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======麹町ウォーカー(麹町遊歩人)NO59=============

映画の名作DVDソフトが随分と安く出ています。

ついつい懐かしいソフトには手が出てしまいます。先週も、ワーナーブラザーズから期間限定

で発売されていた「雨に歌えば」を買ってしまいました。他にも、「風とと

もに去りぬ」「理由なき反抗」など、懐かしいソフトが一杯です。

テレビの映画番組もいいけれど、CMの入らないDVDソフトで観る映画は、秋の夜長にぴった

りです。こんなに安価になったのも、出回ってる海賊版の影響かもしれません。中には、ネット

からダウンロードした物もあり、著作権の問題が随分とクローズアップされてきています。声

優さんまでが、自分の声の著作権を守るために争いを起こしていると耳にしました。

DVDが安くなるのはありがたいのですが、この著作権の問題が絡んでくると複雑な気持ちに

なります。

こんな争いは、当然裁判で・・・・。

以前メルマガ39号で、最高裁を取り上げましたが、今回のH氏のレポートは、麹町の司法研

修所の跡地を巡る話題です。

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司法研修所紀尾井町別館跡地(行政裁判所跡)紀尾井町3-26(司法研修所跡地・行政裁判所跡地)

紀尾井町にある文芸春秋社の隣には~15年9月まで「司法研修所別館」という建物が建って

いた。間口は大して広くはないが奥行きがかなりある土地で、裏手は紀尾

平成16年末に完成した学校法人城西大学東京紀尾井町キャンパス井ビルである。現在は城西大学の施設が出来るとのことで工事中である。
(平成16年年末に学校法人城西大学東京紀尾井町キャンパスが完成した。写真は平成16年2月撮影)。

司法研修所とは、裁判官の他、裁判所職員の研究及び修養並びに司法修

習生の修習に関する事務を取り扱う最高裁判所に置かれた施設である。

司法修習生は司法試験に合格した者が最高裁から任命され1年半研修

(以前は2年であった)を行なった後、2回試験という試験に合格すると裁判

官・検事・弁護士になることができる法曹資格を取得することができる。

現在は司法試験合格者の増加に伴い埼玉県和光市に移されたが、その前は台東区池之端

(湯島と言ったほうが分かりやすい)の旧三菱財閥旧岩崎邸の敷地の一部にあった。

ところが昭和40年代初頭までは紀尾井町のこの施設で研修が行なわれていたという。

司法研修制度は戦後昭和22年に第1期生の採用が始まり、第1期生のみは三田で研修を

受けたとのことであるが昭和23年採用の2期生から24期生まではこの研修所で修習を受けたという。

追記:配信号では「・・20期までは・・(あまり正確ではないが)。」と書いたが、12月8日札幌市在住の弁護士Mr.Wから「・・大変に懐かしく拝読しました。司法試験に合格し、司法研修所への採用を紀尾井町の研修所で受けました。私は25期ですが、紀尾井町では24期が前期まで研修を受け、湯島は24期の後期研修から使われたと記憶しています。25期は前期から湯島研修所でした。」というメールをいただいた。正確を期するために、ここに紹介させていただくとともに、Mr.Wに心から感謝申し上げます。)。

第1期生は146名採用されて最終的に134名が終了したようであるが、現在では司法制度改

革に因り合格者が増やされ平成14年にはついに1000名を超えた。

そして来年からは更なる法曹制度改革の大きな柱として法科大学院が開校されようとしてい

る。その意味からも紀尾井町の壊されたこの小さな研修所は法曹制度制度改革を象徴している

ようである。

ところがこの司法研修所別館は紀尾井町や平河町の地元の人々には「行政裁判

所跡」という呼び名がとおりがいいのだという。

大日本帝国憲法下にあって、裁判制度は幾つかに分かれていた。

そのひとつが軍法会議でありもう一つが行政裁判所である。

帝国憲法第61条 は行政裁判所を「行政官庁ノ違法処分ニ由リ権利ヲ傷害セラレタリトスルノ

訴訟ニシテ別ニ法律ヲ以テ定メタル行政裁判所ノ裁判ニ属スヘキモノハ司法裁判所ニ於テ受

理スルノ限ニ在ラス 」と定めて行政官庁に関わる事件は一般の裁判所が受理できないこと

になっていた。

その裁判を行なうための唯一の行政裁判所がここにあったのである。

学生時代の記憶が正しければ行政裁判所の裁判官は「評定官」と呼ばれていたと記憶してい

る。

平河町に住む方の話によると行政裁判所の廷吏は黒っぽい長い半纏を着ていて両胸に「行

政裁判所」、背中には大きく「行」と書かれていたという。

さらに戦前は裁判所も長閑なもので、裁判所の庭でキャッチボールをして遊んでも咎められ

なかったとのことである。

 

しかし、この司法研修所の敷地に関して言えば、紀尾井町や平河町に昔から住んでおられる

人たちには何かと評判がよくないようである。

もともと司法研修所の敷地は現在のように文芸春秋社隣の袋小路のような土地ではなく現在

の紀尾井ビルの辺りまで広がる土地であった。今の紀尾井ビルの敷地は、旧司法研修所の

裏の土手だったのである。そこは民間活力活用のための第一弾として昭和60年8月8日に

競争入札に因り大京観光に払い下げられた土地でもあった。紀尾井ビル

その値段が当時でも飛びぬけて高額で、土地価格の高騰・バブル経済の引き金になった事案とされているからである。

この高値落札と土地高騰に関する問題は昭和60年11月21日(木曜日)「第103回国会 物価問題等に関する特別委員会」でも取り上げられ、政府は

「・・御案内のとおり先般8月8日に一般競争入札にかけたところでございます。処分面積は約6,800uでございまして、この入札の結果、大京観光株式会社が総額575億円で落札いたしております。ちなみに御参考までに申し上げますと、一平米当たりの単価で約850万円という数字になっております。これは坪価格でおおむね28百万円。これは紀尾井町ですけれども、この近隣の地価公示価格と比較してもかなりの高額である・・。」
と回答している。

そしてそのあと日本中がバブル経済に踊らされ、バブル崩壊後も多くの企業や金融機関がその清算が出来ずに四苦八苦している端緒はここにあったのかと思うと、いささか複雑な思いがする。

この土地に関する明治から現在の紀尾井ビルにいたるまでの詳しい経緯に関しては「東京の地霊(ゲニウス・ロキGenius・Loci)鈴木博之、文芸春秋」に詳しく書かれている。

行政裁判所に関しては平河町にお住まいの清瀬信次郎先生、紀尾井ビルに関しては近所に住む山本様に教えていただいて調べたものである。この場を借りてお礼申し上げます。

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毎週月曜日の午後9時からフジテレビで放映している、「ビギナー」というテレビドラマをご存じ

でしょうか?(以前この時間のドラマは、ゲツクと言って確か「金妻・・・」とかの注目を浴びた時

間帯であった)内容はいろいろな事件を、出演している若い修習生(一部中年の男性も居ま

す)が、議論しながら解明していくという毎週完結のストーリーです。最近は、バレーボールの

ワールドカップの後になるので、始まる時間が遅くなっていますが・・・・・。

こんなに若くて綺麗な修習生が、将来弁護士や裁判官・検事になると思うと大歓迎です。仕事

の関係で、裁判所へ行くことがあるのですが、弁護士で綺麗な方にはお会いしたことはありま

すが、今まで裁判官や検事でお目にかかったことはありません。あくまでも個人的見解です。

ドラマで、司法研修所とされているところは、東洋学園大学。大きなモニターのある部屋は7

号館だそうです。他にも、ロケ地として、東洋女子短期大学流山キャンパス(千葉県流山市鰭

ヶ崎)旧横浜地方裁判所刑事庁舎(神奈川県横浜市中区日本大通)が使われていますが、

現在の埼玉県和光市の司法研修所は使われていないとのことでした。

さて、H氏のHPは、バラの花の写真を綺麗に編集し直したようです。

http://homer.pro.tok2.com/index.htm

 

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http://www.mag2.com/m/0000073086.htm

(大)

 

2003年11月24日配信

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