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===========麹町ウぉーカー(麹町遊歩人)No.67========

前回・前々回と歴史的な出来事を取り上げました。今回は、ちょっと一息入れましょう。

昔は、タバコで一服だったのでしょうが、麹町ウォーカー(麹町遊歩人)はコーヒーブレイクです。ここ麹町は、歩行禁煙の地でもありますし・・・・・・。

今回は、H氏拘りの、コーヒーブレイクできる喫茶店の紹介です。

コーヒーの香り漂う麹町も魅力一杯です。

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麹町界隈はビジネス街ということもあり、JR四ッ谷駅の「BUCK’S」に始まり半蔵門までの間に今流行りの「Starbucks」、を初めとして「TULLY'S COFFEE」、「EXCELSIOR CAFE」、「Doutor」等のカフェテリアが建ち並びそれぞれにリーズナブルで個性的なサービスを提供し、昼時ともなるといずれの店も長蛇の列が出来ている。

今回はこのようなカフェテリアではなく少し拘った喫茶店を紹介しよう。

 

さびゆう

まず地下鉄有楽町線の麹町駅の善国寺坂を下りきったところにあるドラッグストアーとラーメン屋の角を千鳥が淵方面に入ってすぐのところにある「銹釉(さびゆう)」という喫茶店である。外観は如何にもコーヒー専門店の風情があり一瞬、看板の「銹釉」をなんと読むのだろうと立ち止まってしまう。   (平成16年6月閉店しました。現在はCAFE PRIMOSE HILLになっています。)

中に入ると難しい店の名前と店構えの割には、明るい店内でカウンターとゆったりした間隔でテーブルが並んでいる。コーヒーはブレンドコーヒー(600円)からストロングブレンドなどいろんな種類を楽しむことができる。苦味と酸味のバランスがよく、とても飲みやすいコーヒーである。女性のマスターが拘りながらコーヒーをドリップしているのを見るのはなかなか楽しい。またこのマスターはなかなか気さくな方で、彼女の優しい雰囲気がジャズの音楽とインテリアとともに雰囲気の一部として溶け込んでいる。さらに彼女と話しをすることにより、このスペースがアットホームなものとなり、間違いなくこの店の常連になりたくなること請け合いである。カフェスタイルの店では、スタッフと会話を楽しむということはまずないであろう。

六花亭のバターサンドと坂本直行氏デザインの袋私が立ち寄った時、店内の壁に雪山を描いた絵がかけられていた。この絵は坂本直行氏の絵であるという。坂本氏は北海道在住の画家であるが、あの高知(いや土佐というべきであろう)出身で幕末の偉人である坂本竜馬の縁戚の方である。この画家の絵は多分多くの方が目にしているのものと思われるが、ご存知であろうか。北海道を訪れた際、六花亭の「バターサンド」をお土産に買ってこられる方が多いと思うが、この六花亭の包装紙に描かれている花の絵の作者が坂本氏である。

井上ひさし氏の色紙

また、店の中央辺りにある電話機の脇に一枚の色紙が飾られている。作家である井上やすし氏のものでこの店によく通われているとのこと。色紙には『むずかしいことをやさしく やさしいことをふかく ふかいことをゆかいに ゆかいなことをまじめに 書く』とある。

この店は麹町ウぉーカーの編集会議室となっていたのだが、この言葉は麹町ウぉーカーの目標となった。後日談であるが、私たちがこの色紙を目標にしていることをマスターが井上氏に話をしたところ、氏がいたく恐縮しておられたという話しをきいた。

さびゆうの皿

ところでこの店名の銹釉(さびゆう)とは「茶色に発色した鉄釉(てつぐすり)の一種」の意味である。店の一番奥のテーブル席脇に、店名を象徴するように銹釉(さびゆう)の焼き物の皿が一枚飾られており、この店の拘りを感じさせている。

 

次に紹介するのは、日本テレビのそばにある「番町茶館」(千代田区六番町3-11テシコ六番町ビルB1)である。日テレ通りから半地下になっている。

中に入ると奥に向かって一列に席が並んでいるが、それぞれの席が隣の席と腰程の高さの黒光りする仕切りで区切られ、狭い席に二人あるいは四人ほどで向かい合うように作られておりクラシックな雰囲気がある。この仕切りはオープン当時白木であったというが今では店内照明の温かい白熱灯の明かりとマッチしてこの24年の歴史を重ねて黒光りし、雰囲気を醸し出し、芳醇な時間を過ごさせてくれる。

この店は作家の開高健氏がこよなく愛したといわれる赤坂のバー「木家下」や六本木のフレンチレストラン「まっくろう」と同じデザイナーによるもので、あるとき訪ねてきた女性が「赤坂の○○に雰囲気が似ていますね・・」といわれたことあるという。このクラッシクなインテリア空間を違いが分かる人には分かるものらしい。それほど個性をもった雰囲気の店ということである。

番町茶館客席とは反対側にカウンターがあり3名ほどの席がある。カウンターの正面の壁際にはこの店がオープンした1979年製の「ロイヤルコペンハーゲン」の皿を初めとして24枚並んでいる。オーナーの趣味で毎年一枚ずつ加えていっているという。

当時コーヒーが100円程のころこの店では今と同じ750円で出しており、「何でコーヒーが700円なのだ」というクレームもあったという。

この店の特徴はコーヒーや紅茶(ロイヤルコペンハーゲンの茶葉である)等の飲み物に手造りの生チョコが添えられてくることである。ブレンドコーヒーはとてもコクがあるにもかかわらず口当たりがよく、あえてミルクを入れてマイルドにしたいなどという気にさせない。コーヒーのみを味わいたいという気にさせる。

生チョコはそれほど甘すぎず、ほろ苦さとのバランスとその口当たりの柔らかさが絶妙で、コーヒーの苦さとのバランスが最高である。

この生チョコはこの店の女性オーナーの秘伝でマスターも教えてもらっていないといっていた。

この生チョコは以前6個入りのチョコの箱に「ロイヤルコペンハーゲン」のマークをデザインして銀座の松坂屋で販売したところ、たいへん売れて生産が間に合わなかったことがあるという。

現在でも店内で6個入り750円で買い求めることが出来、バレンタインデーに買い求める通の女性がいるという。6個の生チョコ小さな白い小箱が綺麗な紐のついた可愛らしい袋に入れてもらえる。プレゼントするにはお勧めの一品である。生チョコは2個250円もあります。

また午後5時以降はアルコールを楽しむことが出来る。ビールやウイスキーのみでなくこの店の歴史と共にあるマスターとの会話を楽しみながらカクテルも素晴らしい。

柔らかい照明と優雅なジャズの音楽に包まれて時間が過ぎるのを忘れさせてくれる空間である。

いずれの店も日本テレビ(2004年2月末で汐留めに移った)がそばにあった関係で日テレのスタッフがよく利用していたという。番町茶館は若い頃のNTVの徳光さんや福留さんも通っていたという。そしてテレビ東京の土曜午後9時放送の人気番組「アド街ック天国」の取材の時には日テレの社員たちが「顔が出ないようにしてよな。」といいながら撮影していたという。

そのような関係か支払いをするときには必ず「領収書はどうします。」と聞かれるのである。こだわった綺麗な領収書である。いわゆる業界の人たち御用達というところか・・。

 

最後に市ヶ谷駅前の坂を日本テレビ方面に登り最初の交差点を右に曲がったところにある「ミュージアムティールーム五番町店」(千代田区五番町10-2)である。  (2006年12月から「ミュージアムティールーム五番町店」は閉店して「無垢、一枚板の家具 祭り屋」になりました。2007.1.9加筆)

店先に大きなイギリス国旗が掲揚されており、お昼はランチメニューもあり多くの女性客で賑わっている。一見すると紅茶等の販売スペースの窓側にあるテーブル席の並びからお洒落なカフェテリアのようにも見える。

しかし中に入り販売スペースを抜けて喫茶スペースに入ると外から見るのと異なりかなり広く、床もテーブルもこげ茶色の木目に統一されてとても落ち着いた雰囲気である。それに4人掛けのアンチークな丸テーブルの間隔が広く、隣を意識せずにくつろげるスペースになっている。全席禁煙でテーブルの上に小さな「紅茶のおはなし」という本がある。

紅茶の種類も豊富で、紅茶の味も美味しい。日本紅茶協会の「おいしい紅茶の店」にも認定されており、ティールームの中央に認定証が掲示されている。紅茶単品では500円ほどからでリーズナブルである。

それにケーキセットやスコーンセット(各880円)等は十数種類ある紅茶リストから選ぶことができる。

スタッフは白い襟の黒いワンピース姿のいかにも英国のメイドさんといった風である。

紅茶はポットサービスで白いポットに入れたれた紅茶と紅茶こし、それに紅茶が濃くなったときに継ぎ足すお湯、さらにたっぷりのミルクが運ばれてくる。最後に白いポットにバラの柄のティーコゼをかけその脇に3分用の砂時計が置かれる。それが落ちたら飲んでいいという。

スコーンは幾分小ぶりではあるが両面に焦げ目のついておりスコーンにジャムとバターが付いてくる。

ケーキセットはスタッフがトレーにのせて持ってくる10種類ほどのケーキから選ぶ。ケーキはどれも小ぶりではあるが素材がよく甘さの切れが上品で美味しい。

紅茶はポットサービスで継ぎ足し用のお湯、さらにたっぷりのミルクがあるためゆったりしたおしゃべりの時間を過ごすのに最適である。ティーコゼ

さらに一番の奥は特別室になっていて1人500円を支払うと2時間使うことができる。予約席とのことであるが空きがあれば誰でも使えるという。密室ではなくティールームの続きなのであるが4人席が5席あり、英国ビクトリア朝風の家具が並べられ重厚な空間を作っている。壁には女性の肖像画が架かっているが「アンナ・マリア・ベッドフォード公爵夫人」であるという。

「ベッドフォード公爵夫人」は紅茶の歴史の中では重要な人物で、いわゆるアフタヌーンティーを始めた婦人であるといわれている。

アフタヌーンティーというとイギリスの貴族が午後3時ごろから紅茶にスコーンやサンドイッチ、タルトなどを食べながら過ごす優雅な習慣のことである。ビクトリア朝(大英帝国絶頂期のビクトリア女王1837年から1901年ごろ)の頃のディナーは午後8時ごろとかなり遅かったため、ベッドフォード公爵夫人が午後の貴婦人たちの集まりに、お茶に軽い食事を添えて出したところ、これが大好評となり、英国貴族社会のおもてなしの文化として定着し、広くヨーロッパ貴族社会にも浸透したといわれる。

確かにこの特別室はアフタヌーンティーを楽しむための素晴らしいスペースである。従って、ここはティールームと呼ぶのがふさわしい。因みにここではアフタヌーンティーセットは1700円で楽しめる。

コーヒー専門店とは違った意味でゆったりしたたおやかな時間があっという間に過ぎてしまう。奥様或いは恋人との待ち合わせにはお勧めの場所である。

営業時間は午前9時から午後9時まで(土日祭日は午後7時)である。

尚、この店はフジテレビの金曜夜8時の人気番組「ジャッジ」に出ておられる一番町綜合法律事務所の弁護士T先生から教えていただいたものである。

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追記 後日メルマガを読んでいただいたT先生から以下のようなメールを頂きました。紅茶に関する薀蓄としてそのまま紹介いたします。ありがとうございました。(2004.03.21)

楽しく読ませて頂きましたTです。
 英国でアフタヌーンティーが盛んになったのはベッドフォード公爵夫人からというのは初めて知りました。
英国に茶を飲む風習を持ち込んだのは、17世紀中葉に王政復古を果たしたチャールズ2世の王妃であるポルトガル出身のブラガンザのキャサリンだというのが定説のようです。斜陽とは言いつつも貿易先進国であったポルトガルは、結婚持参金を工面することができずに、お金の代わりに砂糖などの現物を持参金代わりにしたそうですが、そのときに紅茶も持ってきたというのが下記の本に書かれています。カソリック国出身で、プロテスタント派に目の敵にされたキャサリン王妃は、紅茶を楽しんで自ら慰めたということです。その当時はものすごい高級品だったそうです。アメリカ独立戦争につながるボストン茶会事件の1世紀程前の一コマですね。この間の事情は、森護著「英国王妃物語」河出文庫や中公文庫の「茶の世界史」(著 者は記憶していません)に詳しいところです。気楽に読める楽しい本だと思います。 それでは。

ちなみに麹町ウぉーカーで紹介したベッドフォード公爵夫人に関する薀蓄は麹町ウぉーカーが会津若松に赴任していた折、福島県大沼郡金山町にある妖精美術館で開催された紅茶セミナーに妻が2年連続参加させていただいたとき聞いた話と薀蓄を紹介しました。

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コーヒーと言われて連想するのがピンキーとキラーズの「恋の季節」♪夜明けのコーヒー二人で飲もうとあの人が云った♪です。喫茶店と言われて連想するのが高田渡の「自転車に乗って」という歌に出てくる京都三条の喫茶店「イノダコーヒー」です。ピンキーとキラーズは結構メジャーですが、高田渡の歌はマイナーでご存知ない方が多いかもしれませんね。で、コーヒー通の間では評判のイノダコーヒーが札幌に支店を出しました。ということは、札幌にはコーヒー通が多いということでしょうかね。

それでは、あとがきとして編集担当が駐在しております、札幌の喫茶店を紹介します。

≫カフェラトゥール(札幌市中央区北1西3)二十年前と変わらぬ、味わい濃いコーヒーを出すちょっと洒落た喫茶店です。≫北地蔵(札幌市中央区北1西2時計台そば)自分のところで、無農薬パンを焼いています。≫COZY CORNER(札幌市中央区北4西4 札幌国際ビル地下)カタカナの同名の店とは違います。朶都痴珈琲(ダッチコーヒー)という拘りのコーヒー出してくれます。

そして、喫茶店ではないのですが「雪印パーラー」。昔から、変わらぬ味と名前です。

でもここでは、コーヒーよりアイスクリームのほうが美味しいですね。

札幌にもナショナルチェーンのカフェが出店していますが、ちょっと拘って木の温もりのある喫茶店に入って過ごす一時は、たまらないコーヒーブレイクとなります。喫茶店には、雪の降る寒い季節がピッタリです。北海道旅行のせつは是非お立ち寄りください。

 

H氏のHPには写真も掲載しています。お楽しみください。

http://homer.pro.tok2.com/

 

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http://www.mag2.com/m/0000073086.htm

 

(大


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