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道の駅「みょうぎ」の上の駐車場に車を止め、身支度を整えて鳥居をくぐって妙義神社に登っていく。
妙義神社の山門はとても立派なもので、ここでトイレを借りて、登山の安全を祈願しながら参拝して本殿脇の登山口に着く。杉の大木のはえた鬱蒼とした登山口には石灯篭があり、石の階段登山道を登っていく。のっけからとても急な登りがつづく。数日来の雨で登山道は濡れており、台風13号が日本に近づき秋雨前線を刺激してこの日も天気は悪い。すぐに沢を渡りさらに高度を上げていくと沢の岩場に架けられた最初の鎖場がある。これは雨が降って沢に水がある場合には使う必要があるだろうが特に鎖を使わなくても登れる。
そして正面に大きな岩の崖が見えてきて、そこに落ちる滝の音が聞こえる場所(展望場所がある)を過ぎるとすぐに鎖場がある。とても長い鎖が連なるがそれほど急な場所ではなく、容易に登ることができる。
この鎖場を登りきると「大の字」と奥の院との分岐点にでる。分岐点から入るとすぐに「大の字」岩がある。鎖を頼りに急な岩を登ると狭い岩の上に展望が開け正面に鉄製の縦横5メートルの「大の字」がある。
大の字は「妙義大権現」の大の字でここに妙義神社があるという印として江戸時代にできたものだという。
岩が雨で濡れているため、妻をザイルで確保しながら下ろす。ザイルで確保すると安心しておりられる。
そして15分程樹林の中を登ると大きな崖のゴルジュの下部に出る。「関東ふれあいの道」の第一見晴らしにおりる分岐点である「辻」である。
辻から見上げる巨大な岩の壁は曇っていてその全容を望むことができない。辻の右側の急な岩場には奥の院に向う鎖と階段が切られており濡れて滑りやすいが登り易い。そして再度ゴルジュの大きな岩場の下に出て再び右の岩場を登ると正面の杉木立の中に奥の院の脇の鎖場が見えてくる。
奥の院は狭いゴルジュの上に巨石が挟まった場所で、正面に梯子が付けられた奥は雨のためとても暗く中を覗くことができない。霧の中の奥の院の荘厳さは格別であった。奥の院で登山の安全を祈願して、奥の院の右手には「これより先は上級者コース」の標識があり、名 物の「3連30mの垂直な鎖場」に取り付く。登山口のあるルートマップにもこの鎖場は「危険」として表示してあった(この妙義山の鎖場はここだけが危険なわけではなく、案内にない幾多の危険な鎖場がありそれもかなりの難度を持っていることを今回の登山で実感した。)。
垂直といわれるが実際には垂直ではなく手がかり、足がかりもあり岩が乾燥した状態であれば鎖に頼らずとも登れるかもしれない。しかし、この日は雨で岩場が濡れていたため鎖に頼りながら登る。1本10m程の鎖が3連になって垂れ下がっている。高度を上げるごとに恐怖心が出てくるためにしっかりと目の前にある岩場と手がかり、足がかりを確認しながら三点確保の基本を忠実に守りながら慎重に登る。しかし、ここでかなり鎖に頼りすぎて腕力を使ってしまった。(ガイドブックでは「ここが怖いと思うようなら引き返すようにとある。」というアドバイスがある。)
3連の鎖を登りきったトップから左に3〜4mトラバースするがこれがなかなか緊張する。
鎖場を過ぎて稜線の見晴らしまでの間にももう1箇所鎖場がある。
見晴らしに出て晴れていれば展望のいい稜線歩きなのであろうが霧のため松井田町がかすかに望める程度である。
見晴らしを出て5分ほど歩くと「ビビリ岩」と書かれた岩に出る。大きな岩の背後は切れ落ちており、岩の斜面に鎖が3段に付けられ,まず最初の2m弱の鎖で岩に登り、次の鎖で斜めに岩を登り、最後の鎖でビビリ岩の上に登るというものである。
地図によると、すぐに白雲山山頂(1104m)の標識があるはずであるが、見過ごしてしまい「玉石」と書かれた標識に出た。
玉石に立ち寄ってルートに戻って、玉石の裏面に下る。そしてもう一度登り返して、鎖の付いた切り立った岩場にでる。展望は利かないが、その岩の西面は10m程切れ落ちておりそこに鎖がついている。この急斜面がルートのようである。しかし、手がかり足がかりはしっかりした場所である。まず最初の鎖で右にトラバースして、鎖を頼りに垂直に降りる。比較的容易に降りることができた。
そして、5分程で「御岳三社大神」と刻まれた碑が立っている大のぞきの頂に出る。展望が利かないためルートを進むとすぐに10m程の急な鎖場が出 てくる。岩場が濡れているため、妻にスリングとカナビラをセットしてザイルで確保しながら降ろす。
そして最難関の「スベリ台状の30メートルの鎖場」に出る。かなりの斜度があり、3連鎖の一番下のキレットまで見ることが出来ない。ここでも妻をザイルで確保しながら下まで降ろす。しかし、ザイルの長さが足りないため3番目の鎖まで降ろして、カナビラを鎖に確保してザイルを回収する。そして自らも最後の鎖までたどり着いたが腕力をかなり使ってしまった。妻が最後の鎖を下まで降りたが、足がかりが少なく滑りやすいというアドバイス。最後の鎖は上の2本に比べてとても長く感じられる。そして下り始めて半分ほど下ったところで足を滑らせてしまい、手の力だけで鎖にしがみつき、最後は妻が私の足を確保して止めてくれた。危ないところであった。
そこから少し登り返し、そして山の北面の樹林お腹に一旦下り、上り返すと天狗岳の絶壁が見える岩場に出る。これが濡れていてなかなか越えにくい岩である。そして、しばらく尾根を登ると天狗だけの山頂に出る。狭い岩の上であるがここで休憩を取り、タルワキ沢のコルに向って下り始める。下り始めて10分ほどで人の顔をした人面岩があり、それから5分ほど下ると天狗岳と相馬岳との最鞍部「タルワキ沢のコル」に出る。
我々はここからタルワキ沢を下って「関東ふれあいの道」の中間道に向う。この下山道は天狗岳と相馬岳の絶壁のゴルジュを下っていく。とても急で沢の道なき道を下っていくという感じである。そして天狗岳の崖下に2ヶ所ここで遭難したプレートが岩壁に埋め込んであった。
これがなかなか長い下りで、ルートタイム40分とあったが、55分ほどもかかってしまった。
関東ふれあいの道(中間道)に出て、妙義神社に向かって歩く。この道は比較的よく整備された道で途中、大黒の滝や第2見晴らし第一見晴らしなどがあり、そこから金鳥山の美しい景観が楽しめる。合流地点から約2キロほどで妙義神社の本殿の脇に出る。
この本殿は「上毛の日光」と呼ばれるほどの見事なもので、無事下山できたことを感謝して、駐車場に戻った。妙義神社本殿は一見の価値はあるもの で、一昨年のNHK大河ドラマ「義経」の牛若丸が幼年時代をすごす鞍馬山の設定はここで撮影されたという。
道の駅に降りると、朝は望めなかった白雲山の全貌が素晴らしい姿を現していた。
妙義山は半端ではない。鎖場、岩場はとてもスリリングで楽しい。心してかかるべし。 |