスタッフから聞いたご主人が出てきた。山小屋のご主人は「鳳凰峠の途中までの登山道は調査したが、大きな倒木がある場所より上のルートは状態がどのような状態だったか。」と聞きに来た。このような山のご主人たちの努力により我々の安全が確保されていることに頭が下がった。

それにしてもここの2人の女性スタッフはとても美しく、話し振りから山のことをとてもよく知り、山を楽しんでいることが伺えた。

南御室小屋南御室小屋は辻山の鞍部にあり、小屋の東40歩の場所に水場があり、なんと水洗トイレまで備えた、鳳凰山縦走のテント泊の拠点である。

 

南御室小屋から苺平、杖立峠、夜叉神峠

南御室小屋から次のルートポイントは苺平まで約40分のルートである。

苺平までは辻山の北東面をなだらかに登るコメツガ、杉苔などを大きなシラビソの原生林の包み込むとても趣のある登山道である。

苺平は鬱蒼とした樹林の中の峠であり、ここから千頭星山、甘利山に向かうルートの分岐点でもある。火事場痕から望む富士山

次は苺平から杖立峠までの約1時間のルートである。

苺平を出て一時なだらかな下山道であるがすぐに登山道が水でえぐられた様なゴロゴロとした大きな石のある、歩きにくい下山道を下る。20分程して樹林帯が切れて視界が開ける、小さな石仏のある場所を過ぎた辺りから、正面に富士山が見えてきた。この視界が開ける場所は「火事場痕」と呼ばれている場所なのであろうか。明るい登山道はとても歩きやすく、ところどころに白いアカシヤの花が咲きとても芳醇な香りのする場所もある。しばらく樹林帯をくだり少し登り返すと深い森の中に杖立峠につく。

杖立峠の次のルートポイントは夜叉神峠である。

夜叉神峠登山口杖立峠から夜叉神峠までのルートは深いシラビソの林にコメツガの緑が美しいとても歩きやすい登山道である。途中から熊笹が現れ始め、細い尾根道に出ると突然富士山が正面に見える。そこから突然急な滑りやすい下り坂になり、しばらくして熊笹の道に出て少し登り返すとそこに夜叉神峠がある。杖立峠から約1時間10分である。

夜叉神峠から夜叉神峠登山口まではジグザグの整備された道で歩きやすく、約40分で着いた。

2005年7月9日10日撮影

HOMER’S玉手箱 麹町ウぉーカー(麹町遊歩人) 会津見て歩記 甲府勤番風流日誌 伊奈町見聞記 鹿児島県坊津町