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登山への誘(いざな)

登山の楽しみ 鹿島槍ヶ岳から望む朝日と雲海登山の楽しみを知らない人達のにとって、重い荷物を背負って何時間も苦しい思いをして山に登ることはとても大変な酔狂な趣味と思う方が多いかもしれない。
しかし、一旦登山を始めてみると、とても楽しく一生を通して楽しめる趣味であることに気づきます(いや、はまってしまいます。)。
現在、沢山の中高年が深田久弥氏の百名山を楽しんでおられるのは、百の頂を踏むという目標を持ち、辛く苦しく登りの後に来る達成感と、山頂からの大展望がたまらず、次第に山の魅力にとりつかれていくのだと思われます。また、登山は計画を立ててそれを遂行していく創造的で、一旦登り始めたら全てのリスク・苦難に対応しながら自分の力のみで帰ってくるという自己完結自己責任という人間の根源的な価値を求める高度な趣味ともいえます。
それに怪我をしなければ健康にも精神的にもいいことは間違いありません。大自然の中に身を置くと精神がリセットされ体中の細胞が活性化していくのが実感できます。さらに日本各地を訪ね、各地の歴史や風物・名物に触れ、美味しい物を食べるという楽しみもあります。それに山で出会う登山者との語らいはとても楽しく、時として有意義な出会いとなることもあります。
                                                           (鹿島槍ヶ岳から望む朝日と雲海)
私達の登山知識 登山を始めた頃、地図のルートタイムが3時間とか5時間というのを見るとそれだけで息が上がりそうでした。しかし現在では8〜9時間も歩けるようになり、北アルプスを4泊5日のロングトレールを楽しむようになりました。一度アルプスの稜線に上がったら下界に降りたくないねというのが偽らざる気持ちです。
何より高齢者の登山者が北アルプスのロングコースを縦走したり劔岳や穂高の岩場など登っているところを見ては、「私たちにできないはずは無い・・」と気持ちを奮い立たせて登っています。
ここでは私たちが40歳代半ばで登山の魅力に目覚め、その中で少しずつ身に着けてきた私たちの山に関する知識を紹介します。ここにある記述はあくまで山岳会等に入り教えを頂き習得したものではなく、自分で本やネットで調べ、そして装備を揃え、山屋や山で出会ったベテランたちに教えていただいたことにより経験し、身につけてきたことです。その点についてご理解のうえでご活用ください。
テーマ ワンポイント
何故山に登り始めたか ●40代後半になり単身赴任の山梨県甲府市から埼玉の自宅に帰ったら、最初の人間ドッグで脂肪肝等今はやりのメタボとの指摘を受け、健康のため(命のため)体重を落す必要があった。それに車に乗り降りするときに股関節がとても硬くなっている自覚があった。
そこで「低山無宿」を標榜して低い山歩きを楽しんでいた同僚に誘われて武蔵野の山などをハイキングするようになったのがはじめである。
また勤務先の健康保険組合がウォーキングを推奨し、毎日10000歩を2ヶ月間歩くと、景品がもらえる企画が年に数回あり、意識して歩くようになった。特に硬くなっていた股関節を柔軟にし、単身赴任で増えた体重を減らす為にはウォーキング、ハイキングと登山はとてもい出会いだった。(お陰で体重が減り、30代の服が着られるようになった。)
ハイキングや低山登山の延長として甲府の単身赴任時代に毎日見上げては憧れていた甲斐駒ヶ岳や北岳を登るという長期計画が始まった。そして最初の日本百名山「燧ヶ岳」に登ってから基礎体力のほか登山の知識と経験を積んで憧れの南アルプス北岳に登るまでに3年かかった。
登山の基礎体力
(歩く力)
ハイキングの延長として登山を意識し始めると長く歩く力が必要になる。
まず歩く力については週に数回、1時間以上のウオーキングを継続することで培うことができる。最初のうちは30分も歩くのが大変であろうが、ルートを変えたりして継続することにより長く歩くことができる。そしてウオーキングはだらだらと歩くのではなく早歩きと遅歩きをインターバルで繰り返す歩き方が効果的である。又ルートの途中に少し坂がある場合それを入れるとそれによる負荷はかなり効果的である。スポーツ運動学的にはウオーキングのレベルでは登山に対するトレーニングとしては不十分でありジョギングレベルの運動が必要である。運動強度を現すMETs(メッツ)表で7が登山のレベルである。(鹿屋体育大学山本正嘉先生の本が参考になります。)
特に山に登らないオフ・シーズンの基礎の体力維持は重要である。但し次第に雪山にチャレンジする実力が付くと通年楽しめる。
低山で山に慣れる 最初から3000m級の北アルプスに登ることは出来ない。北アルプスの山に登るためには最低でも1日6時間以上歩ける力をつけなければならない。そのためには近くの低山で登山の練習して臨む必要がある。
最初は登りが2時間程度の低山で練習を始めて徐々に延ばして行くほうがいい。
日本百名山でも初心者でもアプローチの短い山もあり、慣れてきたらそのような初心者、初級者向けの山に登って山頂からの展望や登山の達成感を味わうと、山がますます楽しいものになってきます。金峰山、大菩薩嶺や筑波山、など・・・山は逃げませんから自分の実力にあった山から始めることが長続きする秘訣のようです。着実に実力と経験がつきます。。
登山の基本スタイル
(露営・テント泊)
2001年に低山歩きを始めた頃は、まさか劔岳などの険しい山を登るようになろうとは思っていなかった。しかし、ハイキングを始めて3年経って百名山を登り始めたとき、私達が家族で楽しんでいたオートキャンプの露営(テント泊)の楽しみの発展的展開として原則として「テントを使った登山を楽しむ。」ということを私たちの登山の基本スタイルとした。ダンロップ(現:プロモント)VL-31
もう一つの大きな理由として山小屋の宿泊費を削減するためでもある。現在、営業山小屋は1泊2食付で8000円から9000円程である(素泊まりで5000円程度)がテント場使用料はほぼ500円程度である。どうしても宿泊が必要な山も多く、登山を楽しむ中で宿泊費は一番大きな負担になる。
さらに日本百名山の有名な山小屋はハイシーズンにはとても混みあう。一枚のフトンに2から3名も寝るということもある。10月の三連休の北アルプスの山小屋は「6畳に16人以上も詰め込まれ、寝る前に全員で寝方のシュミレーションをし、寝た心地がせず、トイレに出たら寝る場所が無かった。」という笑えない話が実際にある。知らない人と身体をくっつけて寝るのが苦痛でない方であれば問題がないが、ハイシーズンは山小屋といえども必ずしも快適とは言いがたいのである。むしろテントの中はプライバシーは確保された快適な空間である。
私達はテント場が無いところは山小屋を利用するが、それ以外の場所では体力が続く限りテント泊を基本とすることにした。
山小屋の利用 私たちはテントを利用した登山を基本としたがそれでも山小屋の利用は避けられない。山小屋を利用すると、その快適さは格別である(混雑していなければ)。日本最大の白馬山荘
【山小屋利用のメリット】
スケジュールに余裕が持てる
食料など荷物を軽減できる。水を購入できる。テント泊でも食事のサービスを提供してくれる場所も多い。
【ポイント】
山小屋の営業状況の確認する。(予約状況や営業日など)
可能な限り予約を入れる。(山小屋は一部の山小屋を除いて予約無くても泊めてくれますが。)
山小屋と山小屋の距離を確認する(山行中に何泊か利用する場合には行動可能範囲かどうか検討)
不意のアクシデントを想定し、小屋に到着する時刻は早い時間(2時から3時)到着するように山行計画を立てる。
山小屋の受付時に水場やトイレの場所、寝る場所や食事の時刻・方法、消灯時刻、乾燥室等その他の注意事項などを確認する。翌日の弁当の手配する。(使用したトイレの紙を持ち帰らせるところもある)。
山小屋では個人のプライバシーは無いため靴や持ち物の管理と共に、大部屋に身体を寄せ合って寝る必要があるため自分なりの安眠対策が必要(大きな山小屋では別料金で個室もある)
山小屋のスタッフから翌日の天気予報やルートの注意点など確認する。
同宿の登山者とのコミニケーション(全国からいろんな経験を持った登山者がおられるため、ここでの情報交換はとても有意義である。)
狭い小屋に大人数が集うため自己責任と協調性が必要。三俣山荘のケーキセットその観点からも、山小屋についたらザックの中から必要なものだけを別の袋に入れて一々ザックを開け閉めしなくていいようにすべきである。それも、スーパーの袋のようにガサガサと音すような袋ではなく音のしないスタッフ(サブ)バッグ持ち歩くべきである。ガサガサという音はとても不快です。
【その他の楽しみ】
山小屋の名物を楽しむ。北アルプスの山小屋では立地条件からは信じられないような素敵なサービスを提供してくれるところもあるのでそれを楽しむのもいい。
双六山荘:サイフォンで入れるコーヒーとケーキセット、雲の平山荘:ケーキセット、涸沢フュッテ:おんでんが名物(しかしカレーもいい)、槍ヶ岳山荘:焼きたてのクロアッサン、徳沢園:氷壁ラーメン(夏が過ぎてから)、嘉門次小屋:岩魚の塩焼き、白馬山荘:パノラマ喫茶、白馬岳頂上宿舎:テン場に売りに来る揚げ立てのメンチカツ、テン場利用者も利用できるステーキセット等

山小屋独自のバッジ(ピン)やバンダナ、などを販売しており登頂の記念品がj購入できる。バッジを集めている登山者は多いと思います。
登山の基本スタイル
(マイカー登山・車中泊)
私たちは車で登山口まで行くいわゆるマイカー登山を基本とした。それは電車などの交通費用を削減しうるためと、電車やバスの運行時間に制限されることなく柔軟に登山口にアプローチし山行計画を円滑に進めるためである。
しかし、マイカー登山のマイナス点は車を取りに戻らねばならず、縦走には向かないことである。しかし、山に登って同じルートを帰ってくるピストン(邪道といわれる)ではなく、ルートを工夫することにより縦走を楽しむことができる。しかし長い縦走やロングルートを楽しむときは電車やバスを利用して計画を立てることも楽しい山旅が楽しめる。
マイカーで登山を楽しむ場合の登山道までの走行距離やポイントを検討には各高速道路会社等が提供する高速ナビというサイトや、国土交通省道路整備局が提供している「道路時刻表」は国道を指定するだけで各ポイントまでの距離と所要時間がわかるとても役に立つサイトである。
またマーカー登山は車中泊を利用することで無理の無い登山を行うことが出来る。
家を出て登山口に着いてからすぐに登り始めると運転の疲れと睡眠不足でとても辛い登山になる。この点、早く登山口について車の中で眠り、一休みしてから登るといい。(少しだけでも眠ることが安全で楽しい登山の基本です。)
・登山口にトイレと水場があるあることが必要である。
・登山口に設備が無い場合には近くの道の駅や高速のSAで眠ってから早めに登山口に着いて登りの準備をしている。早く着くことにより駐車場も確保できます。
・車中泊は少し工夫することにより快適なスペースが作れる。私たちはスバルのレガシーであるが2列目が簡単にフラットになり、そこに登山用のエアーマット(180cm)を敷くと快適なベッドができる。
・外の明かりを処断して安眠するために(プライバシー保護もあるが)窓ガラスに目隠しをする。
・湿気による曇り防止のため運転席のウインドウを少し開けておく。(湿気で曇ると起きてから処理が大変)。
・夏期は虫ははいてくるため携帯用の簡易蚊取器をつけておく。
・ザックの中の荷物を取り出さないように車中泊で必要なもの(ハミガキや食料など)はコンパクトに別にまとめておく。
装備のコンセプト
(徹底した軽量化)
最初はレインウェアーやトレッキングブーツ(靴)、シュラフなどはオートキャンプで持っていた装備を流用して始めた。
しかし、テント泊を基本とする登山には重たい装備は使えない。
中年になり体力的に問題があるため、基本的に徹底的な軽量化に努め、若い頃と異なり「多少金を掛けても軽量化!」は徹底した。それもグラム単位です。全ての装備の重量を計量してリストにしています。
軽量化により疲れずにまた安全に登山を楽しむことができます。
装備をそろえる(基本装備)
装備については別に紹介します。
山装備の基本は「必要なものは何一つ忘れず、不要な物は何一つ持たない!」が原則であり、後は、登山者の経験と体力、パーティーでの役割、そして楽しみ方によって付け加えていくことになる。
装備選びのポイントは長く使えるお気に入りの山道具を揃えるということです。お気に入りの道具を持っているだけでとても嬉しくなります。その上にそのお気に入りの道具を楽しい山で使いこなすのですから最高です。
そのためには山屋でいろんな道具の比較しながら機能や使い方を教えてもらったり、山で出会う登山者の装備やスタイルを観察して自分たちのお気に入りの装備を揃えることでしょう。北アルプスに行くととてもお洒落な登山者が沢山います。自分たちの山行スタイルが出来るととても楽しい登山になります。
*ザックや靴などの道具に関しては山の専門店で専門のスタッフのアドバイスを受けながら時間をかけて選ぶことをお勧めします。
ザック

オスプレー タロン 44L夏山の山小屋泊り登山や日帰り登山は30L程のザックでも十分である。
テント泊を基本とする場合テント等の共用装備を入れる私のザックは60Lから70Lは必要である。
これに対して、自らの装備だけで足りる妻のザックは44Lのザックで充分である。
ライトパッキングを心がけ、必要充分な物だけを持つ様にしてパッキングを工夫する。
ザック選びのポイントは色やデザインのほか機能的に一番重要なポイントは背中長さ(レングス)が合うかどうかであろう。山道具専門店のスタッフはこの点を強調している。
因みに私(HOMER)のお気に入りはアウトドアバッグのロールスロイスと呼ばれるGREGORY(グレゴリー)、妻(ハート)はOsprey (オスプレーのタイロン44)です。Ospreyはセンスがよく今後注目です

山登りを始めて一番最初にトレキング用と登山用の違いを痛感したのが靴である。
LOWA登山を始めるまでのアウトドアではハイカットのトレッキングブーツを使用していたが、初めてテントを担いで登った燧ヶ岳の下りの沢で尖った岩に乗ると靴の底がグニャグニャして足の裏が痛くなり、そして不安定で歩くにくいことを実感した。
重たい荷物を背負って下るときには体重に荷物の重さが足へ直接がかかりるのである。すぐに登山靴を買い求めた。
最初、ハイキング程度の軽い山歩きであればはライトレキングシューズで充分であるが、いずれは日本アルプスを目指すのであればハイカットの底の固い登山靴を用意すべきである。足を入れてかかとの部分に指一本が入るぐらいが目安とされる。(決して大きい靴ではないので注意が必要。)
最初は重たく歩きにくく感じるかも知れないが、なれてくると重たく底の固い登山靴のほうが安定して疲れずに登ることができるようになる。
又急な岩場でスタンス(足場)が少ない場所などでは、柔らかい靴では底のゴムが変形してスリップしてしまうが、硬い靴であれば少しの足がかりに身体を安心して預けることができる
【靴の履き方】
登山靴は何かに腰掛けて、靴を履きかかと(踵)を軽く打ち付けて、つま先に余裕ができるようにして、つま先のほうから紐をしっかりと締める。
下り坂では足が前にずれて指先が痛くなることがあるため、足をかかと側に寄せて、甲の部分をしっかりと締めるほうがよい。

登山では靴の紐をこまめに締めるのは安全のためにも必要なことである。
レインウエアー
モンベル ストームクルーザー【ポイント】@蒸れにくく、A動きやすく、B軽量でコンパクトなもの
レインウエアーは雨が降らなければザックの底に入って荷物となるだけの用具である。しかし、一旦高山で雨に降られるとこれに命をゆだねることになる。山で歩くとどうしても汗をかくことになり、レインウエアーは蒸れとの戦いである。したがって、山でのハードな利用に耐える軽量で着やすく、蒸れにくい物が必要である。そのために登山用のゴアテックスを利用したウエアーは2万円以上する高価なものになる。(ただ現在透湿性素材はゴアテックスにまさる物も出てきています。)ただゴアテックスだからといって蒸れないというわけではないので注意が必要です。
登山でのウエアリング(着こなし)は、重ね着(レイヤード)が基本であるが、レインウエアーは寒いときや風の強いときなどはアウターウエアーとして使用できる。
晴れた日は無用のレインウエアーもレイヤードのアウターシェルと考えると、重ね着を一枚減量できることになる。

テント(テント泊の場合)
テントに関しては慎重に検討した。まず軽量で強いこと。そこで私たちが選んだのはダンロップ(現:プロモント)のVL-31であった。2人用で充分だったのかもしれないが、雨の日にザックをテントの中に入れて寝られるようにとの配慮から3人用になった。さすがに伝統と実績のある優れもののテントで今まで幾多の稜線上の強風や大雨等過酷な条件下でも私たちを守ってくれた。
しかし、更なる軽量化のために2人用で十分でであり、現在2代目としてPAINE 「G-TREK Fabrics」G-LIGT2〜3人をつかっている。現在では軽量でいい登山用のテントが多数出ている。
最初は広いスペースが必要と考えるが登山におけるコンパクトな生活技術が身につく狭い空間でも十分楽しめるようになる。
服装の基本

(下着の重要性)
登山における服装の基本は重ね着(レイヤード)である。状況に応じてこまめ脱いだり着たりする必要がある。
アンダーウェアー(下着)に、ベースウェアー(メインのシャツ等)、ミッドウェアー(防寒着:フリース、ダウンジャケットなど)それにアウターウェアー(ゴアテックスのレインウェアー等)。
特に下着の選択は重要で、綿素材の下着は吸湿性があり乾燥性が弱いため登山には不向きで、現在では、汗をかいたり雨に濡れてもすぐに乾燥して身体を冷やさないような速乾性の化繊が使われている。さらに防臭加工されている素材 もあり、何日も風呂に入れない登山においてはとても有用な素材である。
しかしかなり高価なものであるが、長く登山を楽しむのであれば、速乾性の防臭加工、さらにUV加工のされている高機能素材のもの選ぶことを勧めます。
更に天然素材としてはメリノウールの衣類は暖かくてお勧めである。昔と異なり加工技術が進歩してウールのチクチク感が無くなったのが天然素材が復活したり理由である。
1991年1月海洋ヨットレースのタカ号が遭難したとき27日間漂流した6人のうち5人が衰弱し、生き残った一人がその理由を「新素材の速乾シャツと下着を着ていたことによる・・」というテレビ報道を見た記憶がある。当時オートキャンプでアウトドアを楽しんでいた私たちはこのニュースを見てアウトドアにとって高機能素材のウエアーの存在を知り、下着には金をかけるべきであると教えられた事故であった。
防寒対策 3000級の日本アルプスにおいては夏山でもともとても寒く、ウインドブレーカーのみでは不十分で、フリースや薄手のダウンジャケットが必要である。100m標高が上がると気温が0.6度下がるといわれ、3000mでは下界より18度も低いことになる。
登る季節と山に応じた防寒対策が必要になる。特に首から上の防寒対策は重要であり、ネック・ゲイターやネックチューブと呼ばれるチューブ状の伸縮性のある柔らかい素材で首周りを保護したり、ヘッドバントとして使用できる小物は高山での風や低温対策として、夏場は首周りの紫外線対策としても有効である。
また手袋も必要であり、雨水の浸入を防ぐ雨用とそれ以外の2種類は準備しておくほうがいい。手が凍えると運動能力と気力が萎える。
*2006年10月の3連休に奥穂高を目指したが突然雨が雪に変わり涸沢テント場で濡れた手が強風と寒さで冷たくなりテントを張る気力すら失せてしまいそうになったことがある。周りを見るとゴアテックスの手袋を持ってない登山者が買い物袋を手袋のようにして冷たさを防ぎながら雪の中テントを張っている光景も見られた。気温が下がる高山では手を濡らさないことは重要である。
山を調べる
(情報収集)
ツアー登山であれ、自ら計画を立てて登る登山であり、登る山のことを知ることは一番重要なことで登山の楽しみ喜びが違ってくると共に、安全のためにも必要である。
私は「深田久弥の日本百名山」を登る前には必ず読んでから登る。そしてその山の近くにある山についても読んで登る。
この本は氏が大正から昭和のはじめにかけて登ったもので、登山ルートなど現在とはかなり条件が異なっているが、そこにはその山の持つ歴史、言伝え、人々との係わり合い、そして山の風格が山を知る文学者の昇華された文章で紹介されている。1つの山が単行本4ページで書かれた登山の珠玉の一冊である。
現在ではネット上にたくさんの山行報告がアップされており、対象となる山、時期などを限定して検索すると自分の山行にあったサイトが見つかるものである。
また、日本百名山に関するガイド本が沢山出ている。それぞれの会社のコンセプトで編集され、推奨ルートとそのルートのポイント、ルートタイム、山小屋や下山後の温泉の情報なども紹介されている。このような本も1冊(普通上下2冊が多い)備えて、登る前に一読して基礎知識を身につけて登ると楽しい登山になる。 (登山と本の関係については⇒「山の旅 本の旅-登る歓び、読む愉しみ」:大森久雄がとても参考になります。)
登山計画 登山計画は必ず作成する。ルート上のポイント、ルートタイムなどパートナー(パーティー)で共有することは必要である。これにより計画書で登山のシュミレーションができるため、実際登るときに、安心して登ることができると共に、多少の遅れが生じても冷静に対応できる。(あるツアー登山で遅れた登山者が自分がその日泊まる山小屋すら知らない人もいたという話を聞いたことがある。)
実はこの登山計画を立てるために調べ、シュミレーションするプロセスが未知の山を安全に登頂し楽しむためのリスクアセスメントであり意識ある登山者として自立する一番の道であると信じます。
実はこの登山計画が一番楽しい時間であるともいえます。
予定山行のルートのポイント、その所要時間、持つ装備、食料等の登山計画書を家族や気心の知れた仲間には知らせておくことは必要である。 これにより入山届けを迅速に提出することができる。
*私たちは息子たちに登山計画を渡して、概略どのあたりの山か理解してもらってから出かけ、下山後は速やかにメールで知らせることにしている。 
ルートタイム

登山計画支援ツールKamonnji
地図やガイドブックには各コースのルートタイムが書かれている。これは登山者としてとても重要な情報であり、一番気がかりなものである。
しかしこのルートタイムは健脚のベテランさんのものと考えたほうがよく初心者のうちはルートタイムはあくまでも目安であり、あまり気にしないほうが楽しく登れる。(地図の編集する担当者によってルートタイムがかなり差があるのも事実である。)
書かれているルートタイムは休憩の時間は含まないものであり、初心者のときはとてもルートタイムどおりに登るのは難しく、又これに拘るあまりにとても無理な登りをしてしまい、登りを楽しむという基本的なことを見失いがちになる。体調や荷物の重さ、ルートのコンディション、気象条件や経験等によっても異なってくる。
初心者のうちは推奨ルートタイムの2から3割増しで計画を立てるほうがいいようである。
登山計画支援ツールKamonnji」を作ってみました。ルートポイントと標準ルートタイム、休憩時間、出発時間を入力すると、時間の積算合計と時刻が表示されます。ルートタイムではきつい(あるいは軽すぎる)方のために修正も可能としました。どのパソコンいも入っているEXCELを使ったものです。(完全ではないため利用者が改良しながらお使いください)
使い勝手についてご意見改良点などありましたらTOPページの管理者へのメールからご意見をお寄せください。改良していきたいと思ています。
ルート選択
(急な上りか、緩やかな上りか?)
登山計画を立てるに際して、考慮すべき重要なポイントとして「上りに急なルートを選ぶか緩やかなルートを選ぶか」である。登山を始めた初心者の頃は最初から急な登りではとても大変でできるだけ緩やかなルートで楽をして登り、下りの方が急な坂のほうが時間も短くていいと考えがちである。
しかし、ルートにもよるが上りに急なルートを登り、下りに緩やかなルートを選択する方がいいようである。特に膝に不安のある方は長く歩いて膝に負担がかかり痛みが出てくるときに急な坂を下るのはとてもつらいからである。むしろ、緩やかなくだりであれば膝に対する負担も少なくなり、疲労による転倒なども避けることができる。
*北岳に登るための練習として鳳凰山を登ったときは通常夜叉神峠から登るルートが推奨ルートとして紹介されているが、まだ膝に不安のあった私たちは夜叉神峠に車を置いて広河原までバスで移動して、白鳳峠に登る急登ルートを選択して夜叉神峠に下山した。このときは重いテントを背負っての初めての南アルプス縦走であったが、それまで他の山で出ていた膝痛に悩まされることは無かった。登りに急なルートを選択し下りに緩やかなルートを選択することが膝痛を防止と疲労による下山時の転倒防止に有効であると実感した。
地図、コンパスを持ち使いこなす。 地図を読めるようにすること。登山するに当たって情報誌による情報だけでは不十分であり、地図を持ち自分いる位置を絶えず確認しながら登ることが安全のためにも必要である。晴れていたのに突然霧に囲まれて自分の位置をつかめなくなることもある。そのためには細かく自分の位置を確認しておれば道に迷うことは無い。
地図を持ち地図を使いこなすことは登山者の安全のためにも最小限の知識と能力である。これは誰か連れられて登る登山やツアー登山においても同様である。
それに、山の頂きに立って周りの山の名前を確認する山座同定は登山の楽しみの一つであり、別の山から自分が頂を踏んだ山を同定できるのは格別の喜びである。
★最終的には25000分の1の地図を使いこなすことが必要である。
地形図は山地図のようにルートタイム、詳細なルート等は書かれていない。しかし、地図を読めるようになると疲れずにまたとても楽しい山行が楽しめる。
山地図では次のポイントまでルートタイム等詳しい情報が書かれている。ただ情報が多すぎて山の地形は読みづらい。これに対して地形図は山の傾斜等が詳細に書かれておりこの先どのような傾斜がありその先どのような尾根筋が待っている予測がたつ。ただ黙々とタイムだけを気にして登るのでなく自ら予測しながら登ると精神的にも負担が軽くなくまた自ら予測した地形が現れると嬉しくもなる。地形図は3次元の地形が2次元化されているが、それを読みイメージ化してそれを言語化することは歩くという単純なワークの中にある知的作業であり、イメージ通りの地形が現れるととても充実した登山になります。
何より、山の中で自分がどこにいるかということをしっかりと自覚できることは安心で安全な登山ができ、山岳遭難の4割を占める道迷いが無くなります。コンパスの使い方と地形図の読み方を習得するとスキルアップした登山者の仲間入りができます。
★【ベアリング・ホワイトアウトナビゲーション】(2015年3月28日加筆)
・未知の場所へ入る場合または踏み込んだ時、あるいはホワイトアウト等の条件により、コンパスと地形図を使って進むときに必要となります。また、この技術を習得することにより本当の地図の読み方と活用が出来るようになります。
【用語】
(ベアリング):コンパスを使用し、2 点間の目標物の角度を計測すること。
(ホワイトアウトナビゲーション):ベアリングにより、算出した角度と地形図から得られる目標物までの距離の情報をもとに進行方向を決め、そのポイントごとに進んでいく方法。
【方法】
 @25000分の1の地形図に磁北線を引いておく(4cmピッチ:1q間隔になります。)
A地形図上にルート上の目標点を書き込む。
Bその目標点と現在地を直線で結ぶ。
C目標点の高度を読み取る。
D各目標点の標高差を調べる。
Eコンパスを使い以下の方法で方位を調べる。
F地形図上で現在地から目的地に向けコンパスのフチを当てる。
Gコンパスのリングを回して磁北線とコンパスの赤い針を重ねる(もしくは、平行にする)
Hコンパスの赤い針とリングに表示されている矢印を重ねる
Iコンパス前方の矢印が指す方向が目標物や目的地の方向となる(進の)ベアリング角度。
J地形図上で目標点までのだいたいの距離をコンパス定規で測る。
Kバックベアリング(戻る場合)の場合は(進む)が180度までは(戻る)は180度ををプラスし、進むが181度以上の場合は戻るは180度マイナスする。
Lこれらで読み取った数字をベアリング表に書き込む。  ナビゲーション表⇒EXCEL版
計画の基本コンセプト1
天候に対する拘り)
私達はピークハントだけを目的とせずできるだけ楽しい思い出になる山登りをするため天気が悪ければ基本的に行かないことにしている。天気が悪いとリスクが格段にまします。(ただし、長い縦走の初日が登るだけの移動日と考えられる場合には例外にしています)。山は逃げないと思うことにしている。その代わりにどこかサブの山の計画も準備している。
天気予報のポイント】天気予報で使われる用語は素人の意識と幾分異なった使われ方をしているのもある。
府県天気予報:日に3回、5時、11時、17時に発表される。
週間天気予報:日に2回日に2回、11時、17時に発表される。 (ネットで調べるときは午後5時以降に調べればいい。)
表現 定義
快晴

空に雲がほどんどない状態。雲量が1以下。 (雲があっても快晴・・)

晴れ 空を見上げたとき、雲が少ない状態。雲量が2以上8以下のとき。 (結構雲があります・・)
日が差す 雲量が9以上で青空が見える状態。
曇り 雲量が9以上であり、中・下層の雲が上層の雲より多く、雨が降っていない状態。
のち 予報期間の約2分の1をおいて前半後半で天気が変化する
一時 現象が連続して起こり予報期間の4分の1未満
時々 現象が断続して起こり、その合計期間が予報期間の2分の1未満
時々 現象が連続して起こり、その期間が予報期間の4分の1以上2分の1未満
はじめのうち 予報期間の初め4分の1〜3分の1ぐらい
雨か雪 降水があることが予想され、雨の降る可能性の方が雪の降る可能性より高い
雪か雨 降水があることが予想され、雪の降る可能性の方が雨の降る可能性より高い
ぐずついた天気 曇りや雨(雪)が2〜3日以上続く天気。
変わりやすい天気 対象とする予報期間の中で、晴れが続かず(2日程度)、すぐに曇ったり雨(雪)が降ったりする天気。
*鳳凰山を広河原からの登ったとき、地蔵岳が足元に立てもその上が見えなかった。鳳凰山登山のいい思い出が無い。どんなに素晴らしい山も雨の中の山行は楽しさがそがれてしまうという自戒からそれ以降、頭書の通り曇りや雨の予想される登山は行なわないことにした。私たちの登山の楽しみはピークハントのみでなく山行と山頂からの展望を楽しみたい・・ということである。 
*これかある意味、関東に住んでアルプスの山に比較的容易に行けるという地の利に恵まれた故であるが・・。
【山岳専門気象情報】
現在、登山専門の気象情報で一番精度が高くし信頼がおかれているのは気象予報士猪熊隆之氏の「ヤマテンの山の天気予報」の情報である。全国18山域、59山の山頂の 天気、気温、風向・風速を6時間単位で翌々日まで予報。さらに山岳気象に精通した気象予報士の解説コメントつく。さらに 広い範囲で荒天が予想される時には「大荒れ情報」でどのような気象遭難のおそれがあるのかを具体的に解説し、メールで配信される。有料サービスは月300円プラス税で提供される。
2013年10月の飯豊山で遭難者救助の時の天候も配信された情報通りであり精度の高さを実感した。
計画の基本コンセプト2
(早立ち)
可能な限り早く出て、早く山の山頂に立つ!。五竜岳から日の出 朝早く出るとこのような展望に目切り会えるかも。登山を始めた頃は、朝7時から8時ごろに登山口に着いてそれから登っていた。ところがベテランさんは私たちが登る途中で下山してきていた。そして私たちが山頂に着くお昼ごろには山は霞み始めるものであることを知った(10時を過ぎると水蒸気が出てきて霞んでくる)。
やはり山は朝の凛とした空気の残る朝10時ごろまでに山頂に立つに限る。そこでテントを担いで登るときは可能な限り、3時から4時には起きて、ヘッドランプで登り、朝日を山頂で迎えるというスタイルをとるようになった。高い山の稜線や頂で見る朝のまだきに輝やきはじめるばら色に染まるご来光と雲海の織りなすページェントは何度見ても感動する。この高みに自分の足で登ってこれるやってこれるものだけが体験できる感動であり美しさである。体中の細胞が大自然の中に染み入り一体となる感がする。
計画の基本コンセプト3
(早着き)
遅くとも3時から4時ごろにはその日の登山を終わらせる。
夏山は午後になると大気が不安定になり雷が発生する可能性が高く、晩秋は日が短く午後4時には山ではとても早く暗くなり、とても危険である。
山小屋でも4時過ぎてから到着すると食事をいただけない場所もあるため、可能な限り予約を入れておくか、携帯が繋がるときには早めに知らせておく必要がある。
山小屋やテント場に早く着くことにより、疲労を回復でき登山の安全を確保できるとともに、ゆとりを持って山と山小屋を楽しむことができる。暗くなってから着いて、翌日暗い中早立ちすると山の思い出がほとんど無いということになりかねない。
下山も同じく早く着くことにより、温泉に入ったり下山した地方の風物や美味しい食事を楽しむこともできる。
入山届け 登山口で入山届けは必ず提出する。 
専用の書式があるところもあるが事前に登山計画書を作成しておくことで、迅速に届出ができる。さらにネットで書式を入手して記載しておき入山時に届け出るだけの場所もあり時間が節約できる。
ネットで提出できるところもある。
特定非営利法人北アルプスブロードバンドネットワークの投稿-入山届北アルプス岐阜県側山岳情報長野県警山岳情報富山県警察積雪期の剱岳登山以外(条例に関係しない登山)の登山届、 NPO法人信越トレイルクラブはとてもありがたい有用なサイトである。)
登山前後のストレッチ 登山においては歩くための下半身の運動だけでなく、重い荷を背負ったり、急な上りや岩場では腕を使ったりと全身の筋肉を使う全身運動である。そこで登る前にはストレッチを行なうことにより全身の筋肉と関節をほぐす必要がある。これにより体が温まって体の動きがスムーズになり、関節や筋肉が柔らかくなり怪我防止になる。
そして登山後にクールダウンのストレッチを行なうことにより筋肉や関節の疲労を軽減できる。
ベテランの登山者ほど登山前や休息中のストレッチや下山後のクールダウンはしっかりやっていますね・・
休 憩 登山において休憩のとり方は重要である。登り始めて体が慣れてくる最初の1時間程は汗をかき、とても疲れる。原則1時間に1回は休むようにし、そして疲れる前にこまめにとるのがいいと思う。
急な坂を登ったとき等は立ちながら少し休んで呼吸を整えるだけでも充分に疲労を回復することができる。
この間にこまめに水分を補給し、キャンディー等で糖分等を補給しすると疲れにくいようである。
長く時間歩いてまとめて座り込んで休息をとるとかえって歩き出すのが億劫になることもある。
「疲れる前にこまめに休みを取る」のが楽しく登れる秘訣のようである。
登山は平地の歩きと異なり緊張の持続が求められるため、休息のときには周りの景色を見たり、咲いている花など楽しみ(写真を撮ったり)、してリラックスすることが必要である。緊張をほぐし気分転換になると共に登りがとても楽しいものになる。そしてそこで地図により現在位置を確認する。地図により自分の位置が確認できることで安全道迷いを避けることができると共にルート上の位置が確認できて心理的なゆとりも持つことができる。
●高山の美しい草花や木々の名前や小鳥の名前を少しずつ覚えていくことは、苦しい登山をとても楽しいものにしてくれる。中でも小鳥の鳴き声で鳥の名前を知ることはとても難しい・・・・。この花や木々、鳥等の知識の積み重ねは将来的には大変な財産になります。1座1つの花の名前でも10年後には花の専門家になれますよ。
水分補給と痙攣防止のミネラルバランス) 水分はのどが渇く前に補給するというのが原則であろう。そして水は少しずつこまめに補給するといい。そのために私たちは登山を始めるときに登山の基本装備として「ハイドレーションシステム」を採用した。2リッターほどの水タンクにホースが付いていて、ザックの前に持ってきたホースの先の飲み口で水を吸い込むものである。いちいち立ち止まって水筒を明ける必要が無く、水をこまめに補給できる。
何より水をザックの中に収めることができる。(ザックの背中の中央部に入れることによりバランスもよくなる。)
【水分補給のガイドライン】
鹿屋体育大学の山本正嘉先生によると「行動中の脱水量(ml)=体重×行動時間×5」であり少なくともこの7から8割を補給するようにする。ex体重60sの人が6時間の登山をするときには60×6×5=1800ml
注意点として、夏の暑いときには水だけでは不十分であり、塩分等のミネラルの補給には注意が必要でポカリスエット等のスポーツ飲料を加えておく必要がある。現在は登山用の塩飴なども販売されている。
又アミノバイタルなどのスポーツ飲料を有効に活用すること。特にBCAA(分枝鎖アミノ酸)の入っているアミノバイタル等は登山用のポスターで「七合目からが違う」とあるように登山前にのみ又登山後にのむことにより間違いなくパフォーマンスがアップし、疲労の回復は早まるようである。
*筋肉の主成分を構成するたんぱく質のBCAA(分枝鎖アミノ酸)は激しい運動で分解され、エネルギーとして消化される。これは体内合成されないためサプリメントや食事などにより摂ることにより筋力の分解をリカバーし疲労回復が図れるのだといわれています。
*2007年の夏、白馬の大雪渓を登っていたとき、大量の汗をかきハイドレーションで水を補給していたが、葱平(ネブカッピラ)上の小雪渓で両足が痙攣し歩けなくなった。やっとのことで小雪渓を渡り切りうずくまっているとベテランの登山者が「汗をかきミネラルが失われ、その上で水を飲んだためミネラルバランスが崩れた(薄まった)ための熱痙攣だな・・」、「梅干かポカリスエットがあれば飲めばいい。」とアドバイスされた。持っていたポカリスエットの粉末を水で流し込むとしばらくすると痙攣が治まった。
歩き方・登り方 山で疲れずにまた安全に登る(歩く)為には、歩幅は小さく、ゆっくりと、息を切らさず、足の裏を地面にフラットに着き音をたてない歩き方である。
平地では後ろ足のかかとが上がり、つま先でけりだしその反動で足を前にだす。これでは体が撥ねるようになりバランスが悪くなる。
これに対して山では踵が上がると同時の足を持ち上げ、膝を前に押し出すようにして(重心を移動する)足の裏が地面にフラットになるように降ろしていく。これが疲れない歩き方になっていく。
そして左右の足をファッションモデルが歩くように1本線上を歩くとバランスが悪いために、平行な2本の線の上を歩くようにする。
歩幅を小さく歩くことで急な上りにおいてはても疲れにくく、急な下りでは滑りにくい。
そして岩場においては足を岩にゆっくりと置き、浮石や不安定な石で無いかどうか意識しながら歩く必要がある。またザレ場においては特に歩幅を小さくしてフラットに足を突くと滑りにくい。
そして登山では無意識に歩くと大きな事故につながるので足が地面について体重が完全乗り移る瞬間まで意識を持続することが必要である。
岩場の登り方・フリークライミングジムの活用 topロープを使った高い壁の訓練三点支持(確保) 両手両足の四肢のうち常に三肢で身体を支え、一つだけを岩壁から離して行動する岩登りの基礎技術は易しい岩部でしっかりと意識しながら訓練して取得しておく必要がある。低い壁によるボルタリングの基礎訓練
しかし、山岳会に加入している方ならともかくこの基本技術をしっかりと習得する機会はなかなかない。理屈でわかっていても、実際、高度のある岩場では本当の意味での安全確実な岩登りはできない。その意味でも、クライミングジムでボルタリングやトップロープを使ったクライミングの訓練は意識的に岩場登りの基礎を習得することができる。
特にボルタリングは離れた岩を掴むときなど三点支持をある意味否定するような場面もあるが、「小さなスタンスに垂直に乗る」こと、そして「重心を左右に移動しながら登っていく」ことことなどのぼりの技術が自然に身に付く。
それにトップロープを使った登りは垂直な壁を上る技術とともに高度に対する恐怖心の解消。さらに、ロープに身をゆだねて崖を下るロアーダウンの経験は登山における大きな自信になる。
ひざ(膝)痛との戦い 山に登り始めて最初に経験することとして下山時のひざ痛である。そしてひざ痛は登山者にとって永遠に抱える不安である。
山では登りにおいては太ももの筋肉痛になるが、下りにおいては平地ではあまり使わないひざの後ろの筋肉が伸びてしまうことによって痛みが発生し歩くのが辛くなる。
これに関しては日々膝をストレッチし、また歩くことにより膝の周りの筋力を強化する以外にないようである(膝に水をためた時の山梨県のスポーツドクターの処方です)。
ひざ痛を防止する方法としてはまず荷物の重さを軽くすることである。さらに荷物だけでなく自らの体重を減らして膝にかかる負担を軽減することも重要である。(1リットルの牛乳パックを見ると1kgが如何に重いものであるかが実感できます。)
特に下山時の歩き方には注意が必要で、ドンドンと足を伸ばしきって激しく下ると膝を痛めやすい。歩幅を小さく、ゆっくりと音をたてない歩き方をするとひざ痛を防止できるといわれている。
ひじ痛の不安がある時は膝用のサポーターを持参すると痛みを和らげることができる。
さらにストックを有効に利用するとひざ痛を防止し、痛みを軽減できるので積極的に利用すべきである。
*私たちも初めのうちはひざ痛に悩まされた。至仏山に登った時は、尾瀬沼への下山ので膝を痛め自分の膝も痛いのに膝痛がひどくなった妻のザックを担いで下山したこともあります。
スットクの利用 ストックの利用
私たちは2008年の夏シーズンの前まではバランス感覚を養う意味でもストックを使わなかった。しかし、五竜岳でストックの利用を勧められ、北アルプスの最奥地雲の平・高天ヶ原・水晶岳・鷲羽岳の4泊5日のロングトレイルを期に2本ストックを積極的に使うようになった。
それまで足の筋肉だけで登っていたが、ストックを体の両脇に突き、両腕の筋力を使い、ストックを押すことで足の筋肉で身鷲羽岳山頂体を持ち上げる動作の補助として使うとにすると、足の疲労が格段に軽減された。特に私達のようにテント泊を基本としている比較的重たいザックを背負っているとその効果はてきめんである。
さらに下山においては両ストックを前方の適当な場所に意識的に突き、それに体重をかけて下ると、下山時に膝にかかる負担が軽減されると共に、スリップによる転倒を防止できる。
ポイントとしてはストックを無意識に突かず安全な場所を意識的に選択すること。
ストックを使うことが不適切な登りも急な三点支持(確保)の必要な岩場ではスットクをザックに収納、或いは邪魔にならないようにする。(現在ではこれにより足の疲労がとても軽減できると共に両腕を使うことによりバランスのよい登り(下り)ができるようになり、足の疲労が少なく安全な登山ができるようになった。
*私たちは実際の登山で利用する前に家の周のウォーキングでスキーのストックワークの様なにストックを自在に操れるように練習してから登山に利用した。
*LEKIのストックに付属しているDVDには1986年に人類史上初の8000m峰全14座全座を登頂し、エベレスト無酸素初登頂を成し遂げたイタリアの登山家ラインフォルト・メスナーが膝への負担を軽減するため四つんばい(四足)登山を推奨していた。足への負担を軽減し安全な登山をするにはなかなか理にかなったツールであり登山方法であると実感している。特に女性には二の腕の引き締め効果は抜群である。
ストックに関しては先端にゴムを付けることにより自然に対するローインパクトを心がけるようにという意見が多い。確かに木道や崩れ易い泥の道の場合はそのようなことがいいうるであろうが、岩場ではゴムをつけるととても不安定である。
私は岩場ではむしろゴムを外してストックの金属の石突が岩を噛むグリップ力を積極的に利用すべきであると考えている。 ストックの金属の石突のグリップ力を体験するとゴムをつけて利用することは恐くなる。いろいろ意見はあると思いますがストックに鋭い金属製の石突が付いている理由は何処にあるか・・ストックの能力を生かしきれていないのではないか・・などと考えると岩場ではゴムなしで利用すべきだと思います。
高所障害(高山病:低酸素) 高所では気圧が下がり空気が薄く(酸素分圧の減少:単位体積あたりの酸素量が減少する)なります。胸一杯に空気を吸い込んだ時に摂取される酸素量は減少します。高山病とは、大気中の酸素分圧の低下により、人体に生じる様々な症状の総称(低酸素症或いは高山病:)です。頭痛や吐き気、手足のむくみ、目眩、体のだるさなどです。(ヒマラヤなどではもっと重篤になるといわれます。)
標高2500m以上で出るといわれます。富士山に登ると七合目辺りから(早い人では五合目辺りでも)、頭痛や吐き気がして、運動量が極端に落ちてきます。 富士山の山頂の酸素濃度は下界の3分の2程度で血中酸素濃度(SpO2)は平地の75%から80%程度といわれます(SpO2:75%は会津若松市のスキースポーツ少年団でお世話になった麻酔科医からは酸素吸入が必要となる数値とであるといわれました。)。
@予防のためには水をこまめに沢山とり、トイレに行くことだといわれています。
Aまた短時間で高度を上げずにゆっくりと休みを取りながら登ることが必要です。(富士山ではツアーできて、5合目で充分な休息をとらずにご来光を見るために急いで登る登山者に多いようです。⇒身体を高度に慣らす高所順応はとても重要です。)
B酸素が薄いため意識的に深く呼吸をして酸素を取り込むことです。
C症状がひどいときにはそれ以上高度を上げずに停滞するか、高度を下げることです。
紫外線(UV)対策
サングラス
登山において対策の必要なものの一つが紫外線である。高山においては晴れているときだけでなく曇っていても下界よりかなり強い紫外線にさらされる。女性にとっては登山を楽しむ上でとても難敵である。
ただ女性に限らず男性にも対策が必要である。紫外線は肌が黒く焼けるというだけでなく体力をとても消耗させる。
紫外線防止クリームは必ず塗り、最初だけでなく汗をかいたら必ず塗り返すようにしよう。
さらにサングラスは必要である。目から入る強い日差しの刺激が日焼けを推進するといわれるため、特に女性の方はサングラスは必需品である。当然男性も・・。これは山だけでなく街中でも同じである。
*因みに私達は夏場でも半袖のシャツを着て腕を晒す事はせず、UV対応速乾素材の長袖を着ている。疲れも少ないように感じている。
食料 登山における楽しみの一つは山での食事である。
バーナーコンビニの弁当やオニギリでも十分であるが、是非バーナーにコッフェルを持って行き、お湯を沸かし、コーヒーやココア等の飲み物のほかラーメン等の温かい物を作って食べるとより楽しいものになる。またフルーツや漬物などがあるだけで各段に食事が豊かになる。日帰り登山に限らず、山小屋泊まりでもこのバーナー、コッフェル等の基本装備は準備することをお勧めする。
ただ、これによりザックに入れる荷物の量と重さが格段に増えることになる。食材のほかに、一番重い水を担ぎ上げなければならない。山頂での楽しみのための食料計画は多少の努力が必要となる。
食事にこだわりすぎると勢い余計な重たいものを持ち過ぎになりがちであるが、余計なものを取捨選択して軽量化の努力中で山での食事をより豊かなもにするための工夫をしたい。とはいえ山飯の工夫は山がより楽しくなるものであることは間違いない。田部井順子さんも「美味しいは重い」と言っておられます。
私たちは山行予定日数分の食料(主食並びに行動食)プラス1日分さらにコンデンスミルクを持つようにしている。コンデンスミルクは非常食以外に疲れたときの即効性のある疲労回復には最適である。
ベテランさんのパーティーの食事のバリエーションの豊富さにはビックリすると共に頭が下がる。白馬槍温泉小屋で冷やしそうめんに錦糸玉子を作っていたパーティーには驚いた。いろいろ工夫して楽しい山飯を楽しみたいものである。光岳では食材を炒めて牛脂で固めたペニカンを使った若い女性には大いに刺激を受けました。
*私たちはインスタントラーメンには刻んだネギに卵やスーパーで売っているチャーシューとシナチク、卵のパックになったものを持っていくと間違いなくとても美味しいラーメンになる。山飯で生の野菜やフルーツがあるととても贅沢な食事になる。山飯は工夫次第でとても豊かなものになります。それも山の楽しみです。ただ「美味しいは重い」は覚悟する必要があります。
行動食 登山においてお腹がすいて運動量が落ちる(バテる)ことを「シャリバテ」という。そこで登山をしている最中に糖分を補給して運動能力を維持するために補給する食事を「行動食」という。お腹がすいてから食べるのではなく、こまめに補給するのがいい。
登山の途中で周りの登山者を見ていると餡パンや飴(キャンディー)類、チョコレート、ドライフルーツ、サラミ、せんべい、クッキー、一口羊羹、ジェル状の栄養補助食品等を食べているようである。単独行の加藤文太郎氏は甘納豆をポケットに入れていたと書かれている。
 山岳保険  山での事故は起こさないにために慎重の上に慎重を期している。しかし、万が一のために山岳保険に加入するようにしておきたい。意図しない状態で不慮の事故は起こるためそれによる負担である。また家族に家族に迷惑をかける。いろいろ保険会社があるが私たちはjRO(日本山岳救助機構)の保険に加入している。
jROは毎年負担金が変動するがそれでもとてもリーズナブル。とくに保険の対象となった全ての事故の概要と支出したお金が報告されるため報道されない沢山の事故を知ることができ登山者として有意義な事故事例を知ることにより自戒とともに自らの登山の参考にもなります。
家族の理解 登山をやる上での家族の理解は重要である。
この点、私の場合パーティーを組むパートナーの妻(ハンドル:HEART・ハート)がアウトドアが大好き人間で、登山も共に楽しむことができること最大の幸運である。
しかし、妻とパーティーを組む以上、私がリーダーでありかつガイドとして全ての知識は私が先に身に付けていかなければならない。妻の専属ガイドである以上、自分が山を楽しむ以上に安全で楽しく充実した山行を提供する義務(?)があり、かなりのプレッシューがあるのですが・・。
2014年9月21日加筆

HOMER’S玉手箱 麹町ウぉーカー(麹町遊歩人) 会津見て歩記 甲府勤番風流日誌 伊奈町見聞記(バラ園) 鹿児島県南さつま市坊津町 Good Journey(よい旅を!)