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お勧めの山の本

【山書】
全くの山の素人だった私たちが夫婦で深田久弥氏の日本百名山を目指すようになって山に登るために読んだ登山の技術や情報に関する本、小説に至るまで、お勧めの本(山書)を紹介します。
技術的な本は自分のレベルに合わせて読むべきでしょう。知識と技術の向上並びに登る山に関する情報は登山を安全で且つ楽しいものにしてくれていると思っています。
また、山に関する本には技術書だけでなく先人たちが残してくれた素晴らしい山のエッセイや文学があります。これらの本は登る前に読み、また、登ってから読むと登山をより豊かなものにしてくれます。それは 大森久雄氏の「
山の思い出が人それぞれに豊かであるように、本からもまた豊かな世界を汲み取ることができる。本のなかからは、過去の山のなつかしい思い出を、未来の山は魅惑的な誘いを私たちに届けてくれる。」(山の旅 本の旅21頁)という一言は山の本すなわち山書と登山者との関係をよく表現していると思います。これにより登山は山に登らずとも生涯、山を楽しめるものであると気づかされました。
私が公益社団法人日本山岳ガイド協会の認定登山ガイドとして山で話す蘊蓄のバンクボーンにもなっております。
私の基本書(初心者だった頃の)
. (書名) 著者 出版社 読書評(私見)
1 日本百名山 深田久弥 新潮出版 日本百名山登山のバイブルです。文学的・地誌学的にも素晴らしい一冊。日本中の山を登って山の「品格」、「歴史」、「個性」があり1500m以上(例外筑波山、開聞岳)の山から選定した100山。一つ一つの山が原稿用紙5枚に詳しく調べ上げた歴史、品格、個性そして氏の想いが集約されている山岳文学の金字塔。
終戦後、中国から復員し、文学者としてのトラブルの10年を過ごした後「山の文学者」としての地位を築いた一冊。⇒参考:「日本百名山」の背景 深田久弥・二つの愛
現在では選定されている山の中で百名山に値しない山もあるとか、それ以外の山が登られないなど百名山の功罪論じられる。しかし、現在のように交通の便も無く、登山道もない時に藪漕ぎをしながら登ったしずかな山のたたずまいが伝わってくる。現在百名山を登っている人たちが百名山を登りきった後、登山の楽しみをそこで辞めたと言うのを聞いたことが無い。確かに百名山2回目という人もいるが、むしろ百名山を以外の山に目が開けたという人たちが多い。多くの中高年がこの本を読んで人生の楽しみとして登山を知るきっかけになっていることは間違いない。その意味では「深田久弥の日本百名山」は山を知り登山を楽しむバイブルとしての位置づけは間違っていないであろう。
2 山頂の憩い 深田久弥 新潮新刊 百名山その後などエッセイが多数。
3 山と渓谷 . 山と渓谷社 現在の登山の基本情報誌でしょう。季節ごとのいろんな特集も山行計画に役に立ちます。
毎年1月号の「
DATA BOOK 山の便利帳」は全国の主要登山地情報、行程表、登山カレンダー、バス路線、登山用具販売店まで山に関するほぼ全ての情報が網羅されている優れものです。利用可能な携帯電話まで掲載されています。
4 山渓JOY(2010年秋号閉刊) . 山と渓谷社 こちらも同じく・・季刊でこだわった編集がポイント2007年10月嘉門次小屋の囲炉裏端で女性編集者と隣同士になって以来、この本ががますます身近なものになりました。
5 岳人 . 東京新聞出版局 山と渓谷に並ぶ登山専門誌。秋山と夏山の季刊がある。ヤマケイより少し専門的な特集が組まれることもある。毎月15日発売。
6 山と高原地図 昭文社 一番使われている登山マップ。山を熟知した著者によるルートを紹介した小冊子が付いている。
7 改訂新版 日本百名山登山ガイド (上・中・下巻) . 山と渓谷社 2006年に刊行された『決定版 日本百名山登山ガイド』から、紹介山岳の写真をほぼ全山にわたり差し替。アクセス・交通機関も最新に改定。
8 日本百名山地図帳 . 山と渓谷 百名山の情報が1冊に収まり山の全体像が俯瞰でき想像できるワイドな地図。登る前にもそして登ってからも楽しめる一冊。
9  日本の高山植物400  新井和也  文一総合出版  2013年夏剱岳で亡くなった新進の植物カメラマンのポケット図鑑。色ごとに分類されとても探しやすい図鑑である。
10   百万人の山と自然
講座 登山<基礎>
 公益社団法人日本山岳ガイド協会  公益社団法人日本山岳ガイド協会  山岳ガイド・自然ガイドの養成と共に多くの人に対して安全登山の普及開発を事業目的とする公益社団法人日本山岳ガイド協会が「安全の為の知識と技術」の為にまとめた2013年4月に発行された登山の入門書である。我が国の安全登山の普及を目指す責任団体の一流の執筆陣によりまとめられている。初心者に限らずと登山愛好者は自らの登山を振り返るために読むことをお勧めします。
山の情報・技術書
書名 著者 出版社 読書評(私見)
1 岩崎元郎校長の登山学  無名山塾編 山と渓谷社 中高年登山のカリスマ岩崎氏の山に関する基本的な考え方。「連れて行ってもらう」から「連れて行く」という意識の変革を求めるものです。
2 全図解 クライミングテクニック 堤 信夫 山と渓谷社 基本的なクライミングに関する技術・知識
3 全図解 レスキューテクニック 堤 信夫 山と渓谷社 基本的なレスキューに関する技術・知識
4 山で死なないために 武田文男 新潮文庫 少し古いが朝日新聞の記者が書いた山の現状、問題点をえぐったレポート。山の初心者
5 続・山で死なないために 武田文男 新潮文庫 ⇒が知っておくべき現在の登山の背景を理解できる。山小屋での殺人事件などショッキングな記述もある。
6 生と死の分岐点 ピット・シューベルト 黒沢孝夫 訳 山と渓谷社 かなり高度な内容の技術書発生した転落事故の原因を詳細に分析し、生々しい事故の写真も掲載されている。
7 フリークライミング 北山真他 山と渓谷社 2008年の梅雨、この夏の剣岳登山に備えて浦和のクライミングジムに通い人口壁を使ったフリークライミングとボルタリングを体験しました。そのための基本書でした。
ハーネスをつけ、夫婦でお互いにザイルで確保しながら人口壁を登り、ザイルを頼りに下りるロアーダウンを経験をしました。これは岩壁に対する登攀の意識・技術を大きく向上させてくれました。フリークライミングではある意味三点支持(確保)を否定(?)して重心の移動によりバランスの確保をすることなど斬新でした。登山のスキルアップのためにはフリークライミングの重心移動とザイルに自分の体を預け宙に浮く体験をすることはいいとだと思います。(剣岳ではハーネス・ザイルをは使うことはありませんでしたが・・)
8 マップ・ブック BE-PAL 地図を読み解くための基本知識がコンパクトにまとまっている。初心者用の基本書でしょう。
9 ハイグレード登山技術 菊池敏之 東京新聞出版局 3000m峰から冬山までコンパクトで内容の充実した基本技術書
10 山を考える 本多勝一 朝日文庫 少し古いが朝日新聞の記者が書いた登山に関するレポート。
11 山で死ではいけない 遭難しないための安全登山100のポイント 別冊山と渓谷 山と渓谷社 全国で発生した登山事故のポイントと事例を地図上で示し、登山の現状と共に登山に必要な心構え基礎知識、対策を網羅的に解説。これから登る山でどのような事故が発生しているかを知ることはとても有用で、100名山を目指す中高年にも基礎的な知識として一読をお勧め。
12 カシミール3D入門 杉本智彦 実業之日本社 国土地理院から刊行されている数値地図をはじめ、様々な地形データや標高データなどを元に山岳展望をレンダリングするソフトの解説本。登山を楽しむためには使いこなすことをお勧めします。
ルートの軌跡や断面を表示したり、地図上の場所からの景観を写真に撮ったように表示できる優れもののフリーソフト。ソフトはダウンロードできるが詳細な地図データーは入手する必要がある。最新版では国土地理院の地図データーを簡単に利用できるようになってきた。
入門版:20万分の1の全国地形図、5万分の1の関東甲信越周辺の地形図、50mメッシュ全国標高データー
応用編:名古屋〜沖縄までの西日本全域の5万地形図を収録。カシミール3DのGPS関連機能を中心に、話題のハンディGPSの紹介から使い方、関連ソフトウェアまで解説
パーフェクトマスター版:5万分の1の北海道から東北の地形図データが付いている。
3冊で全国の5万分の一の地図が揃います。
. カシミール3DGPS応用編 杉本智彦 実業之日本社
13 カシミール3Dパーフェクトマスター 杉本智彦 実業之日本社
14 ドキュメント 道迷い遭難  羽根田修 山と渓谷社 【掲載内容】@南アルプス・荒川三山:1999年8月、A北アルプス・常念岳:2001年1月、B南アルプス・北岳:2001年1月、C群馬・上州武尊山:2002年5月、D北信・高沢山:2003年5月、E房総・麻綿原高原:2003年11月、F奥秩父・和名倉山:2005年5月の実際に発生した道迷い遭難の迫真の実名インタビューレポート。遭難後自らの失敗を話したがらない登山者心理の中で冷静に振り返って話してくれたことは登山者にとってありがたい。(但しE房総の事例は遭難とはえす、マスコミにより遭難とされてしまった例といえる。)
後書で、「しまった、道に迷った。と自覚したときにはもうかなりの距離を歩いてきているので、いまさら引き返す気になれない。この時点であっても引き返すことが最良の手段なのだが、当事者の頭の中にもうその選択肢は無い。「このまま行けばどこかに出るはずだ」という淡い期待にすがりやみくもに前進を続けていく。しかしやがて行くてには滝や崖や藪が立ちふさがる。それを避けながら進むうちにますます袋小路に追い詰められていき、最後には滝や崖を強引に突破しようとして転落してしまうのである。或いは体力が尽きて行動不能になる。。これが道迷いの典型的なパターンである。
・・「おかしいと思ったら引き返せ。」、「道に迷ったら沢を下るな。」というのは山の鉄則である。必読の一冊である。
15 すぐに役立つ 山のメモ帖 山岳編集部 編 東京新聞出版社 山の情報誌「山岳」に1996年1月号から1999年6月号まで「掲載された21人の執筆者による95編。山に関する多方面の情報が各編見開き2頁で簡潔にまとめられている。
第1章登山の楽しさ;第2章道具と技術;第3章天候・地質・地理の知識;第4章登山と食べ物;第5章山の動物・植物;第6章自然環境を見つめる;第7章山の文化誌
16 定年からのマイカー登山ふたり旅 篠原郁夫 西日本新聞社 定年になってから夫婦で楽しむ登山とドライブのガイド。福岡市在住の著者が定年を機に妻にも運転免許をとってもらい、2人で全国のドライブ旅行を始めた。平成3年からは登山を主に、資料を集め予定表を作って実行し、本書では南北アルプスから東北の山々、宮之浦岳まで9つのルート、計116日間の旅の記録を紹介されている。ルート、ルートタイム、宿泊先、走行距離・所要時間、費用など詳細データも満載されいる。定年後時間のある登山者には有益な一冊であるが、それ以外の登山者に、計画の立て方のポイントなどとても有益なお勧めの本である。著者の計画の綿密性と実行力に感服です。
17 新ハイキング ・月刊 新ハイキング社 ハイキングとはいうものの、街中や郊外のハイキングから、アルプス登山から雪山まで、季節に応じた登山の情報を提供してくれる。特に毎号ごとの特集はロングトレールから雪山スノーシューイング、そして「おすすめのガイド」など山の情報が詳細である。特に新ハイキングクラブの支部による企画山行は玄人受けする選択で百名山しか知らない人にとってもそのバリエーションの楽しみ方としても有用である。またレポートは文章がコンパクトでとても上手く、執筆担当者が山を楽しみ愛している様子が伝わってくる。また各支部の山行は巻末に全ての参加者名とルートなどととも紹介され参加意識がもリあがる。クラブの山行は会員でなくても参加できるものもあり、これから登山を始めたい方には有意義な指導者たちに恵まれるかもしれない。
18 目で見る日本登山史 
 (別巻:日本登山史年表)
山と渓谷社 山と渓谷社 信仰登山から始まった我が国の登山は明治になり外国人たちによりヨーロッパのアルピニズムが伝えられ、大正時代に一気に開花する。年代順に4部に構成し全26章80項を貴重な写真と解説により紹介し我が国の登山の歴史をあますところ無く伝えてくれる。
19 新日本山岳誌 日本山岳会編著 ナカニシヤ出版 日本山岳会創立100周年記念出版として、いみじくも同会の第2代会長で創立メンバーでもある高頭式が明治39年(1906年)「日本山嶽志」を出版してから100年目に当る2005年に日本山岳会の各支部の総力を結集して編まれたものである。1974頁。18000円。北方領土にある茂世路岳から尖閣諸島魚釣島のナラハリ岳まで約3000座を各支部のメンバーにより「山の名称、標高、所在地、登路、地図」など山を熟知した者だけができる簡潔でまた豊かな内容であふれている。日本中の主だった山のほぼ全てがここに収まっている。日本山岳会でなければできない一冊である。図書館で予約して受け取ったときにその大きさにビックリした。図書館で是非読んでみて頂きたい1冊です。
20 ピッケル&アイゼンワーク 遠藤晴行 山と渓谷社 ピッケルとアイゼンの基本的な技術がコンパクトに解説されている。
 21  山岳気象大全  猪熊 隆之 山と渓谷社  タイトルは大仰であるが写真や天気図など視覚的にも分かりやすく、説明も気象の一般的な知識に山岳気象の特性を交えて分かりやすく説明されている。ネットで比較的簡単に情報が入手できる時代でも観天望気は登山者にとって最小限度の命を守る磯知識です。猪熊氏はヒマラヤなどの登山のサポートでも知られていますね。
22   入門講座 2万5000分の1地図の読み方  平塚晶人  Be‐pal books  100枚ほどの2万5千分の1地図が別冊になってついていて、それを片手にしながら地図の読み方のを開設している。地図上での沢と稜線の見方から始まり、磁石を用いての現時点の確認方法、地図の折り方、実践での地図の使い方など、平塚晶人氏の地図読みのノウハウが詰め込まれています。読み終えると地形図が読めるようになった気持ちになります。山を楽しむ為には25000分の1の地形図を使いこなすことは必須です。
23  高みへ 大人の山岳部  笹倉孝昭  東京新聞  本の帯に「登山靴の結び方からロープによる確保理論、雪山での生活技術や雪崩対策まで、登山とクライミングの知識を体系的にまとめた・・学生時代に山岳部で学べなかった大人たちとこれから登山を志す若者に送る一冊」とあるが、登山を楽しんでいる大人たちの正確な技術を再確認する一冊である。
 24  花の百名山  田中澄江  文春文庫  ご存意、花への愛おしさにあふれるエッセイです。それぞれの山の特徴的な花々が紹介されており深田百名山と共に読みたい。
 25 ボルタリング入門  佐川史佳  山と渓谷社  ボルタリングのデビューにもステップアップにもコンパクトにまとまった指南書。
26  山に咲く花  門田裕一監修  山と渓谷社  山で出会う素敵な花々が一覧できる。
27   野鳥ガイドブック    長岡書店  コンパクトにまとまった野鳥のガイドブック
28   Climber's bible(上)理論編 内藤直也編  有限会社フォロンティアスピリッツ  クライマーズバイブル(上)理論編はボルタリング施設のPAMP系列を運営する有限会社フォロンティアスピリッツの代表者内藤氏が総合プロデューサーとしてボルタリングの基礎理論を構築した正にバイブルと呼ぶにふさわしい一冊。一般のボルタリングの本で触れられていない体幹に関する黄金の三角形手のスイッチ、足のスイッチ等はボルタリングはボルタリングの黄金の基礎理論と言えます。
29   Climber's bible(下)トレーニング編理論編  内藤直也編  有限会社フォロンティアスピリッツ  クライマーズバイブル(下)トレーニング編 理論編を基礎してフォームとムーブ並びに怪我をしない体を作るためのトレーニング編
小説・随筆等
書名 著者 出版社 読書評(私見)
1 怒る富士(上)、(下) 新田次郎 文春文庫 宝永の大噴火の山麓農民救済に立ち上がった関東郡代 伊奈半左衛門忠順の活躍を描く。
2 芙蓉の人 新田次郎 文春文庫 明治時代、富士山頂に民間測候所作った野中至とそれを支えた妻千代子の感動の物語。
3 富士に死す 新田次郎 文春文庫 富士山信仰中興の祖といわれる僧身禄の苦行の一生。現在の富士山にも問題を提起している。
4 富士山頂 新田次郎 文春文庫 富士山レーダー設置に至るまでの著者の自伝的な一冊。
5 強力伝・孤島 新田次郎 文春文庫 新田次郎の処女作。白馬山頂に50貫の方位版をあげた富士山の強力小宮の命を賭けた荷揚の物語。当初小宮に敵意を抱いていた信州の強力・鹿野も、小宮の迫力に押されていつしか協力するようになる。静岡の強力小見山正がモデルといわれる。
6 槍ヶ岳開山 新田次郎 文春文庫 槍ヶ岳を開山した修行僧播隆の一生。
7 劔岳(点の記) 新田次郎 文春文庫 登ることが出来ないといわれた劔岳に三角点設置の命を受けた柴崎芳太郎測量官の物語。
2009年6月公開された監督・撮影:木村大作 出演者:浅野忠信 香川照之 松田龍平 仲村トオルの同名の映画の原作劔岳に登るに際しては是非読んでいくといい
8 八甲田死の彷徨 新田次郎 新潮文庫 日露戦争前夜厳冬の八甲田山で遭難した弘前31連隊の物語。
9 孤高の人(上)、(下) 新田次郎 新潮文庫 単独行の加藤文太郎の一生を描く。
10 銀嶺の人(上)、(下) 新田次郎 新潮文庫 今井道子・若林美子さんの二人をモデルに書かれたもの。
11 栄光の岩壁(上)、(下) 新田次郎 新潮文庫 高校生のときに雪の八ヶ岳で両足を失ったのち不屈の精神と努力で渡部恒明とともにマッターホルン北壁の日本人初登攀を達成した芳野(本名:服部)満彦氏をモデルにした作品。
12 先導者・赤い雪崩 新田次郎 新潮文庫 上越国境を縦走する女性4人と男性リーダーのパーティーが遭難死に至る極限状況における心理描写。
13 蒼氷、神々の岩壁 新田次郎 新潮文庫 アイゼンも寄せ付けないの蒼氷に被い尽される富士山測候所と谷川岳の岩壁に挑戦する物語
14 縦走路 新田次郎 新潮文庫 冬の八ツ岳で出会った男女のサスペンスタッチの物語。
15 アイガー北壁・気象遭難 新田次郎 新潮文庫 取りつき点から頂上まで1800メートルの巨大な垂直の壁に挑んだ2人の日本人登山家高田光政、渡辺恒明の実名小説
16 アラスカ物語 新田次郎 新潮文庫 アラスカのモーゼと呼ばれた日本人安田氏の物語
17 日本の名随筆 山 北 杜夫 作品社 名筆家の山に関する随筆を集めた北杜夫編の珠玉の一冊です。収録された執筆者とタイトルだけでもその素晴らしさが感じていただけるでしょう。
【掲載内容】「今井通子:私の雪山アタック作戦、今西錦司:初登山に寄す、上田哲農: ある登攀、尾崎喜八:一日の王、折口信夫:山の湯雑記、加藤文太郎:単独行について、北杜夫:高山の蝶、串田孫一:孤独な洗礼、桑原武夫:山遊び、小島烏水:槍ヶ岳第三回登山、佐伯富男:あるガイドの手記(抄)、佐多稲子:尾瀬の水芭蕉、田中澄江:初秋の山と花たち、田淵行男:霧の山稜、田部重治:笛吹川を溯る、辻まこと:キノコをさがしに行ってクマにおこられた話、辻村伊助:登山の朝、中西悟堂:入笠山の探鳥、中村清太郎:山岳浄土、新田次郎:富士山に賭けた時代、早川鮎子:穂高岳屏風岩にて、深田久彌:地図を見ながら、古井由吉:山に行く心、本多勝一:雪の塩見岳、槇有恒:山村の人と四季 夏、松浦佐美太郎:穂高・徳沢・梓川、松方三郎:山ときどき(抄)、松濤明:山想う心、三浦雄一郎:死の大滑降・二分二十秒(抄)、三田幸夫: こわれた魔法壜、芳野満彦:山靴の音」
甲武信岳を登ったとき登山口の西沢渓谷にある田部重治の石碑の出典を探して巡り会い、内容の豊富さに感動しました。
18 日本アルプス 登山と探検 W・ウェストン 平凡社 日本アルプスを世界に紹介し、我が国の近代登山の父といわれるウォルター・ウェストンの日本滞在中の登山記。素晴らしい内容です。槍ヶ岳、乗鞍岳、立山、穂高岳、御岳などへの登山や周辺地域の民俗がユーモアと愛情にみちた文章でつづられた山岳文学の古典。
日本の登山の先駆者たちもこの書物によって近代登山に開眼したという。
19 日本アルプス再訪 W・ウェストン 平凡社 「日本アルプス 登山と探検」の後編。登山の記述以外に明治初期の山間部の人びとの生活が見事に描かれ文化人類学的にも貴重。
20 氷壁 井上靖 新潮文庫 1955年1月2日、前穂高岳東壁を登攀中の岩稜会(三重県鈴鹿市・石岡繁雄会長)の3人パーティの一人、若山五朗(当時・三重大学1年生)が50センチほど滑落、頭上の岩にかけた1トン以上の引っ張りに耐えるというメーカー保証つきの新品8ミリナイロンザイルがショックもなく切断、墜死したザイル切断事件を題材にし、1956年2月24日から57年8月22日まで「朝日新聞」に連載された名著。製造物責任法(PL法)制定のきっかけになった事件です
21 富士案 芙蓉日記内 大森久雄編 平凡社 野中至・野中千代子の厳冬期の富士山頂での観測の厳しさが綴られる。
22 青春を山に賭けて 植村直己 文春文庫 植村直己の登山・冒険の原点が書かれている。無謀とも思える行動力・決断力と対応力には脱帽である。世界で初めて世界五大陸最高全てを登頂(同時に日本人初のエベレスト登頂)、アマゾン川単独いかだ下り・世界初の北極点犬ゾリ単独行・北極点到達等が書かれている。
23 山の絵本 尾崎喜八 岩波文庫 詩人が描く登山のエッセイは一味違います。美ヶ原にたつ美しの塔に書かれた詩を詠んで尾崎喜八の本を探してみました。有名な「思い出を残して歩け。すべての場所について一つびとつの回想を持つがいい。」はこの本の中の一説です。
24 マッターホルン北壁 小西正継 中央文庫 厳冬期マッターホルン北壁第三登は、山岳同志会隊による初の海外遠征の登攀記録。1967年2月、小西政継、星野隆男、遠藤二郎の3人のパーティで成功。
25 山とある日 上田鉄農 中央文庫 明治44年生まれ。画家で登山家。少し古いですが
26 雪煙をめざして 加藤保男 中央文庫 埼玉県さいたま市(旧大宮)出身の世界的クライマーの自伝・・・彼のパワフルな登山が書かれておりエベレスト3回目の登頂後に遭難死する。アイガー北壁、グランド・ジョラス北壁、マナスル、エベレストなどの体験が語られている。8000m峰に4度、エベレストに3度の登頂を果す。エベレストをネパール、チベット両側から登頂したのは世界初。兄は新田次郎の「銀嶺の人」の中で日本人隊アイガー発登攀の隊長佐久間博のモデルである登山ガイドの加藤滝男氏である。
27 黒部の山賊 アルプスの怪 伊藤正一 実業之日本社 三俣山荘のオーナーの伊藤氏が小屋を開いた頃、北アルプスの山賊と呼ばれた男たちがいた時代の話。三俣山荘で買ってきた。山小舎を開いたときの苦労話や黒部源流の幽霊の話など・・
28 山の旅 明治・大正編 近藤信行 岩波文庫 少し文体が古く読みにくいところもあるが小島烏水ら日本近代登山の先駆者たちや正岡子規・幸田露伴・夏目漱石ら文人たちの新鮮な驚きに満ちた山旅のエッセイ。「明治・大正篇」。
【掲載内容】乙酉掌記(抄)(松浦武四郎)、旅の旅の旅(正岡子規)、寒中滞岳記(野中到)、知々夫紀行(幸田露伴)、二百十日(抄)(夏目漱石)、西蔵旅行記(抄)(河口慧海)、尾瀬紀行(武田久吉)、利尻山とその植物(牧野富太郎)、木曽御嶽の両面(吉江喬松)、白峰の麓(大下藤次郎)、峠に関するニ、三の考察(柳田国男)、越中劔岳先登記(柴崎芳太郎*何故かこの中に名案内人宇治川長次郎の名前が出てこない。)、穂高岳槍ヶ岳縦走記(鵜殿正雄)、槍ヶ岳に登った記(芥川竜之介)、赤城にて或日(志賀直哉)、平ヶ岳登攀記(高頭仁兵衛)、皇海山紀行(小暮理太郎)、日本アルプス縦断記(抄)(長谷川如是閑)、山恋ひ(抄)(宇野浩二)、欧州アルプス越え(加賀正太郎)、アルペンコ行(抄)(鹿子木員信)、スウィス日記(辻村伊助)、火と氷のシャスタ山(小島烏水)
28-2 山の旅 大正・昭和編 近藤信行 岩波文庫 槇有恒のアイガー発登攀など登山人口の飛躍的な広がりとともに様々なかたちの山旅が生まれた昭和三十年代までのエッセイ。
【掲載内容】アイガー東山陵の初登攀(槙有恒)、春の槍から帰って(板倉勝宣)、涸沢の岩小屋のある夜のこと(大島亮吉)、松尾坂の不思議な幻影を思い返して(三田幸夫)、名山富士(松方三郎)、頂上へ(松浦佐美太郎)、カイラース一周(長谷川伝次郎)、尾瀬の四季(平野長蔵)、十字峡(冠松次郎)、谷四題(西岡一雄)、二つの松川(細井吉造)、層雲峡より大雪山へ(大町桂月)、雪の武石峠(別所梅之助)、遍路(斉藤茂吉)、山道(中里介山)、春の仙元越え(河田驕j、可愛い山(石川欣一)、案内人風景(百瀬慎太郎)、中尾峠(赤沼千尋)、岳は雪ずら(田中薫)、鹿島槍から五竜への三日路(村井米子)、一ノ倉沢正面の登攀(小川登喜男)、春の白出沢(山崎安治)、雨の上高地(寺田寅彦)、七面山所見(井伏鱒二)、カラの平(小林秀雄)、信州入笠山の探鳥(中井悟堂)、霧ヶ峰「山の会}(岡茂雄)、山岳礼拝(中村清太郎)、山を描く楽しさ(足立源一郎)、山と漂白(伊藤秀五郎)、マナスルの偵察(今西錦司)、マナスルの印象(槇有恒)、ガンジャ・ラ越え(深田久弥)、北釜尾根への死の登攀(抄)(松濤明)、山頂の石(田淵行男)、岩小舎の記(山口耀久)
29 アルプス登攀記 ウィンパー 石 一郎 訳 旺文社文庫 「魔物が住む山」として恐れられアルプスの高峰の中では最後まで登頂が許されなかった急峻な世界的名峰マッターホルン(標高は4478m)。1865年、イギリスの若き登山家、エドワードウインパー(挿絵画家)が7名で初登頂!しかし下山中、7名中4名が転落事故で落命した。魔の山マッターホルン登攀目指した山岳書の古典
30 マークスの山 高村薫 早川書房 野呂川沿いの飯場で発生した殺人事件と夜叉神峠で発生した心中事件で生き残った少年が成長して二つの事件が絡み合っていく・・北岳を舞台にした109回直木賞を受賞した小説 映画化もされ最後は北岳山頂での捜索というものであった。ビデオを借りてみたが北岳を知っているものには少し疑問点もある・最後の北岳山頂での場面の撮影は登山のベテラン達が機動隊員になり参加したらしく、北岳山頂のほか、宝剣岳や主役の中井貴一氏が登れる菅平の根子岳などが使われたという。
31 山なんて嫌いだった 市毛良枝 山と渓谷社

テレビ等で活躍し、現在では登山家の肩書きも持つようになった女優市毛良枝さんが初めて登った燕岳登山以来過密なスケジュールをぬって山に魅せられていく様子が良くわかるエッセイ。

32 ピッケルと口紅 女たちの地球山旅 北村節子 東京新聞出版局 女性としてエベレスト初登頂を目指す登山隊を取材に行った読売新聞入社したての山好きのお嬢さま記者が田部井淳子とめぐり合い、押しの一手でエベレスト登山隊のメンバーになり、田部井氏をして物怖じしない性格で序列のきびいしい女性登山隊の集まりを改革したと言わしめた著者がそののち田部井氏とともに世界中の山を巡りるエッセイ。
33 私の南アルプス 不破哲三 山と渓谷社 日本共産党中央委員会議長であった氏が愛した夏の南アルプスの10年間の巡礼報告。共産党の活動家の別の一面が見られてとても親近感が湧く一冊。
34 小屋番 三六五日 . 山渓叢書 山と渓谷に5年間連載された、全国の小屋番たちのリレーエッセイ。山小屋の苦労が理解できます。
35 山の自然学 小泉武栄 岩波新書 北海道から鹿児島までの山を取り上げて植物分布や地形・地質の不思議を簡潔に解説。山に関するなぜが(?)が詰まった百名山に登る前に読んでおきたいお勧めの1冊
36 「日本百名山」の背景 深田久弥・二つの愛 安宅夏夫 集英社新書 日本百名山の選者、深田久弥氏の戦前戦後の作家としての創作経緯と終戦後10年を経て山の文学者として復活する経過を彼を支えた二人の女性を通して検証した一冊。雨飾山が深田氏の文学というか人生のターニングポイントとなった山だったとは・・・。
37 山を楽しむ 田部井淳子 岩波新書 女性初のヒマラヤ登頂者田部井淳子氏の山を楽しむ紀行文。
38 新選 山のパンセ 串田孫一 岩波文庫 詩人、哲学者である串田孫一の山を巡る随想集。詩的で平易な文章で綴られた山の名著である。ザックに納める一冊としてお勧めです。
39 山道具が語る日本登山史 布川欣一 山と渓谷社 山と渓谷に昭和60(1985)年1月号から昭和61(1986)年12月号までの24回と昭和63(1988)年6月号から同年12月号までの7回連載された合計31回の山道具を通じて我が国の登山の歴史を検証した素晴らしい一冊。表紙は畦地梅太郎画伯の「雪渓の二人」の版画、裏面は氷壁のモデルとなったナイロンザイル事件の切れたザイルの写真が使われている。
【掲載内容】
立山曼荼羅(信仰登山)、播隆の遺品(槍ヶ岳開山)、野中夫妻の著書と日記(富士山頂越冬)、川口彗海の日記と書簡(チベット入り)、明治、大正、昭和の山岳書(近代登山の幕開け)、ウェストンのピッケル(日本山岳会設立)、冠松次郎の地形図(黒部探検)、白馬山荘初期の道具類(山小屋開業)、喜作新道の開削道具(表銀座縦走路)、藤原夏夫の山道具(山案内人)、立山・針の木越え記録映画(雪山への挑戦)、藤木九三の登攀具(RCC)、加藤文太郎と山スキー(単独行者)、先駆者たちの装備品(女性の登山)、山内、門田第一号(国産ピッケル)、たかはし初代作の製品(登山靴)、片桐初代作の製品(キスリング型ザック)、シュナイダーの愛用具(新しいスキー術)、柴崎高陽の写真機(山岳写真)、鹿島山荘の登頂者名簿(岩と雪の登山者群像)、堀田彌一の装備品(初のヒマラヤ登頂)、松濤昌の山行ノート(風雪のビバーグ)、切れたナイロン・ザイル(「氷壁」を生んだ事件)、高所用ミード型テント(マナスル登頂)、芳野満彦の山靴(三大北壁への挑戦)深志高校生の遺品(西穂落雷事故)、酸素ボンベとH型マスク(エベレスト登頂)、EBスーパー・グラトン(フリークライミング)、長谷川恒男の登攀具(三大北壁冬季単独初登攀)、松田宏也の装備品(ミニヤ・コンカ奇跡の生還)、松村直樹の生活用具(極点への挑戦)
40 日本風景論 志賀重昂(しげたか) 岩波文庫 我が国の近代登山に大きな影響を与えた1冊といわれる古典的名著。「・・登山の気風を興作すべし」と記する。日本風景は地球上で特絶なものである。その特徴は「瀟洒」(しょうしゃ:すっきりして垢抜けしている様子、上品で泥臭いところが無い様としている)、「」、「跌宕」(てっとう:のびのびして雄大な形、或いはおもわぬところにはっと息を呑むような絶景が現れるという意味か・・)の3点であるとしている。いささか古風な文体で読みにくいが、慣れてくるとリズムがあり心地よい文章です。しかし、穂高岳や北岳、赤石岳は出てこない・・
41 山の旅 本の旅-登る歓び、読む愉しみ 大森久雄 平凡社 著者は朋文堂などで山岳関係書籍の出版に携わってきた人で、深田「日本百名山」の企画者であったことで有名。この本と出会って、登山と本の歴史、山の本と山の旅の関係、登山の本質がよく理解できた。
表紙の裏に信濃大町の旅館対山館の主人で歌人でもある百瀬慎太郎の有名な「山を想えば人恋し、人を想えば山恋し」という絶唱を模した「「山を歩けば本が思い出され、本を読んでは山がなつかしくなるものである。」という一言に表されている。登山が本を読むことによりより深く有意義なものになる。お勧めの一冊である。
42 The Sense of Wonder (センス・オブ・ワンダー) レイチェル・カーソン 遠藤恵子訳 佑学社又は新潮社  化学薬品による環境汚染にいち早く警鐘を鳴らした名著『沈黙の春』の著者レイチェル・カーソンの遺作として、彼女の友人たちによって出版されたのが本書。メイン州の海岸と森で姪の息子ロジャーと共に過ごした時間を通じて「神秘さや不思議さに目を見はる感性」をいつまでも失わないで欲しいと語りかける名著。
43 神々の山領(いただき)(上)・(下) 夢枕獏 集英社 深町誠というカメラマンがカトマンズで、古い壊れた蛇腹式のマロリーが持っていたといわれる「ベストポケット・オートグラッフィック・コダック・スペシャル」というカメラと巡りあうところから物語が始まる。そこで毒蛇と呼ばれる日本人と会う。その男は羽生丈二。前人未到のエベレスト南西壁冬期無酸素単独登頂に挑む。細部にいたるまで登山の描写、心理状態、苦しさ、痛さが画かれており、後書きで夢枕獏氏をして「書き残したことはありません」と言わしめている。羽生のキャラクターターモデルは森田勝という実在の登山家であるが性格その他の設定は全てフィクションとなっている。長谷常雄は長谷川恒夫がモデルであることはすぐにわかる。それにしても羽生の生き様はものすごいものがある。
*私達の山の師匠から「どうだまいったか。という力作なので読んでみたら」というメールがあり図書館で借り、上下900ページほどの大作であるが一気に読みきってしまった。コミックも素晴らしいという。
43-2 神々の山領コミック(1)〜(5)  原作:夢枕獏
画:谷口ジロー
集英社 原作を谷口ジローの精緻なペンタッチ、描写力により登山者の前に聳える岩壁の迫力、極寒の中混濁し失われそうになる意識・・その中で生きようとする強い意志・・極限の登山が緻密にまた余すところなく描かれている。引きずりこまれ一気に読んでしまう。最高の山岳漫画である。
44 百歳、山スキーと山岳写真に生きる 三浦敬三 草思社 101歳で亡くなったプロスキーヤー、山岳写真家である三浦敬三氏のスキーの山岳写真の人生を書いた自伝。スキーの技術に対する拘りととそれにそれを継続するための健康管理には敬服息子の雄一郎氏が青森のスキー連盟を批判したため除名されアマチュア資格を失いプロとなり、三浦一家が故郷の冷たい仕打ちに追われる様に青森を出て行った経緯も書かれている。しかし、八甲田の山をこよなく愛していて、2008年春101歳のときも八甲田で滑っていた写真が酸ヶ湯温泉に掲示されていた。
45 新編 山と渓谷 田部重治 岩波文庫 明治から大正の登山黎明期の名著。秩父の山や北アルプスに分け入るパイオニアたちの山の楽しみ方が手に取るように理解できる。
46 死者は還らず 山岳遭難の現実 丸山真樹 山と渓谷社 従来タブー視されていた山の遭難の実態とその原因を、9件の遭難実例をあげて報告。自然の猛威、経験の未熟、パーティ構成、結果責任等、遭難の現実を報告している。登山をやるものならその心理状態について考えさせられる一冊。
47 生還 山岳遭難からの救出 羽根田 治 山と渓谷 山で遭難し生死をさまよった後、危機を乗りきって無事生還した登山者に取材し、生還した原因を分析したノンフィクションのドキュメント。些細なことが遭難の原因になっておりとても参考になる一冊。
48 穂高を愛してニ十年 小山義治 中央文庫 北穂高小屋を建設した小山義治の物語。北穂小屋を作るために大きな木材を担いで北穂に登る場面は壮絶。
49 喜作新道 ある北アルプス哀史 山本茂実 朝日文庫 槍ヶ岳への縦走路「喜作新道」を開いた超人的山男・鉄砲撃ち名人小林喜作の謎に包まれた生涯。忙殺説が囁かれる親子の死について筆者の詳細な取材に基づき貧しい山村の悲しい現実から喜作親子の死の真相に迫る。小林喜作の人柄や当時の北アルプスの状況、殺生小屋の所有権に関する・・あまりにも悲しい現実など・・
50 ヒト、山に登る 柏瀬裕之 白水社 近代登山の嚆矢(こうし)といわれるモンブラン初登頂に隠された事実と何故人が山に登るか等、登山者の心理状態等を書いたエッセイ。著者は簡単に読めると書いているが、少し哲学的な登山書。
51 ピッケルを持ったお巡りさん 登頂なきアルピニストたちの二十年 富山県警察山岳警備隊編 山と渓谷社 富山県警察山岳警備隊創設20周年を記念して出版された本書は剣岳周辺で起こった遭難の救助に当った警察官たちの生々しい事故の報告とともに、遭難した登山者や遺族たちの手記で綴られている。山岳警備隊や民間救助隊の活躍や事故現場の悲惨さが手に取るようyに分かる。
52 ウォールデン 森の生活 ヘンリー・D・ソロー 岩波文庫 米国の古典的名著。登山の本ではないがウォールデンの湖畔の森の中に自らの手で小屋を建て、自給自足の生活を始め、湖水と森の四季の佇まい、動植物の生態、読書と思索――自然と共に生きた著者の生活記録。「立って半畳 寝て一畳」の真髄。人間にとって真に必要なものは何かを考えさせてくれる。アウトドアを始めた頃に読んで今では大事な本の1冊になっている。ザックに収める一冊としてお勧め。
53 暗い山と栄光の山 M・H・ニコルソン 大黒和子訳 国書刊行会 17世紀から18世紀まではキリスト教が生活の基盤にあるヨーロッパの人々にとって山は自然の美観を損なう不愉快な突起物でしかなく「疣(いぼ)、瘤(こぶ)、火ぶくれ」と考えていた。それまでのヨーロッパでは我が国のように山には神々が宿る清浄な場所というという山岳信仰とは異なり、山や谷は貪欲で罪深い人間達への神の怒りのためノアの箱舟の洪水によって生じた神の怒りの印であり、キリストを処刑したローマ総督ポンティウス・ピラトゥス(ポンテオ・ピラト)は後に処刑されその遺体を埋葬したら魔物が出たため、その遺体をバラバラにしてアルプスの谷に捨てたという伝説もあるように山は不浄な場所であった。しかし18世紀になって山の陰湿なイメージは一変する。詩人たちは山の麗さや崇高美を謳いあげアルプス詣でが始める。そして暗い山から栄光の山へと変貌していく。この本は女史が膨大な科学、哲学、文学資料を基にヨーロッパの山に対す考え方の変遷を研究した534頁もある大作である。この本はかなり詳細でヨーロッパの宇宙観や山岳思想の変遷をよく理解できる。しかし読むのはかなり時間がかかりました。
54 チベット旅行記1〜5 河口慧海 講談社学術文庫 仏教の原典を求めて、様々な苦難を乗り越えて初めてヒマラヤの山を越えて鎖国のチベットに入り、チベットのビックリするような風俗、習慣などを詳細の描写した壮大なアドベンチャー巨編である。慧海師の強靭な精神力と対応力で苦難を乗り越える姿が素晴らしい。
55 聖職の碑 新田次郎 講談社 大正2年・8月26日:長野県中箕輪尋常高等小学校の児童25名、同窓生9名、引率教師赤羽長重校長他2名の総勢37名は急変した台風の中を伊那小屋(現在の宝剣山荘の側にあった小屋。)の破小屋を修理してビバーグを試みる。翌27日未明から暴風雨をついて下山をはじめ,駒飼ノ池,濃ヶ池,将棊頭にわたり分散したが力尽きて赤羽校長以下11名が遭難死(疲労凍死)。詳細な取材により当時の長野県の教育界や町の様子、遭難の状況が詳細に描写されている。
56 新版 白いクモ アイガー北壁 ハインリヒ・ハラー 訳:横川文雄 二見書房 アイガー北壁を初めて登ったハインリヒ・ハラーによる北壁にチャレンジした登山家たちの物語。アイガー登攀史としの価値のほかに、アイガー北壁の難所が客観的に描写され、危険を犯して登山にチャレンジする価値等、冷静なスタンスで書かれており登山に関する名著である。登山という行為の冒険的な精神が、人生にとっても必ず有意義であると説いている。ハラーはその2年後にヒマラヤに遠征し、戦争が始まり、英国軍の捕虜となるが、脱走しチベットに入り7年間を過ごす。それが「セブンイヤーズ イン チベット」として知られる一冊である。「運命を分けたザイル2」を見たあとその原作ともいえるトニー・クルツの足跡をたどるために読んだ。何ゆえに、トニー・クルツが偉大な登山者と呼ばれるかの由縁が理解できる。アイガー北壁の登山は麓から全て観測されているというのがすごい。
57 長谷川恒夫 生きぬくことは冒険だよ 長谷川昌美/小田豊二 編 集英社 マッターホルン、アイガー、グランドジョラスの三大北壁冬季単独登攀をなし遂げた男長谷恒男。不死身とも思われていた長谷川の登山に取りかかる前の倦怠感や恐怖、登攀中の逡巡や臆病さ、心の弱さが吐露されている。1991年10月、ウルタルII峰で雪崩で逝くまでの長谷川恒夫の生き様が描かれている。
58 白夜の大岩壁に挑む クライマー山野井夫婦 NHK取材班 NHK出版 平成19年11月18日BSハイビジョン、平成20年1月7日総合NHKスペシャルで放送された山野井泰史、妙子、木本哲の3名がグリーランドの1300mのビッグウオール「オルカ」クライミングに挑戦し同行を取材を担当した取材班が纏めたもの。2002年ギャチュンカンで手足の指のほとんどを失っている山野井夫婦のクライミングに対する取り組み、信頼しあう夫婦の生き様が描かれている。
59 狼は帰らず アルピニスト・森田勝の生と死 山と渓谷社 佐野稔 三スラの神話の主で、ひたすら山に登り続け、42歳でグランジョラスで死んだ登山界のアウトローと言われた森田勝の壮絶な登山人生が描かれている。神々の山領を読んでからこの本を読むと確かに重なる部分が多く、森田をモデルにしていることが実感できる。
60 高熱隧道 吉村 昭 新潮社 日本電力(現関西電力)黒部川第三発電所水路トンネル、欅平駅〜軌道トンネル(現:関西電力黒部専用鉄道)の工事現場や人間関係について、建設会社の現場土木技師の目を通じて描いた作品。工事が始まるや最高摂氏160度以上になどる高熱の岩盤を通ることから坑内は高温であり、人夫に水をかけて冷却したり、ダイナマイトが自然発火するなどの環境であった。さらに、着工時の人力による狭い水平歩道を資材運搬中の転落事故や、泡(ほう)雪崩が発生して5階建ての鉄筋コンクリート造の宿舎の2階以上が根こそぎ切り取り山ひとつ飛び越して580m先の奥鐘山の崖に激突し84名が一度に死亡する等多くの犠牲者が出た。あまりにも犠牲者が多い事から富山県警察部から再三に渡って工事中止命令が出されたたが国策ということで工事は続けられ、隧道は貫通した。工事を管理する責任者や命を懸ける人夫との緊迫した関係など登場人物はフックションであるかそれ以外は事実に基づいており、欅平から仙人谷までの工事だけで300名以上の人命が失われた黒部下の廊下の開発の暗部が描かれている。
61 山岳警備隊出動せよ! 富山県警察山岳警備隊編 東京新聞出版局 「落ちるなら富山県がわに」と言われる国内最強の山岳警備隊富山県警察山岳警備隊の山岳同好クラブ「岳翔会」の会報に投稿された原稿の書き下ろし。壮絶な山岳救助の現場の迫力とともに「救命率の向上と後遺症なき社会復帰」を目標に命を懸ける男たちの物語がある。
62 北壁の死闘 ボブ・ラングレー(海津正彦訳) 創元ノヴェルズ アイガー北壁の神々のトラバースでナチの騎士十字章と美女の写真を付けた遺体が発見される。そして謎の遺体に興味を持った英国国営放送(BBC)のスタッフによりその謎がとかれていく。そこには第二次世界大戦終戦間際、原爆開発をを巡りドイツの優秀なクライマーたちが集められ、アイガー北壁で死闘が演じられていた。そしてその結末は。みごとな展開と緊迫の登山の記述は圧巻。日本冒険小説協会大賞を受賞した素晴らしい山岳冒険。
63 白き嶺の男 谷甲州 集英社文庫 自らヒマラヤの7000m峰に登った著者の描く作品は本当の意味での山岳小説。下界のことはほとんど描写がなくひたすら詳細で迫力ある登山シーンの連続に脱帽。
64 槇有恒全集 T 槇有恒 五月書房 我が国登山のパイオニアの全集 第1集「憧憬」編はアイガー登攀の記録、友人である板倉勝宣が立山で遭難死した時の詳細な状況が集められた「山行」並びにマナスル登頂物語が収録されている。山行においては若き日の氏のアイガーを登る際の案内人たちとの信頼関係と情景描写の繊細さその知識の豊富に驚かされる。
65 「岳」ビッグオリジナルコミック 石塚真一 小学館 山岳救助ボランティアの島崎三歩が北アルプスで遭遇する遭難の場面で最善を尽くし努力する山岳コミック(漫画)である。彼は遭難者に「頑張ったね。」と声をかけ、怪我をして山を下りる登山者に「また山においでよ。」と声をかける。三歩の懐の深さに登山の素晴らしさを新たにすることのできる作品。作者の山に対する奥深い愛情と知識経験に裏打ちされた道具やしぐさなど山のプリならではの描写にあふれている。2011年5月公開の映画の原作。2008年漫画大賞、第54回小学館漫画賞を受賞した作品。
67 そして謎は残った 伝説の登山家マロリー発見記 ヨッペン「・ヘムレブ、ラリー・ジョンソン、エリック・サイモン 文芸春秋 山岳史家ヘムレブと調整役のジョンソン、そして名ガイドで調査遠征隊長のサイモンスの三人の出会いから始まったマロリー・アーヴァン調査遠征隊。1924年のイギリス隊と1999年調査隊を並行して記述し、1999年スノーテラスの下部標高8160m地点の遺体を発見する。そしてマローリーのもていたメモやガスボンベ、オデールが最後に見たというマロリーのいた場所の特定などからマロリー登頂の可能性を推理していく。そして、マロリーの最後はかくの如しかと納得。マロリーの遺体を前にしたメンバーのマロリーに対する敬意がよくわかりました。しかしながら百年程前の装備でよく登れたものです。何よりヘムレブの知識、サイモンスのリーダーシップは見事。
68 白きたおやかな峰 北杜夫 新潮文庫 白雪に覆われた未踏の高峰ディランに長い準備の末やってきた10人の日本人達は病気や悪天候と闘いながら人間を拒否し続ける頂上に挑む。ドクターとして参加した著者の目を通して現実の山での営みと男達の素顔が描かれる。美しい山の描写の素晴らしさに感動!ドクトルマンボー先生は山やでもありました。
69 単独行者アラインゲンガーAllenganger 谷甲州 山と渓谷社 新田次郎の孤高の人でも知られる単独行の加藤文太郎について詳細な資料と長期の構想により書き上げられた谷甲州会心の一冊。新田作品の最後で幾分独善的な描かれたかたで後味の悪さを残した吉田登美久との出会いと信頼関係が詳細に描かれている。500ページにも及ぶ長編ですが一気に読み切りました。
70 栂海新道を拓く 夢の縦走路にかけた青春 小野健 山溪叢書 さわがに山岳会が10年かけて朝日岳から日本海親不知まで約30キkmの藪を切り開いて作った栂海新道。新潟県青海町(現糸魚川市)の電気化学工業青海工場の職場山岳会が北アルプスから日本海へという標語のもと成し遂げた偉業が詳細に描かれている。栂海新道の自然も詳細に描かれ青春をかけた小野氏と相棒の斎藤氏のリーダーシップとに小野氏の博識に感服。
71 はじめてのシェラの夏 ジョン・ミューア・岡島成行訳 宝島社 アメリカ自然保護運動の祖ともいうべきション・ミューアがヨセミテを初めて訪れた時の6月から9月までの紀行。ジョン・ミューアの自然を観察する目その表眼力に驚く。まるで方丈記の全く同じような一説が出きてミューアが日本的な価値観を持っていることに驚く。この本を読むと自然と触れる登山をする際しては出会った花々や自然をもっと大切に受け止め自分中に受け止めねばと思うようになりました。
72 山のミステリー 工藤隆雄 東京新聞出版社 作者が山小屋の関係者や登山者から集めた、山の幽霊話、人智を超えるもの、自然の不思議、ひとの不思議からなる。怖い話から不思議なはなし、心あたたまるはなし・・しかし一番怖いのは・・
 73  二人のチョモランマ―中年サラリーマン登山隊8848メートルに挑む  貫田宗男  山と溪谷社  1991年、貫田宗男と二上純一の二人はチョモランマ登頂に成功した。それも40歳になった中年サラリーマン2人だけのチョモランマ登山。ヒマラヤ登山であまり語られて調達から高度順応等エベレスト登山が理解できる。ただ最後に悲劇が待っている。貫田氏は
 74  四度目のエベレスト  村口徳行  小学館文庫  2012年に7回目のエベレスト登頂をなしているわが山岳カメラマンの村口氏の4回の登頂を中心に渡辺玉枝さんとの登頂、三浦隊に参加しての仕事、ローツェとエベレストの連続登頂のことなど登山と撮影について書かれている。本職の素晴らしい写真とともに氏の登山に対する考え方、文章も素晴らしく引き込まれる。
 75 われわれはなぜ山が好きか  安川茂雄  小学館文庫  副題に「ドキュメント日本アルプス登山70年史」とあるように我が国の登山の歴史が詳細に紹介されている。私も「登山の歴史」というページをアップしているがそれぞれの事実の背景や深い内容をよく理解でき資料であるとともに、素晴らしいドキュメンタリーである。
 76  マロリーは二度死んだ メスナー  山と渓谷社  1924年、エベレスト頂上をめざして消えたマロリーの遺体が74年ぶりの1998年6月に発見された。マロリーは登頂したのか。敗退したのか。その謎をメスナーが推測、 結論を下している。私は納得し、長年の疑問に終止符を打つことができた。
77  空飛ぶ山岳救助隊  羽根田治  山と渓谷社  ヘリ・レスキューに命を懸けた篠原秋彦氏と東邦航空の山小屋への荷揚げと超人的な救助が書かれている。我が国の山岳エアー・レスキューがどのように発展してきたかも理解できる。篠原氏は民間ヘリを使った山岳救助の草分け的存在で長野オリンピックでも活躍。平成14年(2002年)1月北アルプス・鹿島槍ケ岳で、雪で身動きできなくなった福岡県の男女4人のパーティーを、救助活動中ヘリコプターからつリ下げた救助用ネットから落下し死亡。享年54歳。
 78  山岳気象予報士で恩返し  猪熊隆之  三五館  竹内洋竹、イイテQイモトアヤコ、三浦雄一郎,NHKグレートサミット等を裏で支える山岳気象の第一人者。学生時代冬の富士山で滑落し、それが原因で慢性骨髄炎に。壮絶な病気との闘いの中で山岳気象の道へ。現在ヤマテンの代表として活躍中。
 79 遭難者  折原一  文春文庫  北アルプスの白馬岳から唐松岳に縦走中、不帰ノ嶮という難所で滑落死した青年・笹村雪彦。彼の山への情熱をたたえるため、彼の誕生から死までを追悼集にまとめることになった。企画を持ちかけられた母親は、息子の死因を探るうちに、本当に息子は事故死なのだろうか、と疑惑を抱き始める…。登山記録、山岳資料、死体検案書などが収められた追悼集に秘められた謎、謎、謎・・山を知る物にはリアリティーがあって面白い。
 80 尾瀬に死す  平野長靖  現代教養文庫  長蔵の孫。1971年11月尾瀬の長蔵小屋から下山途中遭難した短すぎる生涯は自然保護運動の先駆けとして語られる。彼の最後の言葉は「まもる 峠の緑の道を 鳥たちのすみかを みんなの尾瀬を 人間にとって ほんとうに大切なものを」とある。
 81 百名山紀行(上下)  ヤマケイ文庫  深田久弥  読み歩き、書いた山の文学者百名山の深田山岳文学を凝縮した選集。
 82 高い砦  早川書房 デズモンド・バグリイ矢野徹訳  登山の本ではないが標高1万数千フィートのアンデス山脈を舞台に、不時着した飛行機事故の生存者たちが理不尽な暴力に立ち向かう姿を描く。アギヤル老人が、絶体絶命のピンチに追い詰められたオハラへ語る「男の中に熱い血が流れる限り不可能ということはない」とするセリフは冒険小説の金言.
 83  復刻 山と渓谷    ヤマケイ文庫  山岳雑誌「山と渓谷」のルーツの復刻。日本著山会の情熱の時代を再現。
 84  富士山  串田孫一、今井道子、今福龍太編 博品社  歴史上富士山につて書かれたりまたは歌われた話題について各方面の文献の選集
 85 ふたりアキラ  平塚晶人 ヤマケイ文庫  風雪のビヴァーグの松濤明が北釜尾根で遭難した時上高地で彼を待っており、小説「氷壁」の主人公魚津の恋人で徳澤で彼を持った「かおる」のもであるでもあり登山家奥山章の妻でもある山田美枝子の物語登歩渓流会についての記述も詳細である。
86  山岳修験への招待 宮家準編 新人物ブックス  日本の登山は霊山と修験者から始まった。修験道の入門書。
 87  山の不可思議事件簿  上村信太郎   山と渓谷社  山と登山にまつわる怪現象・不思議・謎・奇跡・魔の山・神秘と伝説・怪談・怪物などの話題を紹介。第1章 奇妙な現象(山の怪現象;山の不思議;山の謎;山の奇跡)
第2章 恐怖と神秘(魔の山;神秘と伝説の山)
第3章 伝説と怪談(山の伝説伝承;山の怪談)
第4章 謎の生きもの(山の怪物;謎の雪男;絶滅動物の謎)
 88  山怪 山人が語る不思議な話  田中康弘   山と渓谷社  著者の田中康弘氏が、交流のある秋田・阿仁のマタギたちや、各地の猟師、山で働き暮らす人びとから、実話として聞いた山の奇妙で怖ろしい体験談を多数収録。話者が自分で経験したこととして語る物語は、リアリティがあり、かつとらえどころのない山の裏側の世界を垣間見させてくれる。
         
         
DVD
1 西穂.奥穂高縦走 DVD 山と渓谷 モデルの葛城奈海さんがアルピニスト憧れの西穂高から最難関のジャンダルム越え奥穂高へ縦走するポイントが収められている。これを見ると私たちでもできるように思えるのだが・・。いつかは縦走したい!
2 深田久弥の日本百名山1〜10 DVD NHKエンタープライズ 1994年から95年にNHK衛星第2放送で放送された「深田久弥の日本百名山」全100回分。少し古い画像ですが・・内容的にはさすがNHKが作った作品です。NHKの相川浩アナウンサーの落ち着いたナレーションもいい。今はNHKBS2で毎週金曜日19:00から19:20まで「週間 日本の名峰」が放送されている。
3 北壁に舞う DVD コロムビアミュージックエンタテインメント 長谷川恒男のグランドジョラス北壁冬季単独登攀の記録映画104分。超望遠カメラとヘリコプターで、取り付きから山頂までの全行程を追う。快晴の山頂に出る瞬間の画像は素晴らしくは・・感激。ヨーロッパアルプスの三大北壁(他にマッターホルン北壁、アイガー北壁)の冬期単独初登攀の成功は世界初となった。直前、同じく単独で挑戦した森田勝は敗退している。
2002年2月2日にNHKBS2で放送された「ザ・プロフェッショナル氷雪の山 命を守るただ一本のピッケル〜二村善市〜」の「ピッケル作りの名人」市村善一氏(雅号又は銘:善則 )が48歳のとき長谷川恒男のピッケルと作っている様子も収められている。
4 運命を分けたザイル DVD . 2005年 1985年6月、野心溢れる若き英国人クライマー、ジョー・シンプソンとサイモン・イェーツは、アンデス山脈の難関、標高6600mのシウラ・グランデ峰に挑んだ。2人は未踏のルートの数々の困難を乗り越え、ついに西壁を制覇し登頂に成功する。しかし、悲劇は下山途中に起きた。過酷な雪山でザイルに繋がれたまま遭難した2人の登山家の奇跡の生還劇を、当事者たちのインタビューと迫真の再現ドラマで描き出した真実の物語。ジョー・シンプソンのベストセラー・ノンフィクション『死のクレバス アンデス氷壁の遭難』を映画化。素晴らしい映画です。
5-2 運命を分けたザイル2 DVD . 2010年 ジョー・シンプソンは6度の手術を繰り返し、9ヶ月間ギブスをはめ、歩行不可能とまでいわれるが、厳しいリハビリを続け奇跡の復活を遂げる。子供のころこ父から与えられて読んだ「白いクモ」に書かれていた尊敬する伝説の登山家トニー・クルツの最期の謎を追い巨大絶壁へ挑む。そこは、スイスアイガー北壁。高さ1800mの垂直の岩壁、日が当たることはない“死のビバーク”と呼ばれる大氷田、数々の難所を1936年のクルツと同じルートで登攀していくことで、自身の壮絶な過去と彼の体験が重なっていく。
5 聖山 DVD 販売元: アイ・ヴィ・シー ドイツ 1926年整作のモノクロ無声映画の復刻版。 監督アーノルド フランク 白黒ながらアルプス、マッターホルン等アルプの自然が美しい。猛吹雪の岩壁の登攀とザイルで繋がった仲間を支えて・・幻覚の中・・滑落・・。なかなか面白い。中でも、「何故山は美しいの?」との問いに「自分の魂を与えているからさ・・」、「何故山に登るの?」、「自分自身を見つけるためさ。」など・・の台詞(字幕)もいい。 日本語字幕が付いています。
6 死の銀嶺(DIE WEISSE HOLLE) DVD 販売元: アイ・ヴィ・シー 1929年製作のモノクロ無声映画の復刻版 約2時間を超える超大作。ドイツでは昭和4年にこれだけの山岳映画が作られているのに驚く。(但し日本語字幕は無く全編ドイツ語です。所々理解できる場所をつなげると・・・以下の通り。素晴らしい映画です。) 監督アーノルド フランク  是非DVDを探して観てください。
【概要】:強風が吹き、雪崩の頻発するアルプスの雪山ピッツ・パリュウ(3905m)。クラフト博士は愛妻マリア(なんとスカート姿です)とガイドと三人で登りつつあった。ところが上方の氷壁の一部が崩れ、二人を繋いでいたザイルが切れマリアは氷河の底へ墜落する。そうして歳月が流れ、この山にハンスと恋人マリアが訪ねてきた。飛行機がお祝いのシャンパンを落とし、二人はアルプの山小屋で結婚する。しばらくしてこの小屋に身心ともに疲れ果てたクラフトが現れる。そして小屋の中で三人の沈黙の時間が過ぎる。クラフトはマリアに心を開き、妻がクレパスに落ち、ザイルの長さ限り探したと話す。三人は不安の裡に一夜を明かした。翌朝クラフトが一人山に登ろうとするとハンスも同行を頼む。それに気づいたマリアも懇願してパーティーに加わる。
その頃大学の山岳部員がピッツ・パリュウを登りつつあった。二つのパーティーは競いながら雪の絶壁を登るが、大雪崩が起り、学生のパーティーを直撃し全員が谷底に落ちてしまう。その頃、クラフト等のパーティーは氷の壁を攀じ登り氷のテラスに出る。氷のテラスから先頭にたったハンスは足を滑らせて滑落し宙吊りになる。クラフトは身を挺してハンスを安全な場所へ連れ戻すも、雪崩を足に受けて足を折ってしまう。三人は氷のテラスで救援が来るのを待つ。遭難した学生達はクラフトの友人のガイドに発見され、深夜、氷河のクレパスの中で大捜索が行なわれ全員の遺体が収容される(氷河のクレパスの中での捜索シーンすごい)。そして4日後に、クラフト達は友人の飛行家に発見される。しかし、防寒着をハンスに譲り体力を消耗し、死期を悟ったクラフトは手帳に遺書を書き、氷のテラスの上の小さなテラスの穴で横になり永眠する。その直後にガイドがテラスにたどり着き、雪崩の中ハンスとマリアは救い出さる。
7 雲から学ぶ天気予報〜登山者におくる観天望気〜 DVD NHKエンタープライズ 「NHKおはよう日本」の天気予報士村山貢司氏の歯切れのいい解説により、雲の種類やその雲によるその後の天気変動など登山に役立つ天気予報の基礎知識が身に付く。観天望気(空を見て天気を予想すること)の基礎として@巻雲(すじ雲)、A巻積雲(うろこ雲)、B巻層雲、C高積雲(ひつじ雲)、D高層雲(おぼろ雲)、E乱層雲(あま雲)、F層積雲(雲海を作る雲)、G層雲(ガスや霧になる)、H積雲(わた雲)、I積乱雲(雷雲)の10種類の雲を理解すると半日から1日後の天気が予想できる。山に行く前に一度は見ておきたいDVDである。
8 モンブランの嵐 DVD 潟Aイ・ビーシー 1930年ドイツの作品。モンブランの山頂に近い気象観測所で生活と美しくも厳しいモンブランの自然が見事。出演レニ・リーフェンシュタール(娘役)・ゼッフ・リスト
9 アドバンス山岳ガイド
槍・穂高縦走
DVD 山と渓谷 圧倒的な人気を誇る槍・穂高の大縦走。一般縦走路の中でも最も難しいと言われている大キレットの難関を余すところなく撮影。アルペンムードを満喫しながら注意すべきポイントが一目でわかる登山者向けガイドDVD。徳澤園の談話室で視聴したがいつか必ず歩いてみたい場所である。
10 アドバンス山岳ガイド
冬の八ヶ岳
バラエティーに富んだ雪山を楽しむ
DVD 山と渓谷 登山者なら誰もが憧れる冬山の入門DVD。冬山でもっとも人気のある八ヶ岳の代表的な4コースを紹介し、さらに冬山の基本的なハウツーを著名な登山家、山岳ガイドが映像でわかりやすく紹介。@美濃戸→赤岳鉱泉→硫黄岳(初級)A渋の湯→黒百合平→天狗岳(中級)B美濃戸→赤岳鉱泉→赤岳(上級)Cピラタスロープウエイ→五辻→白駒池→高見石(スノーシュー)
11 アドバンス山岳ガイド
冬の八ヶ岳 U
憧れのバリエーションルート
DVD 山と渓谷 有名登山ガイド3人(廣川健太郎、加藤美樹、青木昭司)が@赤岳鉱泉→硫黄岳→横岳→赤岳→行者小屋A行者小屋→赤岳西壁主稜→赤岳頂上B舟山十字路→立場山→阿弥陀岳南稜→阿弥陀岳頂上→行者小屋Cアイスクライミング(ジョウゴ沢、大同心大滝、摩利支天沢大滝、南沢大滝、角木場の氷柱、他)テント泊、アイスクライミングなど、中上級者向けのノウハウも紹介。
12 星と嵐 DVD イ・ビーシー 1955年フランスの作品。著名なアルピニスト:ガストン・レビュファとカメラマンのジョルジュ・ティラ、俳優のモーリス・パケが組んでガストンの「星と嵐」を映像化。前半では岩と氷雪のクライミング・テクニック。後半はアルプスを代表する困難な5つの北壁(ビュツ・バディレ北壁、グランジョラス北壁、チマ・グランテ北壁、アイガー北壁、マッターホルン北壁)の登攀が堪能できる。1955年イタリア・トレント市 国際山岳映画祭グランプリ
13 剱岳 点の記 DVD 東映 2009年6月公開された新田次郎原作の同名の映画。大きなスクリーンで見る迫力は無いが、CGを一切使わない迫力と美しい映像が見どころの山岳映画の名作です。2009年12月11日レンタル開始。
14 剱岳 撮影の記 DVD 東映 2009年国内の多数の映画賞を受賞した「剱岳点の記」のメイキング映像。これだけ見ても充分に楽しめる。
15 How To フリークライミング インドア編 DVD 山と渓谷 ストレッチ、ホールディングなどの基本技術から フィギュア4、ダブルダイノなど高度なムーブまで。 今ブームとなっているインドア・クライミングのHowtoビデオ決定版。若手トップクライマー茂垣敬太と榊原佑子が、クライミングの基本から5.13までを登るために必要な上級テクニックまでを詳細に紹介。他、クライミングに必要な基礎的なストレッチやクライミング・ギアの使い方まで解説。実際のクライミングコンペの映像も収録したクライマー必見のDVD。(2004年4月発売)
16  岳ガク DVD 東宝 23年5月に公開された石塚真一氏原作のコミック「岳ガク」の実写映画のDVD。主演小栗旬(三歩)と新人救助隊員の椎名久美長沢まさみが熱演。雪の北アルプスでの活躍が描かれる。雪山が素晴らしく、よくできています。

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