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麹町ウぉーカー版「トロイ戦争(概略版)」

神々の住まうオリンポスでは英雄ペレウスと女神ティティスの結婚式が執り行われていた。

そこに1個の黄金のリンゴが転がってきた。そのリンゴには「最も美しい女神に」と書かれていた。それはこの結婚式に招待されなかった諍(いさか)の女神「エリス」の仕業だった。

それを見たゼウスの妻で神々の女王「ヘラ」と知恵と戦いの女神「アテナ」、美の女神「アフロディーテ」の3人の女神がそれは自分のものだと主張して譲らなかった。

そこで神々の中の王、全能の神「ゼウス」にそれが誰のものか裁定を求めた。

ところがゼウスはそれを自分では裁定しようとはせず、トロイの王子パリスに裁定を求めるように指示した。

そこで3人の女神はオリンポスから飛び立ちエーゲ海から黒海へ入り込む海峡の入り口にあるアジアの小国「トロイ」に舞い降りた。

女神たちはパリスに自分を選ぶように持ち掛けいろんな条件を提示した。

ヘラは「地上の支配権」を約束し、アテナは「全ての戦いでの勝利」を約束し、アフロディーテは「この世で一番美しい妻」を与えることを約束した。

そこでパリスはアフロディーテに黄金のリンゴを渡した。

それからひととき平安な時が過ぎた後、アフロディーテはパリスとの約束を果たすためにパリスをエーゲ海を渡りギリシャのスパルタに親善使節として派遣すよう仕向けた。

スパルタの王「メネナオス」と后「ヘレン」はパリスを歓待した。パリスはヘレンのこの世のものと思えない美しさに驚き、一目ぼれする。ヘレンもアフロディーテの息子エロスの射た黄金の矢を受けてパリスに胸騒ぎを覚える。

ところがスパルタ王メネラオスは親戚の葬儀の為クレタ島に行く用ができ、ヘレンを置いて旅立つ。この間にアフロディーテの約束通り、ここでパリスはこの世で一番美しい女性ヘレンを誘惑しスパルタの財宝を船に積み込みトロイへと向かった。

スパルタの后である絶世の美女ヘレンを伴ったパリスの凱旋にトロイの人々は驚き論議になる。一番反対したのはトロイ王「プリアモス」の長男でパリスの兄「ヘクトール」であった。ヘクトールは「ギリシャへ返すのがいい」と主張したが、王の裁定でヘレンをパリスの妻として迎えることになったとき、彼は義理の兄としてヘレンを親切に又紳士的に遇した。

ヘレンがさらわれたことにより、スパルタ王メネラオスは兄であるミケネ王「アガネムノン」に相談した。アガネムノンはトロイにヘレンの返還と損害の補償を要求したが、トロイ側はこの要求を拒否した。

そこでアガネムノンが総大将となってギリシャ諸国の諸侯に参集を要請すると、ヘレンのために10万もの大軍がスパルタに終結した。その中にはアキレス、オデッセイウス、アルゴ船の英雄等多くのギリシャ神話の英雄たちが含まれていた。

そして10万の軍隊は1000艘の船に乗りエーゲ海を渡りトロイに着きこれから10年に及ぶトロイ戦争が始まった。

トロイに着いたギリシャ軍はトロイ軍の総大将ヘクトールの活躍でなかなかトロイの城を落とすことが出来なかった。むしろヘクトールの獅子奮迅の活躍により退散の瀬戸際まで押し戻されたこともあった。

この戦にはオリンポスの神々もそれぞれの陣営に分かれて参戦した。

パリスから黄金のリンゴをもらったアフロディーテは当然トロイ方につき、アポロンもトロイの英雄ヘクトールの味方をした。

これに対してパリスを恨むゼウスの妻のヘラと知恵の女神アテナは当然ギリシャ方につき海の大神ポセイドンもギリシャ方についた。しかしこの戦いの趨勢は最終的にはゼウスの意にかかっていた。

両軍の壮絶な戦いは10年におよびトロイの総大将ヘクトールとギリシャ軍最高の英雄アキレスとの一騎打ちが行われ、ヘクトールの死によりトロイ軍は勢いを失う。

その後、パリスの矢によるアキレスの死というギリシャ軍最大の悲劇も起きる。そして最後はオデッセイウスのアイデアにより大きな木馬を作り、その中に屈強な兵士を隠し、トロイの城門の前に置きギリシャ全軍が船に乗り退散するように見せかける。トロイ方はこの木馬を城内に入れることで論議になるが、ある事件がきっかけとなって勝利の印として木馬を城内に入れ、勝利の酒と宴に酔いしれる。

トロイ方が歓喜の宴で寝静まった深夜、オデッセイウスの率いる屈強なギリシャ兵は密かに木馬の腹を開き、城内に侵入し、城門を開きギリシャ兵を招き入れ、一気にトロイの城を陥落させる。

そして、ギリシャ軍はそれぞれの国に帰っていく。当然ヘレンもスパルタ王メネラオスの妻として帰国する。彼女がパリスの誘惑にのったのは彼女の意思ではなく神なるアフロディーテとゼウスの意思だったのだからである。

この後、英雄オデッセイウスが自分の国イケタにたどり着くまでの10年間の物語が「オデッセイヤ」であり、ギリシャ軍の総大将アガネムノンが帰国後妻でヘレンの双子の妹であるクリュタイムネーストラーとその情夫アイギストスに殺される悲劇等数々の壮大な物語へと続くのである。

麹町ウぉーカーHOMER(トロイ戦争概略版)

付録を作るため急遽思い立って30分で書き上げた。麹町ウぉーカーの管理者HOMERのハンドルはトロイ戦争の10年目を描いたギリシャの最高の叙事詩といわれる「イーリアス」の作者と伝えられるホメロスに由来しています。

2003年10月13日メルマガまぐまぐ配信


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