戻る

===========麹町ウぉーカーNO27=============

編集担当者は涼しい北海道で、早目の夏休みを過ごしております。

連日の麹町の猛暑が別世界のようです。

さて、麹町の猛暑を忘れるには、怪談話。定説です。

昨夏は「番町皿屋敷」を紹介しました。

6月から、H氏はこの猛暑を心待ちにしていたようです。

今夏は『四谷怪談』!

メルマガアップ前の厄除けのお参りも済ませ、準備万端です。

お参りしてきたのは、歌舞伎役者が」『四谷怪談』を演じる前に必ず参拝する

「お岩稲荷」。

===================================

於岩稲荷田宮神社     写真

JR四ッ谷駅から新宿よりの、四谷三丁目交差点から信濃町駅に左折してすぐの四谷警察署の於岩稲荷田宮神社

大通りからひとつ裏に入った場所に小さな「於岩稲荷田宮神社」(新宿区左門町17番地)があ

る。

向かいには於岩霊堂「陽運寺」があり、赤い幟がたっているのですぐに分かる。

この神社が四谷怪談の「於岩」の由来となっている場所であるが、怪談とこの神社の縁起となっ

ている事実とはかなり異なっているようである。

この神社の案内によると、江戸時代の初期、ここ左門町に徳川家の御家人田宮又左衛門の娘於岩

と夫田宮伊右衛門とは人もうらやむ仲のいい夫婦がいた。

ところが禄高は少なく台所はいつも火の車。

そこで於岩は家計を支えるために商家に奉公に出ることに。

於岩は日ごろから田宮家の庭にある屋敷社を信仰していたおかげで、夫婦の蓄えは増え、

田宮家はかっての盛んな時代に戻ることができた。

「於岩の稲荷信仰のおかげで田宮家が復活した」という話はたちまち江戸中の評判となる。近隣

の人々は於岩の幸運にあやかろうと屋敷社を於岩稲荷と呼んで信仰するようになり、田宮家でも

祠を作り、一般にも参拝を許すようになったとのことである。

このようにこの神社の於岩さんは我々がよく知る四谷怪談の幽霊のかけらも出てこない。そして

於岩さんは1636年(寛永13年)に亡くなり巣鴨のお寺に墓も残っている。

ところで日本の怪談話の原型とも言うべき四谷怪談のストーリーについてご存知だろうか。

『・・・四谷に浪人の田宮伊右衛門と於岩という夫婦がいた。

隣人の伊藤家の孫娘お梅が伊右衛門に一目ぼれし、伊藤家の喜兵衛は孫と一緒になってくれれば

仕官の口を世話すると持ちかける。

喜兵衛は縁談話を進めるためにお岩に毒を盛り、お岩の顔がただれて醜くなり、死んでしまう。

その夜、伊藤家の孫お梅が嫁いでくる。床入りの場面で花嫁のお梅は醜いお岩の顔に変わってお

り、伊右衛門が刀でお岩の首を切り落とすと、その首はお梅の生首だった・・・』

だいたいこのあたりまでは、誰もが知っているストーリーである。

この四谷怪談は於岩さんが亡くなって200年ほど経った文政八年(1825年)に四世鶴屋南北とい

う作家が、当時江戸市中で起こった旗本の妾と家臣との密通がばれてしまい杉戸の表と裏に貼り

付けられて神田川に流されたという有名な事件等を使って書き上げた歌舞伎の台本である。

これを「東海道四谷怪談」として「仮名手本忠臣蔵」の幕間に、お岩を三代目尾上菊五郎、伊右衛

門は七代目市川團十郎が演じて上演した。

これが江戸中の話題となり、お岩役は尾上家のお家芸になったのである。

この「東海道四谷怪談」の原典とも言うべき岩波文庫の、鶴屋南北作・河竹繁俊校訂「東海道四

谷怪談」を読んでみると、この江戸時代のホラーシナリオの素晴らしさに驚かされる。

まず、この四谷怪談は「仮名手本忠臣蔵」の脇筋の仇討ち話になっているのである。

すなわち、伊右衛門は忠臣蔵の浅野(仮名手本では塩冶判官)の浪人であり伊右衛門に一目ぼれ四谷怪談

して嫁いでくるお梅の祖父伊藤喜兵衛は吉良家(高師直)の家臣ということになっている。

また松の廊下事件の後、赤穂城の明け渡しの前に、城のお金がなくなる事件があったとされる

が、その下手人が伊右衛門という設定になっており、江戸時代は「忠臣蔵外伝」という脇題がつけ

られていたというのもうなずける。

今なら「仮名手本忠臣蔵エピソード1」といったところであろうか。

また、於岩さんの墓は巣鴨の妙行寺にあるが、何の因果かそのお寺には浅野匠守の正室「あぐ

り」の墓がある。

この話を一口で伝えることはできない。

筋立ては忠臣蔵の人間関係を背景にお岩が伊右衛門と伊藤家の関係者を祟り尽くす壮絶な物語で

ある。

仮名手本忠臣蔵に続いて「麹町ウぉーカー版東海道四谷怪談」を付録版として近々配信する。

乞うご期待。

===================================

まだまだ、これだけじゃ涼しくとも何ともなりません。

「麹町ウぉーカー東海道四谷怪談」を付録版として、近々お送りしますのでお楽しみに。

ところで、「麹町ウぉーカー」も発刊一周年を迎えました。

あっという間の1年です。

これからも、編集室一同、奥深い「麹町」を歩き回ります。

今後ともよろしくお願いいたします

追伸

先日、発刊一周年を記念して、編集室及び関係者で三つ峠(富士山眺望)〜ルミエール(麹町

ウぉーカーNO9に紹介した、山梨のワイナリー)へ行ってきました。

富士山の素晴らしさ、ワインの美味しさ(試飲で酔ってしまいました)を堪能してきました。

H氏のHPにその時撮った写真が「甲府勤番風流日誌」の第2弾としてアップされています。

メルマガのバックナンバーは次のアドレスへ
http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000073086


HOMER’S玉手箱 麹町ウぉーカー(麹町遊歩人) 会津見て歩記 甲府勤番風流日誌 伊奈町見聞記 鹿児島県坊津