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旧会津本郷町、旧会津高田町、旧新鶴村、旧北会津村

会津高田町・会津本郷町・新鶴村は、平成17年10月1日に合併して「会津美里町」になりました。
北会津村は平成16年11月1日合併により会津若松市に編入となりました。

旧会津本郷町(会津高田町・会津本郷町・新鶴村は、平成17年10月1日に合併して「会津美里町」になりました)

会津本郷は会津盆地の南端に位置する本郷焼で有名な町である。私たち夫婦はこの町で会津の焼き物を覚えた。

本郷焼きは陶器と磁器が同時に生産される国内でも珍しい場所であり、17以上の窯元がありそれぞれの窯元の特徴と個性を競い合っている。もともと鶴ヶ城の瓦を焼いたのが始まりといわれる。大きな窯元は「流文焼」で工場も見学でき大きなショールームもある。もともとは碍子(ガイシ)を作っていたらしい。

宗像窯」は伝統と風格を持つ窯元である。会津本郷で唯一登り窯を持っている。釉薬が溶け易く器の底に釉薬がたまるところに特徴がある。ただそれなりの値段がする。

酔月窯」は青を基調とする素朴なブドウの絵柄が特徴的である。絵柄がシンプルであるため洋風の利用にもマッチするお洒落な陶器で、お気に入りの小さな窯元である。

この本郷焼は8月の第1日曜日に「瀬戸市」が開かれる。朝4時に始まり正午まで町の目抜き通りの両脇に当地の窯元に限らず県内外の業者も集まる大きな市である。「かってがんしょ(買っていってください)。」という言葉が飛び交う。この日ばかりは普通の二割は安く買うことができ、交渉しだいでは値段があってないような楽しい買い物ができる。日ごろから狙いをつけておいてこの日に買う人が多い。妻の友人は前年買ったお気に入りの茶碗のひとつが割れたのも持っていき取り替えさせてしまった。このようなことも笑いながらできてしまう楽しいお祭りである。朝早く出かけることと、遠慮せず値切ることが秘訣である。

通りの途中にある製麺工場があり、この日ばかりはラーメン屋になり美味しいラーメンを食べさせてくれる。

旧会津高田町(会津高田町・会津本郷町・新鶴村は、平成17年10月1日に合併して「会津美里町」になりました)

会津高田町は、伊佐須見(イサスミ)神社と高田梅で有名である。

伊佐須見神社は1400年の歴史を持つ会津の総鎮守でありその境内は手つかずの古木が生い茂り、外の世界とはまったく異なる荘厳な鎮守の森に囲まれている。私達は夕涼みのためにここを訪れた。そこはうす暗がりの中に石の灯篭の明かりが灯り外の世界とはまったく異なる不思議な世界があった。本殿の前には「会津五桜」のひとつ「薄墨桜」がある。

伊佐須見神社の裏には文殊様で有名な清流寺がある。受験シーズンには知恵の仏様である文殊様のご利益を願って多くの子供達が訪れている。

伊佐須見神社の前にはアヤメ園があり10万株のアヤメが植えられており6月中旬から7月の初めにかけてアヤメ祭りがある。

高田梅は日本一大きい梅とも言われ大粒の梅である。果肉が厚く漬けられた梅がいつまでもカリカリと美味しい。従って値段もそれなりする.

会津高田の山沿いには松沢荘と言う鉱泉がある。新旧両館があり新館は会津盆地の南西の高台から会津盆地を一望できる素晴らしい眺めが自慢である。旧館は少し山に入って所にあり、鄙びた湯治旅館の風情である。一度訪ねたがそのときは風呂が混浴になっていた。ただお客がいなかったため家族風呂として楽しむことができた。

この旅館の裏山で涌き出る清水はなかなか美味しい水である。初めてここを訪ねたとき、その日に私が博士山から水を汲んできたという話をするとここのおばさんが「博士山の水よりこっちがもっと美味しい」と自慢しながら大きなペットボトルに2本汲んで持たせてくれた。

会津高田の街から北西に少し入った山際に会津5桜の一つ「虎の尾桜」」で有名な「法用寺」がある。本堂前の虎の尾桜はそれほど大きなものではなく樹勢も強くない。花はソメイヨシノほど白くなくどちらかというと薄墨を加えた控えめな白といえる。ただ花びらの中を覗き込むとそのめしべの先が少しふくらみ真中が割れている。見ようによっては虎の尾のように見える。

この本堂も立派なものであるがその脇に建っている三重塔が見事である。本堂の素朴さに比べてこの塔の優雅さは異質である。確かに回りの板は風雪を経て傷んではいるが京都や奈良のものにも劣らないだろう。塔の一段目に立つとその正面の木々が少しだけ開けて会津の盆地が見渡せる。白い桜の花に埋まるこの三重塔の見事さ優雅さはこの会津で他に比すべきものはないであろう。会津においてこれ以外の三重塔は見たことがない。

ところでこの町にも会津のどの町にもあるように町の運営する温泉施設がある。「あやめ荘」という伊佐須見神社の川向にある温泉である。鉄分を多く含んだ温泉で少し赤茶けていて、入った後、湯冷めしない素朴な温泉である。会津に住んでいる間我が家は月に1回は通ったであろう。それも子供が伸び盛りだったため、少し身長が伸びたなという話になると身長を測るためにこの温泉にやってきていた。長男が中学生になり見る見る身長が伸びた。長男が妻の身長を越え私の目線を越えるときになると、ますますその会話は頻繁になり「身長を測りに行くぞ」というとこの温泉を意味することになっていた。我が家の子供達の成長とともにある温泉だったのである。身長計に載ると体重と身長が自動的に計測された。

ちなみにどの温泉にも体重計はあるがそれはどこも更衣室の中にある。ところがここの温泉の体重計と身長計は無料休憩所にある。それゆえに子供の成長を親子して確認し共感することができる。公共施設の備品というのは、このような配慮によってより有意義なものとなると考えるがいかがなものか。

会津高田町永井野「長福寺」

この町に長福寺というお寺がある。妻が電力会社の主催する料理教室で住職の奥様と知り合いになった。曹洞宗のお寺だと聞き尋ねてみると住職は私と妻の母校駒澤大学の後輩であった。それから私達がお寺を訪ねたり、我家を訪ねてくれたり、親しくお付き合いをさせてもらった。住職ご夫妻といっても二人ともまだ20代の若い二人である。もともと福島県の原町市の出身でこの寺の住職が高齢で跡取がいなかったためやってきた。始めてきたときにはまだこの寺の住職になるつもりはなかったらしいのだが「Welcome to 長福寺 !」というアーチまであったらしい。後を継いでくれる住職が訪ねてくれること自体ありがたい話なのに、婚約者まで一緒にきてくれる。檀家としては住職の嫁とりの心配も要らないためみすみす逃すことはできないとしての大歓迎だったという。そこでいっとき前住職との妙な同居生活が始まり、若い二人の苦悩の生活が始まったのである。それまでお寺とまったく縁のなかった奥様にとって住職婦人としての生活は並大抵の苦労ではなかったという。彼女の苦労に比して住職は誠に純でキュートな方で飄々としておられる。若い世代の宗教家としてこの地で頑張ってほしい。

新鶴村(会津高田町・会津本郷町・新鶴村は、平成17年10月1日に合併して「会津美里町」になりました)

この村は会津平野の西の山際にある小さな村である。ここには会津三観音のひとつである中田観音がある。

観音堂は二層の壮大な建物で、本尊に祈願すれば苦しまずに往生することができるという「ころり観音」のひとつに数えられている。

中田観音は野口英世博士の母親シカの信心した観音様である。アメリカにいる博士宛に書いた手紙の中にもシカが中田観音に祈願している様子が書かれている。博士が帰国の折この観音様を母シカとともにお参りにきている様子が猪苗代にある記念館の写真が残っている。

この新鶴村にも温泉がある。会津盆地の西の山すその高台にある立派な施設であり、夜ここを訪れると前方に会津若松の町明かりをきれいに見ることができる。ただこの施設はお風呂の施設が立派な割には蛇口の数が少なく洗い場にながい列ができるのが残念である。

旧北会津村(2004年11月1日合併により会津若松市に編入となる。)

北会津村は会津盆地の中央を流れる大川(阿賀川)にそって南北に位置するまったく山のない豊かな農業の村である。

 この村はホタルの村を標榜しており、ホタル保護条例を制定している。許可なく採集すると罰金の制裁がある。村の中央ほどにホタル公園があり源氏ボタルが幻想的な光景を見せてくれる。その公園から少し北にトゲウオの生息する沼がある。道路の脇で見過ごしてしまいそうな場所である。

この村は豊かな農業の村であるという紹介をした。会津で生活して嬉しいことの一つが新鮮な野菜が手に入ることである。飯盛山の近くに住んでいた我が家に時折朝、軽トラックに取り立ての野菜を積んで売りにきてくれるのである。取れたての野菜が甘く美味しいものであることを会津で実感した。

我が家はこの村から売りにきてくれる秋山農園の野菜にお世話になった。最初は単に売り手と買い手の関係だったのであるがそのうちに妻が近所の友人達と共に仲良くなり我が家で彼女の趣味としているトールペイントを描いたり、お茶を楽しむ親しい関係になった。不在のときは玄関先に置いてあるツルで編んだ大きな野菜篭に適当に見繕って入れておいてくれた。美味しい上に安く又何より作っている人を信頼できるという消費者と生産者との関係は何よりであった。

ところでこのツルで編んだ野菜篭であるが私たちのアウトドアでの遊びの一つであり、手ごろなツルを探して妻が編んでいた。ナイフ一つで遊べる我が家らしい遊びである。かなり太いツルをつかった直径が50センチ程もある篭である。ところがこれが思わぬ評判を呼び近所の友人達に5個ほど作って差し上げた。当然、秋山農園にも1個このツル篭があるはずである。



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