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=============麹町ウぉーカーNO33===========
先日、初めて大阪へ行ってきました。 ちょっと空いた時間を利用して、地下鉄淀屋橋駅付近を「ウぉーカー」してみました。淀屋橋・大江橋・難波橋など、趣きのある石造りの橋が並んでいます。 なかでも名前も容姿も気に入ったのが「水晶橋」です。 絵を描いていた方が、「夜、照明が当って綺麗だよ」と教えてくれました。 気になる川岸に無造作に並んでいる青テントが、闇に隠れるからでしょうか。 残念ながら、夜の水晶橋は観ることができませんでした。 ところで麹町にも、趣きのある橋が近くにありますよ。 麹町と四谷を繋いでいるの四谷見附橋です。 夜になると、四谷のネオンが気になりますが街灯に明かりが入って綺麗です。 今回のH氏のテーマは、大阪の水晶橋に負けず劣らず(・・・と、思います) 趣きのあるこの四谷見附橋です。 (大) =================================== 四谷見附から西に伸びる甲州街道は、江戸時代、今のように真っ直ぐ麹町から 四谷へ抜ける道ではなかった。半蔵門から麹町を抜け、お掘に突き当たり、そこで右折して四谷見附門に入りお堀の橋を渡り、また左折して甲州街道に出るという道であった。 現在のように真っすぐ伸びる道ができるのは大正2年になってからである。 その頃の市電(後の都電)も土橋(現在は新四谷見附橋となっている)を渡り見附門跡をコの字のように曲がって走っていたという。 そこで甲州街道を麹町の通りへ真っすぐするために大正2年、四谷見附橋が架設され現在のように改良されたという。 四谷見附の近くには1899年(明治32年)から10年の歳月をかけて後の大正天皇の東宮御所(現在の迎賓館)が建設されていた。 この四谷見附橋はこの東宮御所とデザイン的に対応させて橋の装飾が考えられたという。 まず赤坂離宮はネオ・バロック形式のベルサイユ宮殿を模したといわれており、四谷見附橋の橋灯のデザインは明らかに赤坂離宮のネオ・バロック様式であり、橋の高欄(手すり)は離宮の「朝日の間」の壁のデザインを模したといわれている。 通常、橋のたもとの親柱に架けられる橋名板が、四谷見付橋では橋の中央に かけられている(市ヶ谷側が漢字で新宿側は平仮名で書かれている)。 この橋名板は「花鳥の間」の装飾と似ているといわれる。 9個のランプがつく橋灯の足元にある渦巻き模様(雷模様というらしい)の デザインは迎賓館の正面に建っている柵の上に同じ模様が見られる。 ところで大正2年に架けられたこの橋も、70年の歳月と交通量の増加のため、昭和62年から建替えが始まり、橋の幅が22メートルだったものを、40メートルまで拡げた。 橋の長さも少し長くなって、37メートルから44メートルとなり、平成3年に完成した。 橋の建替えにあたっては、可能な限り元のデザインの承継が決められた。 これにより、橋詰の広場・いくつものランプを組み合わせた背の高い橋灯・花崗岩を使った橋詰の装飾と曲線美・フラワーボックスの様な石台・青銅製の高欄・特に橋の中央にある橋の名前を書いた銘板などは、昔のままである。 ところで、解体された旧四谷見附橋は、その資材の一部を利用して八王子市別所多摩ニュータウンにある長池公園に長池見附橋として1993年(平成5年)に移築復元された。 この橋は元の半分ほどの大きさになってはいるが、橋の形や橋灯、高欄など まるで四谷見附橋と見間違うばかりに復元、利用されている。 さて橋が完成した当時、大正2年10月5日に行われた開橋式は、先に建設された日本橋(明治44年竣工)に対抗した華やかな式典であったという。 当時の日本橋は、親柱の上にひかえている唐獅子・中央の麒麟・洋風ランプ等、四谷見附橋よりはるかに荘厳で立派に映ったであろうが、現在ではその上に首都高速道路が建設されてしまい橋の美しさはまったくそがれてしまっている。 悲しい限りである。 それに比べ建替えられたとは言え、四谷見附橋は周りに特に大きな建物もなく、 石垣の上の桜並木・聖カテドラル教会や迎賓館と一体となって橋の美しさを楽しむことができる。 地下鉄丸の内線から見る美しい橋の全景、JR四ッ谷駅のホームから見上げる青空を背景とした橋桁の赤いレンガと青銅のランプ、聖カテドラル教会側の土手から見下ろす橋の景観と、いずれも美しい。 そして灯のともったランプに浮かび上がる四谷見附橋は東京の中でも誇りうる夜景の一つではないかと思われる。 いつもは通り過ぎてしまいがちな橋であるがぜひ立ち止まって先人達の想いの込められた四谷見附橋の美しさを楽しんでいただきたい。 ==================================== 何気なく渡っている「四谷見附橋」の橋灯、寒くて空気が澄んでいるこの季節は一段と暖かくともっているようです。 H氏のHPでご覧ください。 メルマガのバックナンバーは次のアドレスへ |