北アルプス最奥地
遥かなる山旅
(4日目、雨後曇り)
新穂高→ 雲の平、高天ヶ原、→水晶岳、鷲羽岳、→三俣蓮華岳、双六岳 →新穂高
2008.8.23〜27日
妻とニ人のパーティー(2日目双六小屋停滞、3日目高天原山荘を除きテント泊)
4日目:8月26日 4時52分:高天原山荘(発)→5時50分:水晶池→8時20分:岩苔乗越→8時35分:ワリモ北分岐→9時24分:水晶小屋→10時7分:水晶岳(着:30分滞在)→10時43分;水晶岳(発)→11時16分:水晶小屋(30分滞在)→17時45分:水晶小屋(発)→12時17分:ワリモ北分岐→12時56分:ワリモ岳→13時37分:鷲羽岳→14時26分:三俣山荘 |
5時54分 | 水晶池(標高:2293m) 高天原山荘を出て約1時間急な原生林の中を登ると水晶池に至る。 池は登山道から約3分ほど下った場所にある。広い池の正面には白く大きなダケカンバと水晶岳が映し出され幻想的な静けさである。 |
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水晶池から両脇が笹や草に覆いかぶされた狭い登山道をのぼる。 登山道には原生のブルーベリーが沢山なっており、口に入れると甘酸っぱくてとても元気が出る。 この山行のいたるところでブルーベリーを楽しんだ。 詳細写真 |
6時40分 | |
8時20分 | 岩苔乗越 草や潅木の狭い登山道が切れると視界が開けてきてお花畑や岩苔源流の沢を渡る。 そして草が少なくなると稜線上に岩苔乗越が見えてくる。 |
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ワリモ北分岐 岩苔乗越の稜線から15分ほど登ると水晶岳とワレモ岳、鷲羽岳の分岐であるワレモ北分岐に着く。 ここでザックをデポしてサブザックに代え水晶岳をめざす。 |
8時35分 | |
9時24分 | 水晶小屋(標高:2900m) ワレモ北分岐から水晶小屋まではゴツゴツした大きな岩のなだらかな斜面を登っていく。ザレ地になりハイマツの前に「水晶小屋まであと15分」という標識が出てきて急なのぼりを登りきると赤岳の裏側に小さな真新しい水晶小屋がある。 詳細写真 |
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水晶岳山頂(標高:2986m) 水晶小屋の裏から稜線を進むと右下に黒部ダムと黒部湖が見える。そしてなだらかな稜線が切れ急峻な岩場になり梯子に取り付き、高度感のある岩場を登りきると水晶岳の山頂に着く。 山頂はとても急な岩場で狭く10名程しかたつことができない。 三角点は隣のピークにある。 展望は素晴らしく立山、劔岳、薬師岳、黒部五郎岳、槍ヶ岳、穂高等の山々に眼下には雲の平の高原が広がる。 |
10時10分 | |
11時14分 | 水晶小屋(標高2900m) 水晶小屋は昨年立て替えられたばかりの新しい綺麗な表銀座コースの主要な小屋である。 水を天水に頼っているが今年は何とか足りているとのことであった。 平成19年の建設資材運搬のヘリの事故で亡くなった方の慰霊のため小屋裏の赤岳に小さな地蔵様が置かれていた。 詳細写真 |
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水晶小屋を出て分岐点でデポしたザックに取り替える。 標識の下のハイマツに雷鳥が3羽現れた。 |
12時17分着 12時30分発 |
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12時57分 | ワレモ岳(割物岳:標高2888m) 分岐点から一旦、鞍部に下りそれから登り返し、上部の瓦の様に平たく割れ易い岩場に出たらワレモ岳山頂である。山頂標識を過ぎて鷲羽岳側に出ると一部ロープの付けられた切れ落ちた場所がある。 地図上に「危険」と書かれた場所はここであろうが、それほどの危険な難度のある場所ではない。 |
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ザレ地を登り返すと鷲羽岳の山頂に出る。 展望は望めなかったが、南側に鷲羽池が姿を現した。 前日、行方不明になった登山者がおり翌日、県警のヘリコプターが回収する現場を双六岳から見た。事故現場はこの山頂の裏あたりであった。 残念なことに私達は登山の途中霧の中で発見することはできなかった。 詳細写真 |
13時37分 | |
14時26分 | 三俣山荘(標高:2550m)は3時までが喫茶サービスの時間であるが2時30分までオーダーしなくてはならないため、鷲羽岳山頂から45分ほどで駆け下りてきた。 | |
三俣山荘の展望喫茶はメニューも豊富である。特にサイフォンコーヒー600円が名物である。ケーキも各種あり500円であり、ケーキセットは1000円である。 詳細写真 |
14時35分 | |
15時27分 | 三俣山荘の蓮華岳側のハイマツの中にテント場がある。水も豊富であり、正面には鷲羽岳が聳えいいテント場である。 但しトイレは山小屋の中にあるトイレを使う。 |
今回の登山で初めてピークを踏む日である。朝早く高天ヶ原を出て幻想的な水晶池を訪ねた。日光戦場ヶ原の奥にある小田代ヶ原の「貴婦人」と呼ばれる白樺のようにこの池にも池に姿を映す白いダケカンバの大きな木があった。大きな池に映す姿はなんと呼ばれているかは知らないが、幻想的な妖精のようにもみえた。 そして草薮の登山道を抜けて稜線に出てからの展望は素晴らしく、北アルプスの全てのの山々が望めた。 眼下に広がる雲の平の素晴らしさもさることながら、雲の切れ間から姿を見せる槍ヶ岳の姿は格別であった。 そして、鷲羽岳に登る途中で三俣山荘のスタッフと会った。休息時間を使って水晶岳に登るという。あとで山荘で話を聞くと3時間30分の休憩時間で帰ってきたという。まるで天狗が翔るように岩場を駆け下り隣のワレモ岳に登っていった。彼に聞くと水晶岳山頂から40分ほどで降りてくる先輩もいるという。 何よりこの小屋のスタッフのプロ意識は素晴らしい。それはこの三俣山荘(水晶小屋も雲の平山荘も)のオーナー伊藤正一氏の経営コンセプトが皆に行き届いているが故であろうと思われる。三俣山荘で、氏の著書「黒部の山賊 アルプスの怪」(実業之日本社)を買い求めてきた。残念ながらこの日、伊藤氏は雲の平に行っておりお会いすることができなかったが、もし居られたら著書にサインをいただきたいものであった。(下山して一気に読んで北アルプスの最奥地の歴史と素晴らしさを知ることができた。) この日、小屋で水晶岳から降りてこない登山者がいるという話を聞いたが、それが翌日、鷲羽岳山頂下で滑落して警察のヘリで回収された登山者のことであった。私達は翌日向かいの山でその様子を見ており、山頂脇でフォバーリングするヘリの写真を望遠で写真に収めていた。下山してネットで確認したら警察が登山者を収容した時間と私が写真に収めた時間は10時50分で同じ時間だった。我々が登るとき雲に覆われており登山道のすぐ下にいた登山者を発見することはできなかったが、その山頂で喜びの一瞬を迎えていたことに幾分複雑な思いである。 |