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========麹町ウぉーカー(麹町遊歩人)No.113==========

いつもだと、好天が続くのですが、今年は不安定な天候が続いている北海道より麹町ウぉーカー113号をお届けします。

先日、ちょっとした晴れ間に友人とドライブにでかけました。天気がいいので海岸線をと言うことで、札幌から日本海側を北上することに・・・。その途中同乗者が、「増毛」とかいてある道路標識を見て、次に私の薄くなった頭部に目をやりながら「ゾウモウ!?」と大きな声を出したのでビックリ。改めて、標識を読み返してみると・・・・・知らない人はゾウモウと読みますよね。「マシケ」と読みます。北海道増毛郡増毛町という地名です。

ここは、東京四谷にあるレストラン「オテル・ド・ミクニ」のオーナー、三国シェフの故郷です。このレストランのワインリストの中に日本酒ですが「三九二」という吟醸酒が載っているそうです。この日本酒の蔵元「国稀酒造」が増毛にあるのです。札幌から車で2時間ほどかかる場所で、ちょっと距離を感じるドライブになります。日本海を望む、厳しい地にあるにもかかわらず三国シェフで有名になったせいか、「国稀酒造」の休日は観光客でごったがえしています。酒蔵の中を従業員の方が案内してくれた後、試飲ができるのですが、大吟醸がとてもライトで、す〜っと喉を通り過ぎて何杯でもいけちゃいます。でも、昼の試飲は酔いがいっぺんにやってきますね。この国稀酒造は、北海道では珍しく創業100年を超える老舗です。

詳しくは、このHPをご覧ください。

http://www.kunimare.co.jp/

そして私のお勧めは、国稀酒造の隣にある漬物屋です。美味しいですよ。        

 

さて、『東京ど真ん中物語 ひと・まち・歴史』という本をご存知ですか?文藝春秋から出版されていて、麹町地区コミュニティ活性化委員会編による本です。麹町ウォーカーのバックナンバーと比較しながら読むと、又一層興味深いものになりますよ。この本にも書かれている「山王祭」、由緒ある日枝神社の宮司の方に取材しており、興味深い内容でした。一方、麹町に勤めるH氏は、「山王祭」に自ら参加し、神輿を担いで麹町を練り歩きました。今回は、その時のレポートです。                        

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支給された祭の装備

今年は日枝神社の二年に一度の例大祭にあたり、平成18年6月7日から16日までの間に日枝神社例祭並びに神幸祭及びその附祭を「山王まつり」と称し、様々な行事が行われた。

2年前、山王まつりがあり「神幸祭(じんこうさい)」について紹介したが、今回は縁あって平成18年6月11日の大神輿の町内渡御(とぎょ)に参加することができた。初めてみこしを担ぐことになったのでその様子を紹介しよう。

11日の朝、指定の集会場に集まり、そこで麹町5丁目町会の「麹町五」と染めこまれ「半纏(はんてん)」と「まつり足袋」、そして「白い半股引(はんたこ)」といわれる祭りの装備を渡された。

半纏と足袋はわかるがこの半股引(はんたこ)と呼ばれるものは始めて見る不思議なものであった。

半股引(はんたこ)

この半股引とは祭りのときに着る膝の上までの股引(ももひき)でなかなか表現しにくい。白い生地で作られた股引のお尻の割れた部分を後ろにして両足を入れて履く。そして後ろの部分を重ねて整えて、両方に付けられている紐を腰に回して重ねた内側をくぐらせて横でしっかり結んで着用する。前と尻の部分で重ねてあるため、大きく割れるのが特徴である。

スポーツ用のパンツと異なり、ブカブカしておらず、股間に密着しており、体が引き締まる優れものである。

この日は朝からあいにく激しい雨が降っており、どうなることかと思っていたが、祭りに雨はあんまり関係ないらしく、続々と祭り姿の人が麹町4丁目の東京三菱UFJ銀行前のお神酒所に集まった。多くの人たちは祭り姿の上にビニールの合羽を着ている。しかし、担ぎ手の我々には合羽は似合わない。

10時30分になり麹西連(麹町西部町会連合 麹町四・五・六丁目、紀尾井町各町会)役員の挨神輿(前から)拶があり、神輿の渡御ルートの説明があった。

神輿の渡御は麹町4丁目交差点を出発して、四ッ谷駅方面に進み、最初の信号機(カレーの王様)でUターンして、麹町4丁目交差点に戻り、右折してプリンス通りに入り、赤坂プリンスホテル、そして、清水谷から紀尾井ビルの前から麹町大通りに出て、弘済会館前でお昼になる。そして四谷駅方面に進み、上智大学からイグナチオ教会の角を左折して土手沿いに進み、料亭福田屋さんで御接待を受け、そしてホテルニューオオタニで再度御接待を受けて帰ってくるというルートであった。

麹町4丁目交差点の車道に置かれている神輿はそれほど大きくはないがとても立派なものある。神様がお乗りになる神輿の前には「神の依り代」とされる紙で出来た幣(ぬさ)が置かれて、屋根には金色の鳳凰が舞い、その下の屋根に「麹西連」と書かれた「駒札」があり、渦巻きの御神紋が配され、そして屋根の四方に金色の竜が睨みをきかす。胴の部分の四面は詳細な組木と彫が施され、それぞれ鳥居が作られその鳥居に竜が絡むように詳細に彫られている。そして、神輿全体をギザギザの紙垂(しで)をぶら下げた注連縄(しめなわ)が巻かれ、神輿の四隅と屋根を鈴と紐房の付いた朱色の飾り紐で飾る。

マジマジト神輿を見ると神輿は第一級の工芸品であることを実感できる。

神輿(後ろから)

この繊細な工芸品に縦に4本横に2本の横棒がつけられている。

「担ぎ手の方、神輿を担いでください。」との声に促されて、事前に先輩から「初心者は外の棒を担ぐように」というアドバイスに従って左側の中央を担ぐ。ところが神輿はとても重い。そして「ヨイシャ」等という掛け声とともに担ぎ始めると肩がとても痛い。

痛いというより太い担ぎ棒が肩を叩いているといった感じである。担ぎ始めてリズムと勘をつかむまでは拷問のような苦しみであった。

そのうちに肩を担ぎ棒から離さずに、神輿の動きに合わせて身体を上下するということが分かり始めるととても楽しい神輿担ぎになる。

途中で苦しくなって担ぎ棒から離れると周りにいる担ぎ手が自然に入れ替わってくれる。

神輿の町内御渡最初に交代した人が若い外国人のハンサムな青年で、彼もリズムをつかむまで担ぎ棒が肩に当たる痛さを経験した祭りの共有感から、すぐに仲良くなりそれから行動を共にし、一緒に飲み食いした。

プリンス通りに入り文芸春秋社、ルポール麹町を過ぎ、全国都市会館の前から左折して紀尾井町の狭い路地に入り一回りしてプリンス通りに戻ってきた。この路地の間には紀尾井町の大きなお屋敷があるため、町内渡御するのらしい。大きな住宅から人々が顔を出して挨拶している。普段は祭りとは無関係なようなたたずまいの高級住宅街の住民もこの祭りを楽しみにしているように感じられる。

赤坂プリンスホテルの前の諏訪坂(達磨坂)を下り、途中にある有名な「ロイヤルプール」入り口からプリンスホテルに入る。ここは狭い上に滑りやすいため担ぐのをやめて移動する。

そしてプールの脇で再度担ぎ始め赤坂プリンスホテルの正面玄関で神輿を置く。そしてロイヤルプールの脇の会場で御接待を受ける。ビールやウーロン茶などの飲み物にお握り、漬物、つまみなど沢山準備されている。

そこでは赤坂プリンスホテルの宴会場のスタッフが繊細なサービスをする。日本で指折りのホテルが地元の祭りに対する住民との共存のために行なうサービスに感謝した。御接待というものはこの様なものかと感心することしきりであった。

そして、甚句の後、赤坂プリンスホテル総支配人による三本締めが行なわれ、清水通を麹町4丁目交差点角の「夏の思い出」も祭装束

担ぎ、紀尾井坂と清水谷通りが交差する「ブルガリ東京紀尾井町本店」の前から紀尾井ビルのあ清水谷坂を登り、麹町大通りに出てオリコ本社ビルの前(麹町5丁目御神酒所)の弘済会館前で神輿を下ろし、お昼になった。麹町大通の歩道に設置されている子供のブロンズ像も花笠をかぶり祭の半纏が着せられた山王祭バージョンになっていた。

準備されたおにぎりはあっという間になくなってしまった。午後からは雨も上がり、1時から後半の渡御が麹町6丁目から上智大学、イグナチオ教会、福田屋、ホテルニューオオタニと行なわれた。

この神輿担ぎは会社の同僚から、参加するメンバーが足りないから出てくれという電話をもらって参加したものであったが、初めての神輿を担いでとても充実した楽しい一時を過ごすことができた。一心に心を合わせて神輿を担ぐことは肩が痛くて苦しいことではあるが、日頃忘れている人々との触れ合いや一体感が心地よい。何よりストレスがいっぺんい吹き飛んでしまう。

祭の前には町内の掲示板に担ぎ手を募集してるので、次の祭にはぜひ参加されることをお勧めする。これだけ有名な祭に参加できることは何よりの経験である。

しかしそれから数日、肩と腰が痛かったことは言わずもがなであるが、最後に付記しておく。

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麹町ウォーカーの編集担当として恥ずかしいのですが、「山王祭」の神輿をみたことも無く、また神輿も知りません。浅草の三社神輿や深川八幡宮の神輿は知っているのですが・・・・・・。

山王神輿の迫力は、H氏のHPでご覧ください。

http://homer.pro.tok2.com/

 

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http://www.mag2.com/m/0000073086.htm

(大)

平成18年6月25 日配信


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