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========麹町ウォーカー(麹町遊歩人)No.73============

天気の良い日には山歩き。梅雨が無いと言われている北海道では、今が絶好の時期です。先日早朝に札幌近郊にある「藻岩山」という500Mばかりの超低山を歩いてみました。早朝のせいか、頂上には誰も居なく静寂の中で、間近に手稲山・遠くには恵庭岳・樽前山まで望むことが出来ました。

早朝の札幌の街は霧に覆われていましたが、時間とともに睛れて徐々に街並が見えてくる様子は、低山にしては見ごたえのあるものでした。

こんな近くで自然を感じることが出来るのも、北海道らしいですね。

近くの手稲山(1024M)には、いろんなアンテナが建ち並んでいます。

自然の景観とマッチングはしませんが、テレビ局、FMラジオ合わせて6局、そして、防災対策用や電力保安通信用、電話の中継用にと、それぞれ大切な役割をもったアンテナだということです。素人目にはアンテナも鉄柱に見えてしまいますが、アマチュア無線家でもあるH氏の目には、拘りの対象として写るようです。

今回は、麹町のアンテナをきっかけにしてレポートを書き上げてくれました。

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61号でJR四谷駅前のスクワール麹町ビルの屋上に建っている大きなアンテナから出された電波を受信したことがきっかけとなってこの建物が「財団法人東京消防協会」という東京消防庁の関係団体の建物であり、正面にかかっている時計の柱が纏の「バラン」であることが分かったと紹介した。

今回はここ麹町界隈の無線の状況とこの春麹町ウぉーカーが経験したアマチュア無線の素晴らしさを紹介しよう。FM東京のアンテナ中央部にV字型にアンテナが伸びている

一昨年、車に積んだ短波のアマチュア無線リグ(無線機)に電源を入れると日本テレビの「24時間テレビ」の募金を呼びかけるアマチュア無線の協力局がチャリティーに参加を呼びかける電波を出していることを聞いたことがある。オフィス街の麹町近辺も歩いてもアマチュア無線のアンテナが建っているのを見かける。

JR四ッ谷駅前のスクワール麹町ビルの屋上に立っている大きなアンテナは東京消防庁アマチュア無線部会のものであるということを紹介したが、麹町近辺では二番町のNTV社屋の上に大きなアマチュア無線の八木アンテナが建っており、半蔵門の東京FMの放送用アンテナにアマチュア無線のV字形をしたダイポールアンテナがつけられている(プロの営業放送のアンテナにアマチュア無線のアンテナがついているのは実に嬉しい。)。さらに英国大使館にもアマチュア無線のアンテナが建っている。

その他四ツ谷2丁目の文化放送のそばにある小学校の隣のビルにはキュービッククワッドアンテナと呼ばれるかなり大掛かりなアンテナも建っており、美味しい鯛焼きの「若葉」の近くの若葉町鉄砲坂のマンションのベランダには小さいながら工夫された短波のアンテナがある。

アマチュア無線は昭和30年代は「King of  Hobby」と呼ばれたが、インターネットや携帯電話の普及もあり従事者者の数がかなり減りマイナーな趣味と見られている。携帯電話が普及する以前は145や430メガヘルツ等は運用する空きチャンネルがないほどであったが、現在では昼休みに会社の会議室からCQを出しても応えてくれる人が殆どいない状態である。

とはいえ7、14、21メガヘルツ等の短波の世界はかなり賑やかで国内のみならず世界中と交信の電波が飛び交っている。さらにモールス信号はプロの世界では廃止されたが、アマチュア無線の世界ではいまだに世界中との交信に使われている。

英国大使館にあるアマチュア無線のアンテナ

先般、会社の会議室でCQを出していたらアマチュア無線の事を「出会い系サイトみたいのものか」と評した同僚がいた。いささか心外だったのであるがアマチュア無線と出会い系との一番の違いは出所(電波法で自らのコールナンバーを表示する事が義務付けられている)を明らかにして交信するということである。その意味で堂々と電波に名前を名乗って世界中に語りかけているまことに紳士的なフェア―な趣味といえる。

無線局の免許取得時に総務庁から与えられるコールは条約に基づき割り当てられた世界でただ一つの番号であり、その人を特定するものである。従って南米やアフリカの国と交信してその相手方と交信カード(QSL)の交換を求めた場合、各国の無線連盟を通じて交信したことを証明するカードを取得することが出来る。

ただアマチュア無線はプロの放送局などと異なり何時でも交信できるものではなく、電離層の状態次第であり、また同じ人と交信できるとは限らない。またどこから飛んでくるか分からない電波を待ちつづけるという側面もある。従って一度交信した相手と二度目に交信できたときには旧知の友と会ったような気持ちになる。麹町ウぉーカーは早朝出社前にヨルダンの故フセイン国王の「JY1」というコールを使った交信をワッチする機会に恵まれることもある。

現在では、衛星を介した交信、画像を送る交信、デジタル通信、無線からインターインターネットを経由する通信やなど多方面に無線の範囲が広がっている。

今年の春、私は麹町ウぉーカーとして胸踊る経験・出会いをした。この話しには私が甲府勤番として甲府に赴任していたときのことを語らねばならない。

休日に埼玉の自宅から山梨に向かう途中の山中の駐車スペースに車を止めたら川の対岸にアマチュア無線のアンテナを上げているグループがいた。いたずら心から、車のパッシングライトを「- - ・ -   ・ - ・  - - ・・ (QRZ)」と二回照らした。すると向かいの車が突然移動して私のほうに車を向け「- - ・ -   ・・・ ・ - ・・(QSL)」と返してきた。これは無線で使うモールス信号で私は「QRZ」(誰かこちらを呼びましたか)という信号を送ったのであるが、相手方はこれを理解して「QSL」(交信確認しました)というの信号を返してきた。さらに続けて「430 QSY」と信号を送ってきた。これは「周波数430メガヘルツに移れ」という意味である。早速、車につけてあるFM無線機に電源を入れ指定の周波数に合わせると「こちらは「QRZ JA1○○○です。誰かこちらを呼びましたか?」と呼び出しがきた。「了解、こちらは Seven(7)、November(N) Three(3) Bravo(B) Mike(M) Juliet(J) Portable One(1) 7N3BMJ/1初めまして。Ha○○と申します。冗談でモールスを送ったのですが応えていただいて光栄です。ハムになって初めてのことで興奮しています。」というと向こうもびっくりして信号を送ったとのこと。お互い興奮しながら楽しい時間を過ごした。

そして「最後の挨拶はぜひモールス信号でお願いしたい」と伝えたところ、対岸から「 ・−・(R) 」(「ラジャー」了解したの意味)の後に「- -・・・(7) ・・・--(3)」(73)と送ってきた。私は相手方に女性が含まれていたので「- -・・・(7) ・・・--(3) /  - - -・・(8)  - - -・・(8)」(73/88)と送り返して興奮のひと時を終えた。車のパッシングライトを打電する手が震えていた。アマチュア無線の電鍵(キー)。神戸の大震災で家が壊れ無線をやめた同僚のJR3AWPから頂いたもの。

 前の信号の「73」は男性に対して「敬意を持ってこの送信を終了する」という意味で使うもので、後段の「88」という信号は「love and kiss」という女性に対して敬意を表して交信を終えるときに使う符号である。アマチュア無線家(ハム)冥利に尽きるひと時であった。

そして4年経った2004年1月、昼休みに会社の会議室でCQを出している局にハンディー無線機で「こちらは7N3BMJです。」と応答したところ、突然「BMJ局。Ha○○さんですか。お久しぶりです。以前モールスで交信した。○○です。」と応答がきた。

新宿区にお住まいの無線のOMさん(大先輩)であった。そして翌週、四ツ谷駅前で初めて会ったが、その瞬間から初対面であるにもかかわらず年の差を越えて旧知の間柄のような信頼感でなんのてらいもなく酒を酌み交わしながら楽しいい時間を過ごすことが出来た。ネットの世界では「オフ会」というが無線の世界では「アイボールQSO」という。直接会って目玉で交信するという意味である。そして「いつか空で会いましょう。」といって別れた。ハムであることを素晴らしいと実感した一時であった。

アウトドアを楽しむ者にとってアマチュア無線はその活動を広げる必須のツールである。

携帯電話の普及でハム人口も減少したと紹介した登山の世界でも携帯電話で遭難の救助を求めることが多くなっている。ところが今年2月初旬の関西学院大学のパーティーが遭難したときにアマチュア無線で救助を求め、緊迫した無線の交信がテレビでも放映されていた。遭難が解決した翌日の新聞で「山登りには携帯電話ではなく無線機」という記事を目にした。

私も8年ほど前の大晦日に蓼科にある会社の保養所で「非常・非常こちらは○○大学山岳部・・戸隠山でメンバーが滑落し救助を求めます。」というかすかな電波で緊急通信を受信したことがある。蓼科の保養所にいる私の応答した電波は残念ながら届かず、八ヶ岳を隔てた反対側の長野県上田市のアマチュア無線局が傍受して交信に成功し、警察に通報した。正月明けの新聞にこの遭難したパーティーが救助されたという記事を目にした。このときハムとして山岳遭難の緊急無線を傍受したことに興奮を覚えた。

そしてこの翌年神戸の大震災があり携帯電話の限界を認識した。そして私たちは無線従事者免許を持っている会社の仲間たちと、遊びで楽しんでいる無線を緊急時には最小限との通信を確保して社員、家族の安全確認の一助になればと会社のアマチュア無線クラブを立ち上げた。緊急時の対応マニュアルの中に社員のアマチュア無線の技能を緊急時の連絡手段とし規定し活用している企業も多い。

鹿児島県川辺郡坊津町で移動運用中の麹町ウぉーカー(車のそばに5メートルのアンテナを上げそのトップから左右に14メートルの大ポールアンテナを広げる。

アマチュア無線は通信手段としての有用性もさることながら世界に一つだけの(only one)のコールナンバーを電波に乗せて世界中に向けて発信し、国籍や人種、年齢、性別の違いを超えて相互に信頼、尊敬しつつ交信を楽し点でアマチュア無線(ハム)はいまだに「King of  Hobby」としての資格をもっていると言っていいのであろう。

先日、JR四ツ谷駅前の交差点で信号待ちのためスクワール麹町のアンテナを眺めていると黒塗りの高級外車の窓が突然開き「Ha○○君相変わらず空を見て楽しんでいますね・・」と先ほど紹介した新宿のOMさんが方が声をかけてくれた。そして信号が変わると「今度以前のメンバーでぺディション(移動運用)をやるからメールするよ。」と言って去っていった。麹町界隈のビルの屋上に建っているアンテナが作ってくれた最高の出会いである。

それでは皆さん、73and88!

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私にとってパッシングは車の追い越しか、対向車が先のスピード測定を教えてくれるしか思い浮かびません。

パッシングでモールス信号。無線家冥利につきるのでしょうね。

 

さて前号の算数の問題いかがでした?

今回は算数が苦手な方に、国語の漢字問題を。

『昔、一人の尼さんと坊主が次のような問答をした。

坊主「両手を横に伸ばし、両脚を開いて立つと、どんな字になりますかな?」

尼さん「大の字でございましょう」

坊主「いえいえ、男の私ゆえ“太”でございます」

尼さん「ならば、私が棒を頭に乗せて両手を横に伸ばし、脚を開くとどんな字になりましょうや?」

坊主「簡単じゃな。“天”でしょう!」

尼さん「いえいえ、女の私ゆえ×でございます」

さて尼さんの答えは何?』

 

ススキノの飲み屋さんで仕入れたネタではありませんよ。

回答は、次回号で・・・・・・・。

 

H氏のHPでは「会津見て歩記」「伊奈町見聞記」も更新中です。花の画像が一杯です

http://homer.pro.tok2.com/

 

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(大)

 

平成16年6月6日配信


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