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訶梨勒(かりろく)

訶梨勒とはインド原産の植物。古来、訶梨勒の実(訶子)が諸病を治す薬として重宝された。753年坊津町秋目浦に上陸した鑑真は功名な僧であるとともに薬種を扱う名医でもあった。奈良の正倉院には、その当時の薬の一部が、いまも大切に保管されている。その一つが訶梨勒と言われる薬種。しかし当時権勢を誇った藤原道長がほとんどを取ってしまい正倉院には1個しか残っていないという。
その訶梨勒をわが国最古の医学書医心方を現代語訳した槇佐知子氏の紹介で平成元年に当時国内に3本しかなかった訶梨勒の苗が国立筑波薬用植物栽培試験場の佐竹元吉場長から坊津に贈られた木が30年の歳月を経て坊津にひっそりと保管されている。
当時45センチほどだった苗木も5mほどに成長しているが未だ花をつけない。ながいこと保護公開方法が論議されずにいたが令和3年7月14日に保護柵と案内板が設置された。市役所に問い合わせると「保護するために囲いを設置したが現時点で積極的に公開するものではないのでそこの所をよろしく配慮願いたい。」と言われた。
この木の歴史的、文化的、観光的重要性を認識について地域・行政としての論議コンセンサスができていないため、当面、貴重な慎重な対応が求められる。
しかしとても貴重なものであり地域の理解と協力を得た保護と公開の方法が検討されなければならない。

訶梨勒の木
訶梨勒の幹
訶梨勒の葉
訶梨勒の実
秋目の鑑真記念館にある槇佐知子三が寄贈した薬種にサンプル

左端に訶梨勒が入っている

槇 佐知子(まき さちこ、1933年 - )は、古典医学研究家、作家。日本医史学会会員。静岡県生まれ。本名・杉山多加子。1974年より、日本最古の医学全書『医心方』(丹波康頼)の研究と初の現代語訳に取り組む。1993年から『医心方全訳精解』全30巻を逐次刊行し2012年完結、パピルス賞(関科学技術振興記念財団)を受賞。医療歴史学科を持つ順天堂大学が1000万円の寄付をして出版にこぎつけたという。

医心方は一時その一部が取り上げられ性の秘儀書という誤解を受けたが、わが国最古の医学全集であり現上皇、上皇后さまに医心方の講義を行い文藝春秋で「天皇皇后も愛読される医心方のすごい処方箋」とある。

平成4年12月25日に槇佐知子氏から贈られた千家十職袋物氏土田友湖氏制作の「足利義政公1806年訶梨勒」

魔除けとしてその実を袋に入れてお祝いごとやお茶席の飾り、邪気を払う具として柱や壁に吊り下げて芳香をお楽しむものとなった
 

お釈迦様の時代にも訶子は万能薬とされていたので、お釈迦様が涅槃に入られる直前に、天上から母親の摩耶夫人が阿那律尊者(あなりつそんじゃ)に導かれて現れ、より長く生きて欲しいという願いを込めて、横たわるお釈迦様に向けて訶梨勒の袋を投げたそうです。

しかし訶梨勒は沙羅双樹の枝に引っかかりお釈迦様に届くことはありませんでした。

大抵、お釈迦様が入滅した時に様子を描いた涅槃図にお釈迦様の左側の沙羅双樹の枝に訶梨勒と推測される袋が掛かっている様子が描かれています。

このことから薬を与えることを「投薬」というのだという。

2021年(令和3年)8月
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