戻る 麹町ウぉーカー(麹町遊歩人)
=======麹町ウォーカー(麹町遊歩人)NO57============= 日本でもアメリカでもプロ野球が大詰めを迎えております。 皆さんが、このメルマガを読まれる頃には決着がついているのでしょうか? 今年、大阪へ出張して「阪神パワー」の凄さを実感してきましたが、二連敗の後三連勝するとは・・・・・。今晩もビールを飲みながら、野球観戦の方が多いと思います。 野球観戦に欠かせないビール、そして日本では優勝したチームが祝勝会で掛けあうのが必ずビール。ビールと野球は、切っても切れない関係にあるようですね。そんな訳でもないでしょうが、今度北海道をホームとする「日本ハムファイターズ」の練習グランドがサッポロビール敷地内のサッポロビール園のすぐ横にできました。「日本ハムファイターズ」の野球を、ビールとソーセージで応援してください?????? さて、野球シーズン終了後の秋の夜長を、ビールからカクテルに変えて過ごしませんか。そんな声が聞こえてきそうな、H氏の四谷三丁目付近のレポートをお届けします。 ====================================== 四谷荒木町の写真 四谷見附から四谷三丁目の方面に歩き三丁目交差点の少し手前を右折すると突然、暗く狭い路地にバーやスナック小料理屋が建ち並ぶ大通りからはまったく想像できない世界がひろがる。新宿区荒木町と呼ばれる町で、車力町通りとして町興しが図られている。 ここは天和3年(1683)美濃高須藩三万石藩祖の松平摂津守義行公が、現在の荒木町一帯を幕府より拝領し、上屋敷としたことに始まる。義行公は尾張家徳川光友公の次男あり、いわゆる「徳川御家門」である。そのためにこの辺り一帯は「津の守」と呼ばれ現在でも「津の守坂」という坂がある。 荒木町の路地の中心部にある「金丸稲荷神社」は藩主の守護神として建立されたものであり現在でも崇敬され、この町の風情を高めている。
ところでこの「策(ムチ)の池」は徳川家康公が、このあたりに鷹狩にきたとき、名水があると聞き、立ち寄って水を飲み、その湧き水で策(むち)の汚れを落としたことからこの名前があるという。 この荒木町という町は明治5年に誕生したが、この町には気品のある芸者衆が多く料亭(貸席-料理は他の料理屋に注文する)、割烹料亭、置屋との間で芸妓の取次ぎなどをする「津の守三業組合」が繁盛したという。 現在では花柳界の名残は無いが、狭い路地をはさんでバーやスナック、小料理屋などが並び新宿や池袋の歓楽街とは異なる、歴史を感じ、落ち着いた風情がある。客引きなど無い静かな通りで「カサブランカ」などという店の名前を見るとタイムスリップしたような気持ちになる。小料理屋の前の縁台に将棋盤や碁盤が置いてあって「ご自由にお使いください。」等と書いてある。
白いバーコート、黒い蝶ネクタイ姿のバーテンダースタイルが似合う初老のマスターが迎えてくれる。 ここははカクテルを楽しめるショットバーであるが、「合鴨のソース焼き」「ニラ卵焼き」などいろいろな美味しい手作りメニューと共にリーズナブルな値段でお酒を楽しむことが出来る。 「麹町に勤めているにおならぜひ行ってみてほしい。」という友人のバーテンダーの勧めで、2002年の年末に麹町ウぉーカーの編集長(大)と初めて訪れた。カクテルから入ることには気後れがあり、まずビールから入った。一杯空いたところで、「マスター、カクテルは初心者ですので何か飲みやすいものからお願いします。」とオーダーするとまず幾分甘口のカクテルを出してくれた。ウオッカベースの、ジン、カカオ・リキュールを加えた「ルシアン」といわれるものであった。グラスに口を近づけるとフワッと甘い香りに包まれた魅惑的な酒で、飲み口も甘いので、ベースがジンとウオッカであるということを忘れてついついペースが速くなってしまった。 続いてお願いするとブランデーベースの「サイドカー」だった。 最後にウイスキーベースの「マンハッタン」というカクテルが出された。これは「カクテルの女王」と呼ばれるもので名前だけは知っていた。キリッとしたジンやウオッカをベースとしたものと異なりウイスキーの複雑なまろみと甘み、それに苦みが素晴らしいお酒だった。 プロの名バーテンダーによる初めてのカクテル体験を記憶にとどめようとして酔いの中で手帳に書きとめた。後で振り返ると、マスターは初心者の私にカクテルの基本的な3種類のベースの違いと、何よりカクテルの素晴らしさを体験させてくれたようである。これ以来、麹町ウぉーカーは山梨のワイン以外にカクテルに興味をもつこととなった。 我々日本人は酒の席というと「とりあえずビール」から始まるが、洋画を見ているとニューヨーク辺りのパブでは「とりあえず一杯」は「ジン・トニック」のようである。 世界中で一番の飲まれる酒はビールであるが、洋画ではビールを飲んでいる場面は殆ど無く、いろんな場面でカクテルが飲まれている。そしてそれがストーリーの中に大きな意味を持っている。 メグ・ライアン主演の「恋人達の予感」ではキャリアウーマンの彼女が飛行機の機内で「ブラッド・メアリー」にいろいろと注文をつけている場面があった。 ハンフリ−ボガ−ドとイングリット・バ−グマン主演の「君の瞳に乾杯」というセリフが出てくる映画「カサブランカ」にもシャンパンを使ったカクテルが登場する。 キザな台詞の極めつけ「That's so long ago I don't remember.(夕べ?そんな昔の事、覚えていないな。)」、「I never make plans that far ahead.(今夜?そんな先のことは解らないな。)」の場面では、シャンパンを使ったカクテル「フレンチ75(フランス軍の大砲の名前である)」が出てくる。それにしても歯の根が浮くようなキザな台詞が多いが間違いなく名画である。 またトム・クルーズ主演の「カクテル」という映画では、タイトルの通りベーシックなカクテルから「Sex on the Beach」(サントリーでは「Love on the Beach」で販売している)等はまだましなほうで、訳を付けられないような過激なカクテルまで30種類以上の名前が出てくる。 その後いろんな本を読んでみたがカクテルの帝王と呼ばれる「ドライ・マティーニ」に始まり数限りの無い種類のカクテルがあり、それぞれに物語がある。「マルガリータ」はこれを考案したバーテンの恋人が猟銃事故で死んだ恋人の名前であるという。カクテルは味や色などと共にその出来た経緯などの薀蓄が楽しい大人の飲み物である。グラス一杯で静かな語らいの時間を過ごす飲み方もあっていいと思う。 それからこの店が麹町ウぉーカーの編集会議室になっていた。 ちなみに「よつやこくている」の厚紙のコースターには中央に芸者さんが描かれその周りに「よつやこくている」と書かれている。浮世絵好きだった初代のマスターのデザインであるというが、コースターはここがその昔花町であったことを静かに語りかけているようである。 ところで映画好きの人でなくても一度は耳にしたことがあるだろう、「カサブランカ」の中の名台詞「Here's looking at you, kid!」に「君の瞳に乾杯」という訳を付けた人はすごいと思う。 追記 「ゆつやこくている」のマスターに教えてもらったラーメン屋「まるいち」。あきのこないあっさりした味のラーメン(妻によると他のラーメンと異なり野菜をベースにしたなぜか懐かしい味であるという。)。麺はそうめんのように細いのが特徴。一杯飲んだ後にも食べられるなかなか美味しいラーメン。ワンタンを注文している人も多い。カウンターは7席だけであるがひっきりなしに客が訪れている。ラーメン通を自称する人たちの一度食べると原点に戻れるのではと思える。丸の内線四谷三丁目駅そば杉大門通りを入ってすぐの四谷3−6結城ビル1F。 ![]() 平成20年4月12日、銀座のライブスタジオTACTで麹町に勤務した時代の先輩がボーカルとバンマスをつとめる還暦バンド「The NYK」のライブを楽しみ,その足で妻と二人荒木町の「よつやこくている」にやってきた。 土曜日の夜ということも有り、常連の客だけが静かに飲んでいた。ところがマスターの姿が無く、息子さんが私たち夫婦を迎えてくれた。一杯飲んだ後にカウンターと厨房の間の壁に架けてある川崎大師のお札にマスター矢壁涼(すすむ)氏の名前が無く息子さんの「中」氏になっていることが気になり質問したところマスターは今年(20年)の2月10日に亡くなったとのこと。以前病気になりそれがいかなることかは聞いていたが年末に妻と来たときには元気な姿を目にしていただけに残念でならない。 それから隣のカウンターで飲んでいた客と先代のマスターの思い出話に浸った。そのとき妻が飲んでいたカクテルの「テラ」はガガーリンが始めて宇宙に行ったときにマスターがつくったウオッカベースのカクテルであった。若い中氏がこの歴史あるこくているを三代目として店を守ってくれることになって何よりである。 マスターは福岡県の久留米市生まれで享年63歳であった。矢壁涼氏は白いバーコートに黒い蝶ネクタイがよく似合い、さりげなく心地よい接客の妙と共に最高のカクテル作りの技術・・私たち夫婦が始めて出会った本物のバーテンデーであった。心から冥福をお祈りいたします。 ![]() 何かの縁であろうか、この日妻と二人、銀座で楽しんできたバンドは全員が奇しくもマスターと同じ福岡県出身の5人組のバンドであった。 この日のパンフレットにはこのように書かれていた、そのまま紹介させていただく。 「The New Young Knights Spring Live 2008」40数年前の福岡に、時のエレキブームに酔った高校生たちの伝説のエレキバンドがあった。”The New Young Knights”(若き騎士達) 時は流れ、奇しくも東京で再開した元若者たちは、再びエレキの世界に没頭する。酒と音楽と青春を愛するオジサンバンド、その名は”The New Young Knights”今宵あの青春のサウンドが、再び甦る! ベンチャーズのWalk Don't Run Pipe Line に始まり28曲に歌いあげた。 彼らは福岡藩の藩校の伝統を持つ高校の同級生が高校時代に結成したしたもので、奇しくもメンバー全員がが数年前に東京に揃ったため再度バンド活動を始めた、なんと今年全員還暦のオジサンバンドなのである。 みなそれぞれに人生を重ね、頭には白いものが目立つもののそれぞれに熟練のサウンドを楽しませてくれた。 それにしても元気で一生続けられる楽しみを持っているメンバーがとてもかっこよかった!。 それに人生を有意義に楽しむためには健康であることが一番であることを実感した一日であった。 ====================================== ご存知、007のジェイムズボンド。イアンフレミングの小説の中では、ジンベースの拘りのマティーニを愛飲していました。ジン+ウオッカをベースにキリレナのベルモットを使用し,シェイクして,カクテルグラスに注ぎスライスレモンを入れるというものです。今では「ボンドマティーニ」という名前が付けられています。 そう言えばハードボイルド系の主人公は、酒と食べ物には凝っていますよね。 レポートに出てくる四谷荒木車力門会のHPです。 お店マップの中で「よつや こくている」の場所を探してみてください。 H氏のHP、ただいま更新準備中でしょうか。 http://homer.pro.tok2.com/index.htm メルマガの登録解除・バックナンバーはこちらへ http://www.mag2.com/m/0000073086.htm (大) |