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麹町ウぉーカー133号
(国民公園 新宿御苑)

新宿御苑は新宿区と渋谷区にまたがる58.3 haもある環境省管轄の公園である。

JR新宿駅からも10分ほどで行くことができ、また南側は総武線千駄ヶ谷駅、丸の内線新宿御苑駅に隣接しておりとても便利な場所にある。

ところがこれだけの公園であるにもかかわらず麹町ウぉーカーの管理者は一度も中に入ったことがなかった。四谷三丁目の荒木町に飲みに行って新宿まで歩く時も当然門は締まっており「新宿御苑か?」と呟きながら前を通り過ぎていた。ところが新しい仲間たちからはfacebookを通じて「4月21日に花見をしよう。」という提案があり、初めて新宿御苑を訪れることができた。

最初は「4月の下旬では花見は終わったのでは?・・」と疑心暗鬼でいくとなんと、そこは広大な敷地に八重桜のイチヨウをはじめウコンやギョイコウ等の珍しい桜が今を盛りと咲き乱れていた。

東京の都心地これほど広い敷地に高い木々、芝生、桜、バラ等四季を彩る植物が植えられており、その木々の上に新宿の高層ビルが展望でき、空がとても高く、ここがメトロポリタン東京の中心地であることを忘れさせてくれる別天地である。

中には西側には「日本庭園」、中央部には広大な芝生の「イギリス風景式庭園」、そして東側にはプラタナスの並木の「フランス式整形庭園」を組み合わせており南側を東西に池が配置されている。樹木の数は1万本を超える。日本庭園は「玉藻池」を中心とする回遊式庭園で、内藤家下屋敷の庭園『玉川園』の遺構である。

中央部の池の傍には旧御涼亭(台湾閣)と呼ばれる後の昭和天皇が皇太子時代の御成婚記念として1927年(昭和2年)に建てられた中国風木造建築が建っている。最高のビューポイントである。

それにしても広大な敷地である。この大都会の一角に広大な緑の公園は江戸時代譜代の内藤清成に徳川家康公が与えたことから始まる。家康公が清成に馬を走らせて回れるだけの土地を与えると言い、東は四谷、南は千駄ヶ谷、西は代々木、北は大久保のいたる広大な土地を賜ったという。そしてその時、乗っていた馬は着くなり息を引き取ったと伝えられ、千駄ヶ谷駅そばの新宿区内藤町1-8にある内藤家の先祖をまつる多武峯内藤神社の中に駿馬塚として残っている。江戸時代広すぎるということで敷地が幕府に返され、甲州街道の最初の宿場町内藤新宿として整備されたが幕末までは内藤氏の下屋敷として使われていた。

そして明治になり17万8千坪を買い取り明治5年畜産園芸の改良を目的とし内藤新宿試験場を開設した。そして明治10年農事修学場となりこれが東京大学農学部と東京農工大学農学部の前身となっている。

明治12年にこの土地が皇室に献納され新宿植物御苑となった。そして皇室庭園すなわちパレスガーデンとして整備されていき大正天皇の大喪の礼等も行われた(昭和天皇の大喪の礼も行われた。)。戦災により施設の大半は焼け落ちたが昭和22年に昭和24年4月から国民公園新宿御苑として名称を改め、5月21日から公開された。

新宿御苑に国民公園という名称が付されていたことは知らなかったが、皇居外苑・新宿御苑・京都御苑の3箇所が国民公園と呼ばれるものだという。

現在では開園時間は朝9時から1630分までで、毎週月曜日が休園日となっている。入園料は200円で、大木土門の横に駐車場もある。因みに429日「みどりの日」は無料である。

四季を通じて訪ねてみたい場所である。

それにしても家康公は大大名でもない譜代の家臣に広大な土地を与えたものである。それがのちに内藤新宿という宿場町ができ、今では内藤町という地名として残った。この内藤清成という武士は豊臣秀吉の小田原征伐の後、徳川家康公が関東に転封となったとき先陣として鉄砲隊を率いて江戸に入った。そして江戸町奉行や老中も務めたが慶長6年に常陸国、上総、下総国の国内に加増を受け21000石の大名となっている。しかし、慶長11年(1606年)に家康公が鷹狩りに出かけたところ禁猟のはずの鷹狩り場に狩猟罠が仕掛けられており、それを許可したのが関東総奉行であった内藤清成と青山忠成であったところから家康の怒りを買い職を免ぜられ蟄居を命じられる。切腹は免れたが、政治の舞台からは遠ざかることになる。のちに1971年内藤清枚代に、摂津富田林藩から33千石で信濃南部の高遠藩(減長野県伊那市高遠)に移る。そして内藤高遠藩は1714年、江戸城大奥御年寄の江島(絵島)が歌舞伎役者の生島新五郎らを相手に遊興に及んだことが引き金となり、関係者多数が処罰されたに大奥のスキャンダルとして知られる絵島生島事件で絵島を預けられる。高遠には現在でも絵島が幽閉された屋敷が残り、信州で一番の桜の名所である。

平成24年4月28日


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