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=======麹町ウぉーカー(麹町遊歩人)No.86==========

以前山歩きを一緒にさせていただいた友人のYさんから、埼玉県西部の毛呂山の「柚子」を贈っていただきました。黄色い実が陽光に輝き芳香を放っていた晩秋の山路を懐かしく思い出すことができました。

晩秋といえば紅葉ですが、麹町の紅葉はいかがですか?今年は夏が暑く、見事な紅葉が期待されていましたが、暖かい日が続いているせいか今一歩の紅葉のような気がします。

全国的にも暖かいようで、気象庁のこの秋の概況の記事を抜粋してみました。

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『2004(平成16)年 秋(9〜11 月)の特徴

○秋平均気温は北・東・西日本で高温となり、地域平均気温偏差の記録としては1946 年の統計開始以来、北日本は+1.4℃で2 位(1 位は1990 年の+1.7℃)、東日本は+1.4℃で2 位タイ(1位は1999 年の+1.6℃)となった。また、富山など5 地点で秋平均気温の最高値を更新した。

○低気圧や前線、相次ぐ台風の影響で曇りや雨の日が多かったため、静岡など東・西日本を中心とした16 地点で降水量の多い記録を更新した。

○台風が日本に6個接近し、そのうち4個上陸したため、東日本〜南西諸島を中心に暴風や大雨により甚大な災害となった。台風上陸数4個は1951 年以降で1位タイの記録となった(従来は1954 年、1990 年、1998 年の4個)。』

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近郊の紅葉情報を集めたHPを紹介します。

http://www.tokyo-park.or.jp/kouyou/

このメルマガ配信の頃には、ピークは過ぎているかも知れませんね。

さて、H氏は芸術の秋を堪能しているようです。麹町から、直ぐ近くにある「国立劇場」のレポートを書き上げてくれました。

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半蔵門前に建っている東京FMの前から内掘通りを少し桜田方面に進むと、正倉院の校倉造りを連想させる大きな国立劇場がある(千代田区隼町4番1号)。

この国立劇場と隣にある最高裁判所のある場所は隼町と呼ばれ、麹町、平河町、永田町に囲まれた皇居内掘(桜田濠)に面した小さな一区画である。江戸時代、このあたりには、播磨明石藩松平家や三河田原藩三宅家などの武家屋敷があり蛮社の獄で自刃した田原藩の家老で画家・思想家としても名高い渡辺崋山は、この地に生まれた。国立劇場

この隼町という町名は家康公が江戸に入府した江戸時代の初めにこの界隈に鷹匠(たかじょう)たちの屋敷があったことから、明治5年に隼町としたといわれている。

明治以降、町内には陸軍の施設であった教育総監部、東京衛戍(えいじゅ)病院、航空本部などが建ち並び、昭和の初期の地図には警視庁の官舎を見ることができる(現在でもその名残はあるのであるが・・)。

 

この歴史ある隼町に昭和41年(1966年)、国立劇場法に基づき日本の伝統芸能の保存と振興のために特殊法人として国立劇場が建設された。そして昭和54年(1979年)に国立劇場の裏手に国立演芸場が開場している。

その後平成2年(1990)3月の国立劇場法の一部改正により、芸術文化振興基金が設けられ、その運用益による芸術文化活動に対する助成などの事業も行うこととなり、同時に、法人の名称も日本芸術文化振興会へと改称された。そして平成14年(2002)12月、独立行政法人日本芸術文化振興会法が公布され、平成15年(2003)10月1日、日本芸術文化振興会は「独立行政法人日本芸術文化振興会」へ移行した。

この国立劇場本館は敷地の総面積が30,477平方メートル(9,235坪)、延床面積26,989平方メートル(8,178坪)構造鉄骨鉄筋コンクリート造階数地上3階・地下2階というとても大きなものである。

さらにその裏にある国立演芸場は敷地総面積768平方メートル(233坪)、延床面積2,773平方メートル(840坪)構造鉄筋コンクリート造階数地上4階・地下1階である。

国立劇場の左側が大劇場で右側が小劇場である。大劇場と小劇場の間にチケット売り場がある。大劇場の中に入ると、正面に等身大の白い連獅子の人形が目に入る。左右に2階席に登るエスカレーターがあり、その上に大きなシャンデリアがある。そのシャンデリアが普通見かけるクリスタルを下にたらしたようなものではなく透明な菊の花を球状に配置したまるで真っ白な花火が弾けた様なデザインの日本の伝統的な風雅が漂う華やかなものである。劇場の中は1階席から3階席まであり、歌舞伎座と比べると格段に大きく、最大1600名ほどの観客を収容できるという。

国立劇場の裏手には落語などを上演する国立演芸場があるが、劇場の前には国立演芸場と染められた色とりどりの幟旗が上がり、寄席の雰囲気を出している。国立劇場の正面からは最高裁側の筋を入る途中から地下道をくぐり永田町方面への地下道の抜け道が作られており国立演芸場の前に出ることができる。国立演芸場

国立劇場の真裏には本館から空中の通路で結ばれた建物があり、そこが伝統芸能情報館である。ここは歌舞伎・文楽・舞踊・ 邦楽・演芸・民俗芸能など芸能に関する図書、刊行物、筋書、芝居版画、番付、主催公演の記録映像・録音など各種所蔵資料と、調査研究事業による上演資料集等を集め公開している施設である。入館は無料で、中に入ると正面に大きなシアター設備があり歌舞伎の成り立ちなどを紹介しており、奥には文楽の展示室がある。ここにはプリクラのような機械があり、歌舞伎の場面や浮世絵の美人画を背景にしたハガキが1枚500円で作ることができる。

本館の真裏にある楽屋入り口の脇には、出演者の名前の張られた下足箱がある。正面には、お稲荷さん神棚が祭られており、ここだけが芸人の世界をかもす場所となっている。

その隣の職員通用口は国立劇場3階資料展示室の入り口でもあり、時々の歌舞伎などに関する資料を展示している。ここは無料で入館でき、今は「特別展示 花柳章太郎旧蔵の櫛・簪と江戸・明治の結髪」が開催されている。

 

この建物も立派であるがここで行われている公演もすばらしいものが多い。

歌舞伎というと東京では東銀座の歌舞伎座であるが、この国立劇場でも多くの公演が行われている。麹町遊歩人も麹町に赴任してきて一度だけ歌舞伎を観劇に行ったことがあるが大劇場は歌舞伎座と異なりとても大きな劇場である。

小劇場では文楽なども行われており、出張で大阪に行った折り、曽根崎心中の舞台として知られる大阪市北区曽根崎にある「お露天神」で宮司さんが「近く東京の国立劇場で曽根崎心中を上演するとのことで、先週、関係者がお払いにきましたよ。」と話しをきいたことがある。

さらに国立演芸場では落語が上演され、月を三分して10日までを上席、20日までを中席と呼ぶ高座が開かれ、月末までの間に毎月の花形演芸会、国立名人会が開かれている。

麹町ウぉーカーの編集長(大)は落語好きであり何度か国立演芸場の落語を聴きに行ったようであるが、上野の鈴本や新宿の末広の高座と異なり、噺家の緊張ぶりが伝わってくるのだそうである。国立演芸場という敷居の高さを感じるという意見であった。

 

麹町番町界隈に勤務する方でJR四ッ谷駅を利用しておられる方は、麹町口を出てスクワールに向かって信号を渡るとすぐに国立劇所の掲示板があるのを見たことがあるであろう。これに時々の国立劇場と演芸場の催しのポスターが掲示される。

現在は12月公演の「花雪恋手鑑・勧進帳」や文楽、落語などの案内が掲示されている。

国立劇場の近くに勤務しまた住んでいるものとしてぜひ注目したい掲示板である。現在「社会人のための歌舞伎入門」として通常公演の一部を格安の料金で見られる。今年は12月10日、17日、21日開かれる。

通常公演はは歌舞伎座より少々割安で、特別席12000円、1等A席9200円、1等B席6100円、2等2500円、3等1500円のところが、この入門歌舞伎は1等5000円、2等2500円、3等1500円で鑑賞できる(しかしチケットはすぐに無くなりますが)。

演目は「花雪恋手鑑」 歌舞伎十八番の内「勧進帳」松本幸四郎、市川染五郎、中村芝雀等の豪華キャストである。

さらに、国立演芸場の落語は2000円ほどで前売りは1800円でかなりお手ごろである。これだけの料金で日本の最高レベルの伝統芸能を楽しめるのはありがたいことである。

「高麗屋」、「成田屋」、「音羽屋」等などと声をかける「大向こう」は歌舞伎の魅力のひとつであり、声をかけるのには勇気がいるが、小さく声を出すのもスリリングでいい。ひとつ上の大人の粋な遊びである。麹町界隈にいる者としてこのチャンスを生かさない手はない。そしていつか「大向こうをうならせる」といわれるような遊び心を身につけたいものである。JR四谷駅前の国立劇場の掲示板

麹町遊歩人は麹町に赴任する前に甲府勤番(甲府支店勤務)であったが、甲府盆地の南にある三珠町は市川團十郎の発祥の地として歌舞伎資料館があり、市川團十郎の初代から12台までの貴重な資料が展示されている。詳細については姉妹サイト「甲府勤番風流日誌」をごらんいただきたい。

因みに市川團十郎と市川新之助改め海老蔵さんは「成田屋」である。その他、松本幸四郎、市川染五郎さんは「高麗屋」、尾上辰之助さんは「音羽屋」、中村吉右衛門さんは「播磨屋」、中村勘九郎さんは「中村屋」、中村橋之助さんは「成駒屋」、板東玉三郎、板東八十助さんは「大和屋」である。

 

最後に国立劇場に関する話題を幾つか紹介する。

まず麹町ウぉーカー69号で紹介した国立劇場の「桜」の話題である。

国立劇場には季節になるといろんな種類の桜が咲く。特に正面玄関に小さいながら左右に広がった細い枝に豊満に純白の花を頂いた桜は「駿河桜」と呼ばれるもので千鳥ヶ淵のソメイヨシノより一足先に開く。この桜は1972年職員が退職の記念に植えたもので、最初は名前がわからなかったが、1983年桜の研究家故林弥栄先生により、花柱(雌じべ)が無毛であるところから、当時文部省三島遺伝子研究所で作られた新種の桜であると同定されたという。国立劇場には他に「神代曙」、「小松乙女」というピンクの桜も見事である。千鳥ヶ淵に桜が咲き始める頃に訪れてほしい場所である。

平成17年国立劇場桜祭り平成17年国立劇場桜祭り
平成4月1日から10日までの間国立劇場の前庭に椅子が置かれ、お茶ののサービスがおこなわれています。1日はまだ桜は咲きそろってはいませんでしたが、期間中には見頃になるでしょう。
桜祭りのピンクの幟と、さすが国立劇場と思わせる大きな白連獅子の幟が建てられてとても華やかです。
庭では日頃目にすることのない職員の方が法被を着てパンフレットを配布しながら国立劇場を紹介しています。そこで頂くチラシを持参すると1日から10日までの間、国立演芸場の上席公演が1000円で見られます(但し、5日6日は貸切)。

次に「国立劇場半券サービス」である。

平成16年11月4日から国立劇場の裏の商店街(半蔵門商店主連)で国立劇場の観覧券の半券でサービスが受けられるという「謹告」が近隣の掲示板にかけられていた。

それには「国立劇場にお越しいただいた皆様に半蔵門商店主連のおもてなしの心を持ってこの街ならではの楽しい観劇の思い出や語らいの時をお過ごしいただきたい・・・。観劇の前においでいただくも良し、堪能の余韻に浸る散策道にも尚良し、ずずずう〜と・・・。ぜひ、お揃いでお越しください。」とある。

チケットは国立劇場、国立演芸場、国立小劇場いずれでも利用いただけるが、入場日から2ヶ月間有効とのことである。

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11月末の某日、H氏が来道したので札幌の某所で「麹町ウぉーカー編集会議」を開催し、その後は前号で紹介した「ホワイトイルミネーション」を堪能して帰京してもらいました。11月末、もうすっかり寒くなった北海道へコート無しで来道したH氏、震えていたのは、あまりのイルミネーションの綺麗さに感激していたのか?それとも寒かったのか?体調は大丈夫だったのでしょうか。

 

さて、レポートした国立劇場半券サービスの案内サイトです。

http://33chiyoda.net/topics/tpc_200411_A02.html

国立劇場も掲載されている「独立行政法人日本芸術文化振興会」のHPです。

http://www.ntj.jac.go.jp/

H氏のHPでは、両神山へ登った様子が掲載されています。今回は、単独登攀だったようです。

http://homer.pro.tok2.com/index.htmlll

 

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http://www.mag2.com/m/0000073086.htm

 

(大)

平成16年12月5日配信


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