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======麹町ウぉーカー(麹町遊歩人)No.80=========

今年は、よく台風が上陸します。過去、最多の上陸件数だそうです。そして大型台風18号が、台風のまま北海道を、駆け抜けていきました。ほとんど一日中、北海道は暴風に晒されてしまいました。赤レンガで有名な道庁の周辺では乗用車が横転、北海道大学のポプラ並木も倒れてしまいました。朝から暴風でJRの電車も全面ストップとなり、私自身も札幌までの通勤が困難な状況となりました。止む無く、バスを利用したのですが、道路には木が倒れて道路を塞いでいるし、走行中も風の影響で揺れるし(実際に、大型トラックが横転していました)怖い思いをしながらの通勤となりました。台風が本州に上陸しても、北海道に到達するまでに勢力が衰えてしまい、ほとんどが温帯低気圧になってしまうと思い込んでいた道産子にとって、思い掛けない大型台風の到来となったようです。

麹町界隈は台風の影響いかがでしたか?今回は、関東地方にはあまり影響はなかったようですね。1993年8月に東京を襲った台風11号は、大雨でお濠の水が溢れ出したそうです。9月1日の防災の日は過ぎましたが、万が一のときは千代田区洪水避難地図を参考にして下さい。

http://www.city.chiyoda.tokyo.jp/dp/hazard/hazard.htm

 

H氏と、「今年は台風が多いし、お濠は何故氾濫しないのだろう」とメールのやり取りをしていたら、皇居のお濠と彼岸花というなんとも秋らしいレポートが上がってきました。                                 (大)

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9月になると千鳥ヶ淵公園や代官通り土手そしてお濠の皇居が側の土手に真っ赤な彼岸花半蔵濠の彼岸花が咲き始める。さらに半蔵門から最高裁、桜田門(警視庁)までの桜田濠の皇居側の斜面にも真紅の彼岸花が点々と群生している。この他、麹町界隈で食違見附の土手やその他の外堀の土手にも多くの彼岸花の群生が見られる。この麹町界隈は都内でも有数の彼岸花の名所で、日本の中心地でこれほどの彼岸花が見られることに驚く。さらにシオカラトンボや赤トンボなども多く見られる。

これだけ自然が豊富な緑のオアシスを作る皇居の濠(堀)は、江戸時代、江戸湾に注いでいた平川と呼ばれる川の谷を掘り下げて江戸城を中心に「の」の字の渦巻き形に作られたものである。

江戸時代の切り絵図を見ると、現在では想像はつかないが、江戸城の堀が隅田川や海とも繋がっており日比谷や新橋、大手町等の大名屋敷の間を整然と掘割が作られ、水の都と呼んでいいほどの水路が整備されている。赤坂と永田町、霞ヶ関との間の溜池と呼ばれる辺りは大きな溜池があり、虎ノ門の文部科学省のあたりから新橋の水路が繋がっている。昨年、江戸開府400年ということで各出版社が、切り絵図をいろんな工夫で出版しているが「水の都ベニスに匹敵した江戸の町」という表現があながち誇張とは思えない。

 

皇居のお濠が現在のように外部の水系から閉鎖環境となったのは濠の埋め立てが行なわれ始めた明治以降のことである。1965年(昭和40年)ごろまでは淀橋浄水場(西新宿高層ビル群の場所にあった浄水場です)の余剰水が供給されていたが、現在ではお堀の水は特に補給されておらず、お濠に流れ込む水は雨水と地下水のみであるという。夏になるとアオコや悪臭が大発生するようになるため、1995年に12億円をかけた浄水施設が完成したが、渇水期にはその機能をフルに発揮できないという。

食違い見附の彼岸花って、私達が日ごろ何気なく目にしている皇居のお堀の水はどうしてもきれいになり様がないのである。

 

ところで皇居の内堀を一回りしてみると、半蔵門の千鳥が淵公園の前にある半蔵濠が一番高い位置にあり、日比谷公園前の日比谷濠の水位が一番低いのが一目して見て取れる。

しかしそれぞれのお濠は完全に閉鎖されているわけではなく水の流れがあるようである。一番水位の高い「半蔵濠」の水は「千鳥濠」、九段下「牛ケ淵」を流れて千代田区役所脇の清水門脇の水門から日本橋川方面に流れ出るのだという。

これに対して桜田濠の水は警視庁の前の桜田門、法務省の脇の凱旋濠から祝田橋、日比谷濠を経て下水道に入るのだという。

また大手町の大手濠の水は桔梗濠から、丸の内の和田倉濠、馬場先濠を経て日比谷濠に入り日比谷交差点角から都の下水道に流れ出るらしい。

以前大雨のとき日比谷濠の水があふれて日比谷交差点が水没していることを見たことがあるが、この出水はこのような経緯によるもののようである。

 

2003年(平成15年)2月、皇居のお濠(ほり)の水を抜き移入種(外来魚)を一網打尽にする「掻(か)い掘り」が行われたというテレビ報道を観た。干上がった牛ケ淵の水溜りにタモ網を持って魚をすくっており、テレビのレポーターが「ブラックバスとブルーギルが外来種でウキゴリ、ヌマチチブ、モツゴ、テナガエビが在来種」などと説明していた。

この調査でウナギ、テナガエビ、モツゴ、ゲンゴロウブナ、ヌマチチブ、ワカサギ(公魚)、ナマズ、ウキゴリ等の在来種の他にブルーギルや50センチを超えるオオクチバス(ブラックバス)やハクレン、ソウギョが等の外来種が捕獲されたという。

現在日本中の湖沼で問題になっている「ブラックバス等の外来種が、ワカサギ等の在来種を駆逐してしまうという問題」が、この皇居のお濠でも生じているらしい。

この皇居のお濠に、ブラックバスが初めて見つかったのは1975年、ブルーギルは84年の調査で発見された。最初2%程に過ぎなかったブルーギルは、93年には全体の約20%、98年には約50%と激増し、最も多い濠では8割以上を占めているという。

逆に、84年に半数近くいた在来種のモツゴは全体の1%以下に激減したのだという。現在、十二の濠のうち、外来種が確認されていないのは、千鳥ケ淵、半蔵濠、桜田濠、蛤濠の四カ所だけだという。

 皇居半蔵濠の彼岸花

ところで最初に紹介した「彼岸花」は彼岸の頃に咲くのでこの名があるのであろう。毎年9月下旬から10月にかけて半蔵濠や桜田濠のあたりには、この彼岸花を撮影するためカメラを持った人が集まっている。

昨年、撮影している方に聞いたら「都内でこれだけ群生しているのは珍しい。」と言っていた。

彼岸花は別名「曼珠沙華」(まんじゅしゃげ)とも呼ばれる。”天上の花”という意味あり、おめでたい事が起こる前兆として、赤い花が天からふってくるという仏教の教えによるものである。

子供の頃、祖母から「彼岸花の根には毒がある。」、「田圃に植えるのはモグラが穴をあけないようにするため。」、「モグラが食べて死ぬ。」と教えられた

別名も「マンジュシャゲ」のほか、「幽霊花(ユウレイバナ)」とか「死人花(シビトバナ)」、「墓花(ハカバナ)」、「火事花(カジバナ)」など、その真紅の不思議な色合いからくるイメージから全国各地にさまざまな地方名があるという。

一昨年9月中旬に大阪に出張した帰りの新幹線の中で京都を過ぎてうたた寝をして目を覚ましたら、夕暮れになった窓外の田圃のあぜ道に沢山の真っ赤な彼岸花が咲いていて、その荘厳さに驚いたことがある。

携帯電話の位置情報サービスを使うと「関が原」辺りであった。昨年は江戸開府400周年の区切りの年であったが、そこは江戸開府直前(1600年)に徳川家康公の天下が事実上確定した歴史上有名な戦いの行なわれた「武士どもの夢の跡」であった。

「彼岸花」、「曼珠沙華」、「死人花」、「墓花」等、どの名前もあまりにぴったりな場所であることに驚いた。

彼岸花の花言葉は「悲しい思い出」である。

ツルボまた、彼岸花が咲き乱れる半蔵濠の代官通り側の土手には真紅の彼岸花に混じって花茎を一本立ててその先に紫色の小さな花を無数につけて一面に咲いているのを見ることができる。

近寄ってよく見るとなかなかきれいな花である。調べてみたところ「ツルボ」という花である。彼岸花の背景のように咲いている場所もある。ツルボは野生種であるというがこれだけ一面に群生しているところはあまり見たことが無い。この皇居のお濠はツルボの群生地でもあるようである。

ところでこのツルボの花言葉はなんと「あなたの死を悼む」というのらしい。あまりに彼岸花とマッチしすぎるような気もするが・・。

 

最後に関東近辺の彼岸花の名所を1箇所紹介する。

埼玉県日高市巾着田の彼岸花の群生地は関東でも有名である。飯能市と日高市との境を流れる高麗川がまるで巾着袋のように大きく蛇行した場所の一番奥の林の中が一面真紅の彼岸花で埋まる。日本一の群生地であるとも言われている。

毎年9月20日前後の満開の時期になるとテレビでも必ず紹介されるため、土日ともなると道が渋滞してとても花の咲く場所にはたどり着けない。西武池袋線高麗駅から10分ほどなので歩いていくのがいい。或いは歩いて20分ほどのところにある霊験あらたかな高麗神社にお参りしてここに車をとめてハイキングをしながら巾着田の彼岸花を楽しむのもいい。

この河原は絶好のバーベキューやキャンプサイトで多くのキャンパーで賑わっている。とくにこれからアウトドアを始める人にはお金をかけない入門コースとして近くて便利であり、さらに安全で手ごろな場所である。

さらに、巾着田の向かいにある日和田山、高指山、物見山というハイキングコースは四季を通じて楽しめる場所である。

日高市巾着田の彼岸花

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H氏のレポート最後に出てきた「埼玉県日高市巾着田の彼岸花の群生地」HPを紹介します。http://www.kinchakuda.com/

北海道でこの彼岸花は、あまり知られていないようです。北海道でも咲いているそうですが、私自身も見たのは内地で北海道では見たこと無いかも・・・・・・?

 

H氏のHPは、トレッキングのコーナーが頻繁に更新されています。ついに富士山を制覇したようですよ。

http://homer.pro.tok2.com/index.htm

 

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http://www.mag2.com/m/0000073086.htm

(大)

平成16年9月12日配信


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